第十三話 昼食たいむ2。
「そうですか……。とは言え突然異世界などと言われてもピンとこないですね。なにか異世界から来たという証拠の様なものはありませんかね? 疑ってるわけじゃないんですが」
「いえ、大丈夫ですよ。いきなりわけもわからない男がやって来てわけのわからない事言ってたら誰でも疑いますからね」
言ってて悲しくなるけどそれが現実なんだ。
その事実がなによりも辛いよ。とほほ。
「スマホ見せとけばいいんじゃ無いのー」
「あんまり広めたくは無いんだけど手っ取り早いし仕方ないか」
ローゼの提案に乗ってスマホを取り出す。
っても今これしか持ってないからどうせこれなんだけどね。
「えーとこれは?」
「これはスマホといって遠い人と手紙のやり取りをしたり会話したり。計算したり遊んだり大抵なんでもできるアイテムでして」
「なるほど……」
先程同様にカメラを起動して渡しにいこうとすると、執事さんがいつの間にか後ろに立っていた。
「こちらにどうぞ。料理も冷めてしまう前に」
銀色のトレーを差し出してテーブルに置かれた料理を指す執事。
「ありがとうございます。お願いします」
スマホを渡して料理に手をつける。
うん。美味しい。ルネさん本当に料理上手いんだね。
「これはどう使うんですか?」
あ、料理に夢中になって忘れていた。
「画面の下に丸いマークありませんか?」
「ありますね」
「それを押すと画面に映っているものが写真になります」
「そんなに簡単に……?」
写真って意味わかってるのかな?
「とりあえず試してみてくださいよ」
「わかりました」
そう言ってニズリさんが画面をタップすると、カシャリ。とシャッター音が響く。
「おお!? これで撮れたのか!?」
「はい。画面の左下に四角いマークあると思うのでそれを押していただければ」
「おお! これは素晴らしいですね……」
ローゼのお母さんやお兄さんも気になるのかチラチラとスマホをみている。
「あっちではこれを1人1つは持っていますよ。こういうのが溢れていますからね」
「凄い進んでいるのですね」
執事さんにスマホを返して貰って食事を続ける。
「ルネ〜おかわり」
ローゼがサラダのおかわりをルネさんに頼む。
「畏まりました」
「ローゼがサラダを? 明日は雨かしら?」
お母さんがそんなことを言っている。
「おいしーんだよ! マヨネーズが! 早く食べて見なよ」
「マヨネーズ?」
「サラダにかかってるでしょ? その白っぽいやつ」
「これがマヨネーズ? 確かに今までと違うけど……」
「ユウタの世界のレシピらしいよ」
これを聞いて3人ともサラダに手をつけ始める。
ただのマヨネーズなのになぁ。
「美味しいですね」
「でしょ〜!」
3人とも口に合ったみたいだ。これでちゃんとこっちの世界もきちんとあっちと同じ味覚なのがわかった。