隣の国も思ったほど悪くない
とりあえず、初めて投稿。
秘密潜入学科ヒリス君が苦手な歴史の授業「国民総意の日から戦争参戦までの経緯」
我が国は世界最強の軍事力を誇る。
そして、平等と平和を重んじる。
千年前に世界大戦があったらしい。
その戦争は100年続いたとされ、多くの血が流れたという。
この長きに亘る戦争に終止符を打ったのは我が国「パンゲア」である。
パンゲア王国は資源に恵まれ豊かな国だった。
人口も多く、国土も広く、教養にも優れた国であった。
他国も、その潜在性に警戒して攻めきれずにいた。
そして何よりもその当時のパンゲアの王「ラウス」は歴代最高といわれる王であった。
知識も豊富で武芸にも優れ、何よりも温和で弱いもの大事にする姿勢は政策にも反映されていた。
中心部に住む国民を城の中庭に集め、先代の王達は中庭から遥か上のテラスから国民を見下ろす形で
触れあい、宣言を行っていたが国民と少しでも近づきたいと、中庭中央に大人3、4人が座れるほどの
舞台を王自身が作りそのうえで国民との会話や触れ合いを楽しんでいた。
そんなラオス王も他国同士の戦争に心を痛めていた。
平和を愛する王は、狂暴化する他国を恐れ、攻め入られたら国民を巻き込んでしまうと悩み、
国民を巻き込まない方法を模索していた。
そんな中、隣国の王がパンゲアに訪問した。
隣国の名は「アイ」
アイは小国であったがダイヤや金が取れ大変豊な国であったという。
それに、呪術と魔法の研究が盛んで、一つの国を呪いで壊滅させたという伝説まである。
その伝説も相まって、他国も攻められずにいた。
パンゲアとアイは友好関係にありこの度の訪問も友好関係を確認する定例訪問かと思われた。
しかし、今回は違った。
アイの王は、パンゲア王国に呪いをかけたという。
その条件を破った場合、天変地異、病などあらゆる手段で一国が滅ぶという。
そして、アイ王国は国境に炎の壁を一日で築き鎖国状態に入る。
呪いの発生条件はいくつもあった。
それはパンゲアの王にだけ説明された。
そのいくつもの条件の中で王以外にも知られてもよい情報は限られた。
その限られた情報は、
・アイ王国にパンゲア王国が呪いをかけられたこと
・パンゲアの王が死んだ場合、呪いが発動、呪い内容は王も知らない
・王以外が知ってもよい情報は限られていること、指定された情報以外を聞いた者および王は即死
・24時間以内に指定された情報を王以外に公表すること、これを公表しないと王が即死
・パンゲア王国が戦争に参戦しないと呪いが発動すること、これを破ること王が即死
・アイ王国に攻撃を仕掛けた場合、攻撃を仕掛けた者と血の繋がりがある二親等までの家族、
親類が即死すること、判定基準は炎の壁に悪意ある攻撃が触れた瞬間、呪い発動
・アイ王国に侵入した者、二親等までの親類、家族が即死すること
判定基準はアイ国民が異国の人間が侵入したと気づいた瞬間、呪い発動
・そして、このほかにもいくつかの条件があること
以上の情報を、中庭の舞台で王が国民に報告した。
王は涙ながらに愛する国民たちに、これからの激動に巻き込む形になってしまうことを謝罪した。
国民たちも、その情報に驚きを隠せなかったが、さすが誇り高き国民
今までの慈愛ある王の振る舞い、そして今、涙ながらに語る王を責めるものはいない
王が、大きく息を吸い「本日より戦争に参戦する」と宣言しようとした。
すると国民は察した、平和を愛する王に戦争に参戦するなどと口にさせてはならないと。
一人の若者が、王が言葉を発する前に叫んだ。
「俺は嫌だよ、我々の親愛なる王が、こんな呪いで死んじまったらさ、みんなもそうだろ」
また一人、男が叫ぶ
「ああ、嫌だね、てか、戦争に参加しなかったら呪われるんだろう?参加するしかないべ」
そのチャラけた言い草に、周りの聴衆たちは笑う。
そして各方面から「戦おう」、「戦わなければ」、「俺らが勝って平和な世を築こう」老若男女、
様々な色を持った言葉たちが、いつの間にか大きな喝采へと変わっていた。
この集会が行われた日は、「国民総意の日」と名付けられる。
王に命令されて戦争に参戦するのではなく、国民が自ら選んだ道だというメッセージが込められている。
王一人の責任にはさせない、そんなことを思える国民を要する国が負けるはずもなく
戦争に参戦後、三年足らずでアイ王国以外の世界を手中に収めることになる。
そして各国の武器などをすべて撤廃し軍事力を保有するのはパンゲア王国だけとした。
危険因子以外の宗教や文化、言語の自由も与えた。
各国政府の統治者はパンゲア王国が地元の人間から選定し、監査課を置くことで反乱などを
未然に防ぐシステムも構築した。これにより現代まで1000年近く戦争や紛争も起きていない。
そんなこんなで世界は平和ではあるのだが、隣国である「アイ」国とは今だ国交停止状態
炎の壁も切れ目なく国境すべてに築かれている状態だ。
「キーンコーンカーンコーン」終礼のベルが鳴る。
「今日の授業はおしまい。今日のところは先生大好きなとこだから熱く語っちゃった。」
40代の眼鏡をかけたガリガリのオッサンがテヘペロと言わんばかりの茶目っ気を出してきたので
イラっとした。
「そんな、むっとした顔してどうしたの?」
隣の席のヒイラギが聞いてきた。
「どうもしないよ。そんなことより明日の約束忘れていないよな?」
「ええ、もちろんよ、明日から夏休みだからガンガン空いているわよ」
「よし、お前は友達が多いんだから、できるだけ集めてくれよ。人数が多いほうが見つかる可能性が多いのだから」
「なんで、そんなに友達がいないのか不思議だけど、私も「アレ」を見てみたいし協力するわよ。」
「俺は見つかるまで帰らないつもりだから、キャンプの用意して早朝から探索を始める。」
「わかった。私はそこまでの情熱はないから、友達達と合流してからお昼ぐらいに行くね。」
「了解。森の入り口に着いたら連絡してくれ。レストランとかトイレとかある駐車場の方だからよろしく頼む。」
そういうと、俺は颯爽と帰宅する。明日が楽しみだぜ。
最初は、国の説明でした。
次からは、ふざけた感じでもっと書きたい。
果たした何もしに森に行くのか。