日常
それは、突然のことだった。
「世界は明日、終わります。」
そんな声を、世界中の誰もが聞いた。
何故か誰も驚かなかった。
何故か誰もが受け入れた。
明日で終わる、今日一日。
皆、何も変わらず過ごしていた。
赤子は泣き、
園児は走り、
学童は歌った。
子どもは遊び、
大人は勤しみ、
老人は嘆いた。
ある者は産まれ、
ある者は生き、
ある者は死んだ。
それは確かに何でもない一日だった。
次の日、静かに世界が終わっていく。
どう、終わるのかはわからなかった。
わかる必要が無かった。
突然、世界が始まった。
どう、始まったのかはわからない。
わかる必要など、どこにもない。
「今日から世界が始まります。」
そんな声を、世界中の誰もが聞いた。
誰も驚かなかった。
誰もが受け入れた。
でも、それはいつものことで。
いつも通り、皆一日を始めた。




