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とらななちょころし!【声劇用】【舞台用】男1女1以上【連載中!!】  作者: 七菜かずは
第一章●再会と縁付け。君さえ居れば。
5/12

第三てんご話【男1女1】~りなさんとしんじくん。週間恋人のはじまり~約25分

第三てんご話


出演(MAX男1女1)(※ナレーションは最初と最後のみなので、誰がやってもよいです)

丸山まるやま 慎二しんじ (24) ♂ :

※慎二役はナレーション兼任?


柏木かしわぎ リナ (24) ♀ :






役解説(※今回は深夜で二人添い寝していることが多いので、間をうまくたくさん使ってロマンチックに演じて下さい)

丸山まるやま 慎二しんじ (24) ♂

 渋谷署の若手刑事。本作主人公虎越の後輩。キャリア。犬っころみたいになつっこい。甘え上手。合コンばかり開いて遊び歩いているらしい。恋人なし。誰にでも優しくて明るい。家族や友人をとっても大切にする。高校の時リナと同級生だったが、彼女が高根の花だった為、会話をすることはあまりなかったらしい。結構モテるが、むやみやたらと付き合ったりはしない。 


柏木かしわぎ リナ (24) ♀ 

 独身。恋人なし。男に興味がない? 長身。美女。金髪ゆるふわ軽めロール。機械のように喋る時がある。事務的な感じ。本作ヒロインのなな子とは今の職場で出会い、仲良くなった。今まで友人がほとんど居なかったがなな子に誘われて女子会など開くことも多く。他人に心の壁を作りやすいリナも、なな子や秘書課の女の子たちには腹を割って物事を話すことも多い。警視庁警視総監の娘だという噂がある。色んな車を持っている。高校の時慎二と同級生クラスメイトだったが、会話をすることはあまりなかったらしい。






 ――再開幕。


ナレーション「主人公、虎越とらこし 辰哉たつやの同僚兼弟分の丸山まるやま 慎二しんじと。ヒロイン宇佐美うさみ なな子の同僚兼友人でもある、柏木かしわぎ リナ。とある理由から辰哉たつやのマンションのリビングで一夜を共にすることになってしまった、慎二しんじとリナ。深夜零時を越えても、なんとなく目が冴えて眠れない二人……。ぬくぬくと、生温い夜。天井に貼ってある星形の蓄光シールを見詰めながら。二人同時に溜め息をくのでした……」


リナ&慎二「……はぁ……」


リナ「っ……眠れませんか?」


慎二「っ……ん~……」


リナ「虎越さんとなな子は、寝たのでしょうか……」


慎二「あの二人はやく付き合わないかなぁ……」


リナ「……丸山くんと虎越さんは、いつ頃からのお付き合いなんですか?」


慎二「ん? 僕のおしめ最初に変えてくれたのは先輩だよってお母さん言ってましたっ」


リナ「えっ? 二人は二歳しか違わないのでは……?」


慎二「先輩、昔から面倒見よかったからっ」


リナ「……そういう問題でしょうか……」


慎二「お母さんとお父さん同士が、高校からの同級生で。ずーっと仲良かったみたいです! マンションもずっと隣だし!」


リナ「そうなんですね」


慎二「先輩が中三の時に一緒に住んでたおじいさんとおばあさんが死んじゃって。先輩、家族が居る海外に強制送還されそうになっちゃって……。でも、将来的に日本の警察で一緒に働きたいからって、うちのお父さんがちょこちょこ面倒を見るって条件で、なんとか引きとめて。ここで一人暮らしすることになって……。先輩も、日本に居たかったみたいだし」


リナ「虎越さんも、なな子と同じような境遇だったんですね……」


慎二「あー、……うさみんも、引き取られた両親が結構高齢だったんだっけ」


リナ「はい。半年前に亡くなられて……」


慎二「先輩も、おじいちゃんおばあちゃん子だったみたいだから。よくお墓に行ってお掃除とかしてるみたいです。たまに付き合うけど……。マメなんだよなー、そーゆーとこ」


リナ「私は……なな子に恩があるので、虎越さんがいい人で本当によかったです」


慎二「先輩とななちゃんってお似合いだと思いません?」


リナ「ええ、まぁ……思います。なな子には、紳士で強い人が合うと思うので……」


慎二「昔から好きなんだから。高校で再会した時付き合っちゃえばよかったのに」


リナ「昔から……?」


慎二「はい。幼稚園が同じだったみたいですよ」


リナ「ああ……先程虎越さんもそんなことを仰っていたような……。でも、なな子を好きだった時の記憶が無いって……」


慎二「あー。そうみたいですね……。僕もうさみんのことは結構うろ覚えなんですけど……。でも普通、好きな子のことだけすっぽり忘れるかなぁ……? なぁんか変なんだよな……」


リナ「……あの、」


慎二「うん?」


リナ「恋って……どういう感覚なんでしょうか」


慎二「はぁ……えっ? もしかしてリナさん……」


リナ「私、初恋もまだで……。おかしい……ですよね。二十四にもなって」


慎二「いや、別におかしいとは思わないけど」


リナ「でも周りの子は……普通、小学生とか中学で、初恋してて……」


慎二「普通って、なんなんでしょうね」


リナ「え……?」


慎二「僕はー、リナさんがいつも高校の時モデルやってる雑誌見たり。服飾科の子たちの為に毎年一生懸命……文化祭のショーとかランウェイ歩いてる姿見て……凄くかっこいいなぁーって思ってたよ」


リナ「そう、ですか……」


慎二「特別な人じゃないと、ああやって目立ったことって出来ないよね」


リナ「……そうでしょうか……」


慎二「先輩もそう。特別な人。本人は一般人ぶってるけど」


リナ「虎越さんには……丸山くんが尊敬出来る所が、たくさんあるんですね」


慎二「うん……勿論。他人の為に、たった一人で生活すること選んで……。他人の為に、わざわざ刑事になって。……何十年も昔の事件今も追い掛けて。自分の幸せなんて考えてくれない。今だって。うさみんのこと傷付けたくなくて、何週間も恋心押し殺して。彼女のこと守ってる」


リナ「っ……」


慎二「ははっ……。うさみんがさ、“虎越さんは神様みたいな人です”って言ってた気持ち、ちょっとだけわかるんだよね」


リナ「……」


慎二「僕は先輩みたいには振る舞えないから」


リナ「……虎越さんは、我慢、しているんですか?」


慎二「そうみたい。変だよね。……って、初恋もまだなら、リナさんに先輩の気持ちわからないか……」


リナ「……恋をすると、どうなりますか?」


慎二「んー……。その人のことばかり考えちゃうかなぁ」


リナ「……」


慎二「あとは、触れるだけでドキッとしたり?」


リナ「どき? あの……それは……心臓が……矢で刺されたような感覚でしょうか?」


慎二「あーそういう感じかな?」


リナ「それは……あるのかも……」


慎二「ん?」


リナ「あの、すこしでいいので私の頭を撫でて貰えますか」


慎二「え……?」


リナ「検証したいので」


慎二「あ、はぁ……。いいよ。来て」(起き上がる)


リナ「失礼しますっ」(身を乗り出して慎二に近付く)


慎二「……よしよし……」(撫でてあげる)


リナ「……。……うーん……」


慎二「だ、だめかな?」


リナ「そのまま顔を近付けて貰えますか」


慎二「えっ……あ、はい」


リナ「……うん。……ありがとうございました」(自分の布団に戻る)


慎二「お、おお?」


リナ「……丸山くんは、今、緊張しましたか?」


慎二「え、あぁー……、まぁ」


リナ「何故ですか?」


慎二「何故って!?」


リナ「私もなんだか……胸のあたりがゾワッとしましたが……これは……なんなんでしょうか……」


慎二「ぞわ……?」


リナ「あっ、恐怖みたいなやつでは……?」


慎二「えー!?」


リナ「い、いえいえ、そんなはず……ないですよね。すみません」


慎二「その、今みたいにゾワッとしたことって、前にもある?」


リナ「んー……いえ、基本男性にはほとんど近付かない人生だったので。私が至近距離に顔を近付けたりしたことがあるのは、父と兄くらいでしょうか……」


慎二「お兄さん居るんだ」


リナ「丸山くんは……?」


慎二「僕がお兄ちゃんっ」


リナ「え……? そうなんですか?」


慎二「うん。弟居るよっ」


リナ「へえぇ……?」


慎二「何? その反応」


リナ「丸山くんは……弟キャラだと思っていましたので……」


慎二「んー、まあ、先輩が居るからねっ」


リナ「いつから、虎越さんのことを先輩って呼んでるんです?」


慎二「んー、先輩が高二くらいの時かなぁ?」


リナ「それまでは?」


慎二「たっつーって呼んでた。たつにぃとか」


リナ「たつにぃ……」


慎二「あー……。あの、ちょっと乾燥しません? なんか飲もうかな~」(立ち上がってランプを点けて、ワインや焼酎が入っているボトル専用冷蔵庫を開ける)


リナ「あっ、お酒……沢山余っちゃったので」(慎二の側へ)


慎二「リナさんたちが買ってきたの、あるんですか?」


リナ「はい。白ワインがあと三本以上と……あ、ロゼもあるかも」


慎二「……ふふ。はははっ……あはははははっ」


リナ「な、なんですか?」


慎二「高校の時もさ。なんでだか、同じクラスなのに。敬語だったなあって」(慎二、グラスを持ってくる)


リナ「……そうでしたっけ……」(八割以上残っていたロゼワインのコルクを抜く)


慎二「リナさんはお嬢様ですもんね~」(リナにグラスを渡して)


リナ「えっ……。クラスの、あー、そう言えば……。他の方たちも……私にだけは、敬語だったような気がします……」


慎二「なんか、高級感あったもん」(ワインをついであげる)


リナ「私は……みんなと同じように、自転車通学とかしたかったです」


慎二「いつも黒塗りの車で送迎されて! あっははは!」(二人とも、自分の布団の所に戻って座る)


リナ「笑えないですよ……。どんだけだよっていう……。昭和かよって」


慎二「いや~でもやっぱお嬢様だったんだし! 仕方ないよ」


リナ「はぁ……。親が金持ってるってだけですよ」


慎二「あー、そういう意味では先輩とリナさんってカブるんだよなぁ」


リナ「虎越さんのご両親って」


慎二「両親も、先輩のお兄ちゃんと弟二人もFBI」


リナ「は……?」


慎二「FB……」

リナ「あっあのっ! それって……相当なお金持ちなのでは……?」


慎二「うん。この部屋、月の家賃やばいらしーし」


リナ「え……?」


慎二「僕の初任給ぐらいって言ってたかな?」


リナ「えぇ!?」


慎二「まあでもマンションだから。分割代? だよね。部屋全部防音だし」


リナ「へええ……。確かに、いい設備が整っているなぁとは思いましたが……。お風呂も、凄く広かったしっ」


慎二「先輩、優しいから……。はぁ~あ……。死んだ人間のこといつまでも心配したり、他人のケツ拭いてばっかで……。外国で仕事してれば、全然違う人生だったんだろうなぁ……」


リナ「なな子のことを待っていたんじゃないですか?」


慎二「そっか……。そっかそっか! ……」


リナ「……っ…………」(何故か、悲しく笑った慎二の瞳が、揺らいで泣きそうになったのを。それを見て胸が軋んだ)


慎二「……リナさんは、彼氏とか欲しいなって思ったことあるの?」(グラスを枕の上、床に置いて)


リナ「あ、ありまつ」(自分も慎二のようにグラスを置く)


慎二「ふふ。ありまつ?」


リナ「は、はい……。やっぱり、恋している時の友達の……色んな表情を見てきたから……」


慎二「羨ましくなっちゃった?」


リナ「そうですね……。うん……」


慎二「ね、高校の時さ、週間恋人って流行ったでしょ?」


リナ「週間恋人?」


慎二「あれ……? リナさん、バスケ部の先輩とやってなかったっけ。週間恋人」


リナ「?? ……」


慎二「えーあれ嘘だったのかな」


リナ「な、なんの話でしょうか……」


慎二「ほら、僕ら二年の時にさ。三年の先輩と。リナさん、一緒に傘さして帰ったり。お昼二人で食べてりしてたでしょ? バスケ部の人と」


リナ「あぁ……あの色黒の人……?」


慎二「名前知らないのかな……?」


リナ「なんかつきまとわれて……うざったかったです……」


慎二「あの時って、お迎えの車どうしてたの?」


リナ「あぁー。……あの人が車パンクさせたり、友達使って私を送り迎えさせないようにしていたようでしたけど……」


慎二「え、うそ! ヒドいッ!」


リナ「何故か私が父に怒られることに……」


慎二「最低じゃん」


リナ「まあもう過ぎた話なので。彼にも転校して貰いましたし。私の前にはもう二度と現れないと思いますので……どうでもいいかと」


慎二「抹消されたのかな……?」


リナ「で、週間恋人というのは本当はどのようなものなんですか?」


慎二「んー。一週間限定で、お試しで彼氏彼女になるの!」


リナ「は……?」


慎二「え、だから……」


リナ「それは……好きあっている状態では無いけれど好きになるかも知れないから付き合ってみようよってことですか?」


慎二「あっ! そうです!」


リナ「そ……それは……意味……あるんですか……?」


慎二「いや、まあ、うん。どっちかは確実に好きな場合が多いから……。なんていう、のかな。思い出作り……かな?」


リナ「成る程……。まあ、高校の時のクラスメイトや同級生……先輩後輩なんて、もう一生会わない人だって居るわけですもんね」


慎二「っそう! だから。好きな子と一緒にデートしたり手を繋いだりして楽しくやりましょうっていう一週間!」


リナ「めんどくさそう……」


慎二「彼氏欲しいんじゃなかったの!?」


リナ「あの……」


慎二「はいっ」


リナ「恋人が居るメリットはなんですか」


慎二「えっ、そこ?」


リナ「丸山くんは経験あるんですよね? 彼女が居た」


慎二「はぁ、まぁあるけど……何人か……」


リナ「お付き合いをして良かった点はなんですか」


慎二「なんでそんなに恨みこもってんの!?」


リナ「……すみません」


慎二「えーと……っ。じゃあっ、これっ!」(リナの手を取って、さり気なく繋ぐ)


リナ「っ!」


慎二「こうやって……手を繋ぐとさ。相手の温度とかわかって……。なんか、どきどきしない?」


リナ「はぁ……」


慎二「一人じゃないな~って、感じれないっ?」


リナ「まぁ、そうですね……」


慎二「あーちょっとっ。横になってっ。寝て寝てっ。んっしょ……」(布団をくっつけて、枕もくっつけて、同じように寝る)


リナ「は、はいっ……」


慎二「はいっ手を繋ぎますっ」


リナ「はいっ……」


慎二「なんかさ、安心する! よね?」


リナ「……うーん……」


慎二「こーやって……恋人繋ぎにしたりして……」


リナ「ぁ……」


慎二「しっくり来ると、想いがちゃんと重なってるカップルなんだって!」


リナ「……~……」


慎二「どう?」


リナ「どうと……言われても……なんだか、ザワザワ……してます……」


慎二「え~!? ドキドキしないの!? 強敵だな~リナさんって!」


リナ「すみません……あの……本当は、違うのかも……」


慎二「う?」


リナ「あの……ザワザワとドキドキは……どう違うんでしょうか……」


慎二「はい?」


リナ「……すみません……こんな初心者に付き合っていただいて……なんだか申し訳なくなってきました……」


慎二「あっ!? ……そっか……リナさん、よくわかんないのかぁ……」


リナ「……はい」


慎二「……おいで。ぎゅってしてあげる」


リナ「……はい」(手を広げて迎えられたその腕の中へ)


慎二「僕の胸のとこまで、あたま下がれる?」


リナ「はいっ……」


慎二「ふふっ。リナさんってななちゃんにちょっとだけ似てるよね」


リナ「そうでしょうか……?」


慎二「はは」


リナ「あの……」


慎二「ん?」


リナ「丸山くんって……細身なのに結構筋肉質……ですか?」


慎二「あーまあ鍛えてるからねっ。警察官だもんねっ」


リナ「あぁ……」


慎二「本当はねーもっと太りたいし身体も大きくしなきゃなーって周りには言われるけど……。食べても食べても無理なんだよなぁ……。女の警官よりも全然体重軽くって……。悲しいよ……」


リナ「すこし羨ましいです……私、食べたら食べた分だけ太るので……」


慎二「えっ、そうなの!? でもスタイルいいよね?」


リナ「キックボクシング通ってます……。あと水泳と、テニスと、ヨガ……食事制限もしてて……」


慎二「ストイック!」


リナ「モデルやってた時の名残でそのまま……って感じですね……」


慎二「いいなあ僕もジムもっと通いたいな……」


リナ「刑事さんって……。突然呼び出されることとかもあるから……大変ですよね」


慎二「彼女と一緒に居る時に呼び出されるのがいちばん嫌かなぁ」


リナ「彼女と……? えっ!? あっ!? あっ!」


慎二「ははははははっ。残念でした~今は彼女いませ~ん!」(ぎゅっと彼女を抱き締めて)


リナ「な、なんだ……。びっくりしました……」


慎二「彼女居たらこんなことしませんがな」


リナ「そ、そうですよね……」


慎二「はは……」


リナ「……そう言えば素朴な疑問なのですが……」


慎二「う?」


リナ「聞いてもいいですか……」


慎二「どうぞ」


リナ「どうして長男なのに、シンイチじゃなくてシンジなんですか?」


慎二「あ~……たまにそこ突っ込まれるなぁ」


リナ「なんとなく……不思議に思って……」


慎二「僕実は、生まれた時は双子だったの」


リナ「え?」


慎二「でも、お兄ちゃんがね。生まれてすぐに死んじゃって。だから……本当は長男じゃないんだ。戸籍上ではそう書くしかないけど」


リナ「それ……ご両親は……悲しまれたでしょうね……」


慎二「ん~でも僕がすっごいよく泣く子だったみたいで。赤ちゃんの時めっちゃくっちゃ手がかかったらしいから。寂しくは無かったみたいっ」


リナ「だからやっぱり……慎二くんは弟キャラで正解なんですよ」


慎二「え~お兄ちゃんだけどなぁ?」


リナ「きっと新生児の時にそうやってよく泣いたのも……お兄さんに構って貰いたくて。寂しかったんじゃないでしょうか」


慎二「そうなのかな……」


リナ「そういう所ありますよ。優しくて気を遣っちゃう人って……周りの人間の感情に敏感なんです」


慎二「……どうだろうね」


リナ「ふふ……」


慎二「……っ」


リナ「ふぁ……」(小さく欠伸する)


慎二「リナさん、笑うと可愛いね」


リナ「はい? つ、作り笑いです」


慎二「そうなの!? そうは見えなかったけどなぁ~……」


リナ「……あの、週間恋人って」


慎二「ん、興味あった?」


リナ「……楽しいんですか?」


慎二「楽しい……かなぁ? まあ、相性によるんじゃないかな?」


リナ「相性……」


慎二「恋人が出来たら、したいことあるんですか?」


リナ「キス?」


慎二「あっ! 嘘! まだしたことないの!?」


リナ「いえ、あります。キャロルと」


慎二「キャロル!?」


リナ「犬……」


慎二「犬!? なんだよ~」


リナ「……犬だと思えば……誰とでもキス出来そうな気になれますっ……。気だけ、ですけど」


慎二「誰とでもって……。それは……いつかリナさんの彼氏になった人がちょっと可哀そうだから……。そんなに頑張らなくてもいいんじゃないかな……」


リナ「でも私が恋愛出来ないのって……。男友達から手出しされないとか、他人から高級品扱いされるからだと思うんですよね……。なのでもう少しくらい、気持ち尻軽にならないと、一生独り身かなって」


慎二「は、はー……なるほど」


リナ「なので、もっと教えてくれますか?」


慎二「……恋について?」


リナ「はい。一度きりの人生なら、私も経験してみたいんです。あまり感情的になることは無い私でも、出来ることなら」


慎二「そっか……」


リナ「……」(慎二に頭と耳をそっと撫でて貰う)


慎二「……じゃあ、やってみる?」(彼女の鼻筋に唇を近付けて)


リナ「はい?」(自分のまつげが、彼の頬をかすめる)


慎二「週間恋人。僕と」(ウイスパー)


リナ「……それは……計算外でした」


ナレーション「二人、面映おもはゆくて。

 でも。

 そっと、ほんのすこしだけ。唇と唇とあわせて。

 またちょっと笑って。

 そのまま、深く深く、眠るのでした」


【次話へ続く】


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