第十一話 スマホ2。
ビデオモードに変えて録画ボタンを押して録画を開始する。
「え? もうこれ始まってるの?」
無言で頷く。
「なんで急に黙るのよ」
腕を伸ばしてローゼとスマホの間でピースをする。
こんなもんだろう。録画を終了して再生する。
「ほらローゼ見てごらん」
『え? これもう始まってるの?』
カメラの方を凝視するローゼの様子が写っている。
『なんで急に黙るのよ』
不満そうにしているローゼの前に俺の手が現れる。
そこで動画が止まる。
「これってさっき私が言った言葉……? だけじゃなくて私も動いてる。どういう原理なの?」
動画が撮れる原理までは流石にわからないのでそれっぽいの事を言っておく。
「レンズから光をウンタラカンタラで、結局は写真を連続して撮って繋げてるような感じだよ」
間違ってないはずだ。多分。電波は勿論届いてないので検索が出来ないので調べようが無い。
「記録するのに便利ってのはわかったよ。そんな便利なものがあるんだね。こっちでも作られないかなー」
カメラがあるならいずれは発明されて普及するとは思うけど。それは果たしてローゼが生きている間なのか分からない。
「まぁいつかは出てくると思うよ」
「いつかじゃ私死んじゃうよ〜」
「技術の進歩ってそう簡単に飛躍しないからなぁ。戦争するのが一番早いらしいけど」
戦争は発明の母って聞いた事がある。第二次世界大戦とかあれのおかげで色々発展したのも事実だろうな。
まぁ核とか要らないものまで発展しちゃうのが残念なところだけども。
「戦争したらそういうのが出てくるの?」
ローゼにとっては理解できない問題かもしれない。
普通戦争って被害大きいからね。勝ったら土地とかお金は貰えるだろうけど。
「戦争したら勝つために色々もの作ったり相手より良いもの作ろうとしてどんどん高いレベルの物ができてくるんだよ。戦争なんてクソだけどそのおかげでこういう技術が発達するってのは皮肉だよね」
この世界は多分電話とか無線なんて存在しないだろうけど出てくるのとは思う。
そんな難しい話は俺には関係ないのでやめよう。
だってスマホで全部補えるからね。
「なるほど。だからみんな戦争するのね」
「いや多分それは普通に隣の国の土地が欲しいからだよ。結果として発展しただけで、するのわかってて戦争してたわけじゃないからねこっちも」
そんな奴いたら国際犯罪ものの偉人だよ。
「なーんだ。私もそっちに生まれたかったなぁ」
「こっちの世界の方がローゼには合ってると思うよ。こっちは割と自由だから」
「馬鹿にされてる?」
「してないしてない」
「絶対してるでしょそれ!」
ローゼとそんなくだらないやりとりをしているとドアがノックされ、メイドさんがお昼ご飯の時間だと告げる。
あぁ、そうだった。これから一番の難所が立ち塞がってるんだ。可愛い女の子との現実逃避もここまで。
ローゼの写真をこっそりと待ち受けに変更してメイドさんに案内されて部屋を出た。





