プロローグ
学校帰りのバスの中。
満員、とまではいかないけど、空いている座席はほとんどない。
座れてラッキー。
そう思いながら、制服のポケットからスマホを取り出しLINEを開いた。
〝今日バイト行けなくなってさ、代わりしてもらえない?〟
バイト先の先輩からのメッセージに、めんどくせえ、と思いながらも
〝了解です。〟
とだけ返信をして、スマホを閉じる。
そうえいば昨日はあまり寝れなかったっけ。
不意に眠気が襲ってきて、優先席付近に座っているおばさんたちの世間話を子守唄に眠りに
...つきたかったけどスマホのバイブが邪魔をした。
後でかけなおそうと思う。
それと同時に扉が開いた。
乗ってきたのは、中学生くらいの女の子。
かわいい。
華奢な肩に髪の毛が少しかかっていて、男子が守りたくなるような、そんな容姿だ。
しかし、目線を少し落として目を疑った。
太っているわけじゃない。むしろ痩せすぎといった感じなのに、お腹が少し出ている。
まさか。
さっきまで世間話をしていたおばさんたちは、女の子を軽蔑するような目で見て、コソコソと話している。
座る所はない。
女の子の顔は疲れていて、表情がない。
僕は席を立った。
なぜだろう。
この子を、守りたいと思ったんだ。