第二十八話 ローゼの1日3。
カラカラッと部屋に揚げ物の音が響く。また揚げ物? 前も揚げてたよね。次は揚げ物以外を頼もう。
「できたよ。ソースつけて食べよっか」
お皿に盛られた赤とキツネ色の料理。
え、これ生じゃない? 食べて大丈夫なのかな……。
「見たことない食べ物ですね。お肉が赤いですけど生で大丈夫なんですか?」
ないすキース君! よく聞いてくれた。ユウタの作るものだから大丈夫だとは思うんだけど……。
「大丈夫ですよ。レアといってお肉にさっと火を通して半ナマで食べるものなんです。ステーキでもレアで食べる人いますよ」
「お肉って生で食べれるんだ。知らなかった。これなんていう料理なの?」
「生ではちょっと違うよ、少しは火を通そうか。これはカツレツって言うんだけど牛肉に塩胡椒して粉をつけて卵に浸してパン粉をつけて揚げたものかな?」
パン粉? また聞いたことない言葉。パンをなんかするのかな? もしかしてこのきつね色になってるカリカリしてそうなところがパン?
「ま、食べればわかるよね」
「苦手な人もいるからね。無理そうなら揚げ直してくるよ」
「ユウタ箸ちょーだい!」
「まぁいいけど。キースさんはフォークかな?」
「ふふふ。私は出来る子だからね! 今日は厨房からルネの目を盗んでこっそり取って来たよ」
ポケットからフォークを取り出す。
バレたら怒られるけど気にしない気にしない。
「普通に買ってこいよ……」
「いいじゃん別にうちのものなんだし。このままユウタんところ置いとくね」
「じゃあ次は椅子を頼むよ。流石に3つ目はないからね」
「重いものを女の子に頼むなー」
まぁ、また今度キース君を使って持ってくればいっか。
そんなことより早く食べないと冷めちゃう。
ユウタから受け取った箸を使ってカツレツというものを掴む。
隣に置いてあるソースを少しつけて齧り付く。
表面がサクサクっとしてお肉は柔らかくて凄い食感!! なにこれどうしたらこんなに面白いものが作れるんだろう。
お肉もほとんど生なのに全然気にならない。それどころかいつも食べてるお肉より好きかも。本当に同じ肉なのか疑いたくなる。
「ユウタは天才だ……」
「どうしたの突然。なんか気持ち悪いんだけど」
褒めたのに悪口で返してくるとか最低だね。
でも今はこのカツレツに免じて許そう。
「それ凄い、いや物凄い美味しいんだけど!? ユウタっていっつもあっちでこんなに美味しいもの食べて生きてたの?」
私今からでもユウタのいた世界に行きたい。
「まぁそれが普通だったからね。口にあってよかったよ。キースさんも食べてみてください、美味しくなかったら残して構いませんので」
先程の煮干しと同様に躊躇いがあるのか迷っている。
美味しいんだから早く食べればいいのに。
「早く食べないと私が全部食べちゃうよ」
カツレツを摘んで食べる。ん〜やっぱり美味しい!
それを見てキース君もフォークに刺して口に運ぶ。
「美味い……」
でしょー? 私のユウタが作るものはなんでも美味しんだからね!
少し前まで疑ってたのを棚にあげて心の中で自慢する。
これルネが聞いたら発狂しそうだなぁ。帰ったら夜にルネを呼び出していじめてあげよっと。
「ローゼがすごい量持って来たからたくさん食べてくださいね」
3人で談笑しながら美味しく食べて煮干し作りに戻る。
「またこれかぁーしかも今回はこんなに」
「ローゼが買って来たんでしょ。ちゃんとやりなよ」
「はいはい」
わかってるよもう。1匹1匹丁寧にひっくり返し続ける。
1人当たり333匹……。次からは考えて持ってこようっと。
「それより干してる時に取られるのをなんか対策しないといけないんだけど、鳥なら網かなぁ」
「キース君網って街に売ってるっけ?」
「さぁ? 見たことはありませんが……」
私も無いんだよねぇ。そもそも使い道がないし、魚を取るわけでもないから。
「自分で編むしかないかー。めんどくさいな。ローゼここよろしく、ちょっと編んでくるよ」
あ、逃げたな。
これもっといい方法とかないのかな……。
効率悪すぎだよ。今度なんか考えてみよう。





