01『不死の果実』
少年は、森の中で息を潜めていた。
気配を完全に断つすべは、狩人として最も基本的な技能であり、そして同時に最高の才能を必要とする奥義でもある。
その点において、少年の才能は神域にあった。
森の木々と、呼吸を完全に同化させ、自然の背景の一部にまで少年は溶け込んでいる。
その手には一本のナイフ。だが少年は、狩りをしに森へ来たわけではない。
獲物を狙って息を殺しているのではなかった。
少年はただ隠れているに過ぎない。追っているのではなく、逃れているのである。
目の前の脅威を相手に。
ただ、見つからないよう祈っているだけ。
茂みの中で息を殺す、少年の目の前には魔物がいた。
それは尋常の生物とは、完全に異なる法則の下に存在する魔の獣だ。まるで巨大な熊を髣髴とさせる巨体だが、その醜悪さは野生の獣などと比べるべくもない。
墨のように真っ黒な身体、濁った血に似た赤い瞳、そして丸太の如く太い腕と、刃物みたいに鋭い牙――。
ただの狩人に過ぎない少年では、とうてい太刀打ちできる相手じゃない。
できることは、ただ隠れ潜んで魔物をやり過ごすことだけ。
見つかれば終わりだ。
その瞬間、少年の胴体ほども大きな腕に裂かれ、唾液を散らす口の中へ放り込まれることだろう。
少年は息を殺し続けた。
聞こえるのは魔物の足音と、わずかな葉のざわめきだけ。それ以外の音は死んでいる。
やがてその巨体が森の奥へと消え、そこからさらに百を数えたところで、ようやく少年は止めていた呼吸を取り戻した。
胸を撫で下ろし、森の新鮮な空気をいっぱいに吸い込む。
「……死ぬかと思った」
紛れもない本心が、少年の口をついて零れ出た。
――なんとか気づかれずに済んだ。
それはすなわち、まだ進めるということの証明だ。
森の奥から、酷く生温い風が流れてくる。魔力を孕んだその風は、この森が危険な魔境であることを示していた。
本来なら、まかり間違っても足を踏み入れていい場所じゃない。
そんな行為は自殺と同義だ。この深い森は、人間の生きられる場所ではないのだから。
けれど、少年はここで引き返すわけにはいかなかった。
彼はこの森の中心に用がある。
正確には、そこに実っていると噂される魔法の果実に対してだ。
少年はその果実を、町へ持ち帰るためにここを訪れた。
その目的を果たさずして、手ぶらで帰ることなどできない。
周囲の気配を、臆病すぎるほどに少年は探る。
辺りに動くものの気配はない。
風に揺れる木々の葉か、あるいは地を這い回る小虫か。さもなくば空を舞う鳥くらいのものだろう。
狩人として高い適性と経験を持つ少年には、森に棲まうモノの動きが手に取るようにわかっていた。
この分なら、しばらくは魔物に見つからず進めるだろう。
最低限の装備だけを持った少年は、それでも慎重にゆっくりと、だが確実に森の中心へ向けて歩みを進めていた。
必ず、あの《不死の果実》を手に入れんと誓って。
※
――曰く、魔の森の奥の魔法の樹には、真っ赤な果実が実るという。
邪悪な魔女と魔物との縄張りであるとされるこの森には、古くからそんな伝説が残されていた。
ひと口齧れば、たちどころに身体の傷が癒える。ふた口目には病が治る。果実をひとつ食べきれば、不老不死さえ約束されるという伝説の果実――。
口さがない者は、しかしその伝説を眉唾物の法螺だと吹いた。
あるいは誰だって、そんな古い噂を信じたりしないだろう。誰も確認したことのない森の奥に、なぜ果実があるとわかるのか。
魔法なんて、子どもを寝かしつける際の、御伽噺にしか現れない空想だ。使えるのは、それこそ魔物か魔女くらいだろう。
そんな与太を信じる者など、町には誰もいなかった。
けれどその中で、この少年だけが噂話を信じていた。
いや、本当のところを言えば、少年だってその噂を信じてはいなかったのだろう。けれど今の少年には、ほかに縋れるだけの希望が何も残されていなかった。
たとえ酔っ払いの自慢話ほどの信憑性さえなくとも、その実在を祈らずにはいられない。
その伝説が、どうか真実であってほしいと。
そう、願わずにはいられなかった。
――少年には、幼馴染みの少女がいた。
幼い頃からずっといっしょに過ごしてきた少女だ。少年にとっては、ほかのどんなものにも代えられない、宝とも言うべき少女だった。
その少女は教会において、聖女の適性持つ偉大な神子だとされていた。
少女の身分は、少年とは本来、比較することさえ不遜なほど。
ただの狩人の子に過ぎない少年とは、言葉を交わすことさえ許されない高貴な少女である。
けれど少女は、そんな少年を友と呼ぶ。ともだちだと、そう思ってくれるのだ。
ふたりは町で出会っていた。
その頃、少年はまだ見習いの狩人で、そして少女もまた聖女ではなかった。
少女は教会が運営する孤児院の出身だった。そして少年もまた、同じ施設を出自としていた。
その頃、才能を見込まれて狩人の家に貰われた少年だったが、院を出たあとも彼はずっと孤児院に通い続けていた。
魔の森とは離れた場所にある、狩りのための普通の森。その傍に住処を移した少年は、けれど狩りで捕らえた獲物をいつも孤児院へと持っていく。
貧しい孤児院の子どもたちに、せめて食べるものを与えようという少年の気遣いだった。
……と、いうのは建前で。本当のところは違っている。
もちろん、ずっと世話になっていた院へ恩返ししたい気持ちは嘘じゃない。ただ何より少年の心を院に引き止めたのは、間違いなく少女の存在だった。
孤児院では唯一、歳の近いふたりだ。歳もほかの子らより少し上で、だから院の子どもたちの面倒は、ずっとふたりで担ってきた。
その生活を、少年は狩人となってからも、ずっと変えずに続けていた。
――ただ、少女に会いたかったから。
少女の全てが愛おしく、だからその全てを守りたかった。
彼女のためなら、どんなことだってできると少年は信じていた。
その思いを、素直でない少年は口にしたことがない。
彼女に向かって作る言葉は、いつだって幼い憎まれ口ばかりだった。
「――お前は、とろいな」
会話の断片を思い出す。
いつだって、少年はそんな言葉しか作れないでいた。
少女は、そんな少年の憎まれ口を、いつだって笑って聞いてくれる。
「酷い。どうしてそんなこと言うの?」
「だってそうだろ、何をやってもゆっくりだし。そんなんじゃ狩人にはなれないぞ」
「いいもん。だって、わたし、狩人になんてならないから」
「……ていうか、なれないだろうしな」
「キミは、狩人の才能があるんだってね。院の先生から聞いたよ」
「……別に大したことじゃない。ひとりで生きていけるよう、訓練してるだけだ」
「すごいね。……うん、キミはすごいよ」
「お前は――」
「なあに?」
「……なんでもない。お前も、ひとりで生きていけるようにしないと」
「だいじょうぶ。だって、わたしはひとりじゃないから」
「…………」
「いつだって、あなたが守ってくれること、知ってるから――」
だから。彼女と交わした会話なら、少年は全部覚えている。
本当は彼だって知っていた。
彼女が、少年なんて及びもつかないくらい強い人間であることを。
少年よりずっと大人びて、頭のいい人間であることを。
ただ、それを言葉にはできなかっただけで。
素直になれない少年を、少女はいつも笑って迎えてくれる。
その笑顔が何より好きだった。
貧しい暮らしにも決して穢れない金糸の長髪。透き通る宝石のように碧い瞳。白磁のような白い肌と――そして果実のように真っ赤な唇。
その柔らかな髪は綺麗だった。
澄んだ瞳で見つめられるのが好きだった。
脆く儚い、白雪のような肌を守ってあげたいと思った。
あの朱い唇から零れる、祈りの歌で眠りたかった。
一度だって言葉にしたことはない。
それでも、いつだって同じように想っている。
少女の全てを少年は愛していた。
けれど。
そんな祈りに似た日々も、決して長くは続かない。
ある日突然、少女は聖女として、教会の偉い人に連れて行かれた。
別段、遠い場所へ連れ去られたわけじゃない。少女は聖女になってからも、少年と同じ、森の近くの町で暮らし続けた。
ただし――簡単に会うことだけはできなくなってしまった。
教会に所属を移した少女。たとえ腕のある狩人であったとしても、名のある弓の名手の弟子であったとしても、所詮は平民に過ぎない少年がお目通りを叶えるのは難しい。
会えるのは七日に一度の安息日の朝。教会の聖堂で、少女が祈りの歌を神へ捧げるときだけだ。
そのときだけは、少年も遠巻きから少女の姿を見ることができる。
以来、少年は安息日の祈りを欠かしたことがない。
彼女を見初めた神ならば、少年も信じられる気がしたからだ。
それでいいと――それだけでいいと思っていた。
教会での生活ならば、彼女の髪は綺麗に整えてもらえるだろう。水晶みたいに丸い瞳が、少年の代わりに神の世界を覗いているのかもしれない。冬場の水仕事や、乾いた生活で、肌や唇が荒れることもきっとなくなる。
暖かい暖炉のある部屋で、美味しくて栄養のある食事を貰って、みんなのために祈りの歌を捧げていられるだろう。
素晴らしいことだと、そう信じた。
これで彼女がしあわせになれるのだと、疑うことなく、まっすぐに少年は喜んだ。
――少女が病に冒されて、近く命を落とすのだと知るまでは。
※
少年は、這うように森を進んでいく。
この森には、少年が狩猟に赴く森と異なり、野生の獣が棲んでいない。
魔物はヒト以外の生物を決して襲わないが、かといって少しでも知能ある生物ならば、好き好んで魔の森になど入らないからだ。
いるのは知能の低い虫か、あるいは森の結界より上空を飛ぶ鳥くらいのもの。
とはいえ、やることはどちらでも変わらない。
魔物は生物ではないが、その生態だけは普通の生き物とさして違いがなかった。息を殺し、気配を消し、森の木々へと溶け込んでいれば、魔物に襲われることはまずないだろう。
刃物や弓の扱いならばともかく、気配を殺すという一点において、すでに少年は師の技量を越えていた。
いや、あるいは国中を捜したところで、ここまで自然と同化できる狩人は少年以外にいないだろう。彼の才能は、それほどに常軌を逸していた。
それだけが彼を、森の奥まで誘っていた。
幸か、あるいは不幸なのか。
戦いさえ避けてしまえば、魔の森の最奥まで至れるだけの才能を少年は持っていた。
土と枯れ葉に汚れ、磁石もなしに方角を測り、地図もなく少年はまっすぐ進む。常に隣り合わせの命の危機に、体力と気力が徐々に徐々に奪われていった。
それでも少年は足を止めない。
生まれ持った才能と、培った技術と。加えて強い執念だけが、少年を後押しする力になる。
――そして。
朝いちばんに森へ入ってから、太陽が完全に沈むだけの時間を費やして。
少年は、ついに森の中心へと辿り着く。
「見つ、けた……っ!」
長い苦労が報われて、少年は思わず声を上げる。
魔の森の中心。この場所だけ、なぜか木々が避けるように空間が空いていた。
まるで、ひとつの広間のような場所。
その中心には、一本の樹がそびえていた。
伝説と語り継がれる魔法の樹にしては、思いのほか背の低い樹だ。
周囲に林立する普通の木々よりなお低く、少年の身長の、せいぜい倍と少しくらい。
だが、その魔樹に宿る力強さは、周囲の植物と明らかに異なっていた。
真っ白な樹だった。
まるで未完成の絵画みたいに、葉にも幹にも色がない。塗り忘れられた白の樹木は、けれど確かに、強大な生命力を秘めている。
そして白い魔樹から伸びる枝には、乱れんばかりの真っ赤な果実。
たとえるなら、それは飛び散った鮮血のような赤だ。
完成しない絵画に絶望し、絵描きが手首を切ったかのように。いっそ醜いまでの赤い斑点が、枝という枝を埋めるように実っていた。
少年は魔樹に近づき、その太く力強い幹に触れる。
樹木というより、それは硝子か、あるいは鉱石にも似た感触だ。とてもではないが、生きているものだとは思えない。
だが代わりに果実は血のように瑞々しく、涙のような潤いで満ちている。
森中の魔力を吸い上げた樹が、その力を凝縮させた魔法の果実。
「これさえあれば……!」
少年は、吸い込まれるかのように果実へ手を伸ばす。
これさえ持ち帰れば、少女は死ななくて済むかもしれない。
そんな淡い期待は――けれど。
「――っ!?」
ばちり、と。何かに弾かれた指先で否定された。
右手を襲った鋭い痛みに、瞬間、少年は目を細めた。痺れが身体を駆け抜けていた。
指が、何かに弾かれたのだ。
そのせいで、果実に触れることができなかった。
「な――なんでっ!?」
狼狽える少年。ここまで来て、そんな形で希望を閉ざされるなんて考えもしていない。
なぜ触れることができないのだろうか。
まるで、魔物が森の結界に阻まれたときみたいに――、
「結界……!」
少年は答えに気がついた。
そう、これは結界だ。
資格なき者を阻む魔法の技術。魔法の白樹は結界に覆われていた。
この森から魔物を逃がさないための結界が。
今、少年という盗人を阻むための壁となって現れている。
「ど、どうして……っ!」
「――あら。宝物に守りがあるのは、当たり前のコトでしょう?」
――背後から。
少年の疑問に答える声がある。
「……っ」
咄嗟に少年は振り返った。いつの間にか、背後に何かの気配がある。
少年は心底から驚いた。まさか自分に接近する者があるだなんて気づいていない。
魔の森において、それは文字通り致命的な失態だ。
目標を前に、気が抜けていたのだろうか。でも、こんなに接近されるまで気づかないなんて。
少年は失敗を噛み締めながら振り返る。
それより前に、死んでしまうかもしれないと予想しながら。
だが。
「ごめんなさい。驚かせてしまったかしら?」
「…………」
「ちょっと。何も黙り込むことはないんじゃないの?」
振り返ったことで、少年の驚愕はむしろその度合いを増した。
なぜなら、そこにはひとりの人間がいたのだから。
果実の赤に似た、血のように真っ赤なドレスの女性。金色の髪は、まるで黄金でできた飴細工みたいにたおやかで、その美しさに思わず目を奪われる。
呼吸が止まったかと思った。彼女の姿を見ているだけで、少年は無意識ごと自由を束縛されてしまう。
――魔的な。
そう、あまりにも現実離れした、魔的な美貌を持つ女性だった。
見た目は確かに人間だ。
だが違う。そのことを少年は本能で悟った。
「森の……魔女」
言葉が、自然と口をついて出た。
目の前の女性の、それが正体であると気づいたから。
硬直する少年の姿に、女性はゆったりと口角を歪めて答える。
吸い込まれてしまいそうなほど。
それは――美しく恐ろしい魔女の微笑だった。
「別に、自分でそう名乗っているわけではないけれど。――でも、正解」
「そんな……だって、魔女はただの言い伝えだって……!」
「言い伝えにしかない果実を、貴方は探しに来て、そして見つけたのでしょう?」
酷く愉快げに。心底から愉悦して。
魔女は魔的に艶笑する。
「なら、言い伝えの魔女がいたっておかしくないじゃない」
――魔の森に住まい、不死の果実を育てる魔女。
確かに、森の果実があるのなら、魔女がいたっておかしくない。
そんなこと、少年は考えもしていなかったけれど。
「残念だけれど、貴方じゃその実には触れられないわ。だって、その樹には結界が張ってあるのだから」
「どう、して――」
「この森は魔女の森よ? つまり、この森のものは全て私のモノ。盗まれないように、処理を施してあって当然だと思わない?」
赤い赤い唇を、三日月みたいに魔女は歪める。
「もっともこの百年、ここまで辿り着いた人間は貴方が初めてなのだけれど」
「…………」
答えられない。何も考えられなかった。
――殺されてしまうのだろうか。
魔女の宝を盗み取ろうとしたのだ。報復をされて当然だろう。
もちろん、自分が死ぬことに恐怖はない。この森に立ち入った時点で、命の覚悟はしてきたつもりだ。
少年が恐れているのは、ただ少女を助けられなくなってしまうということだけ。
ほかのことなら、何があったって構わない。
それでも、少女の命だけは――。
たとえ自分の命と引き換えにしてでも、少年は果実を手に入れなければならない。
「……お願いします」
と、だから頼んだ。ほかに何をしていいかわからないから。
頭を下げて、少年は魔女に頼み込む。
それで死んだらお終いだ。
なにを盗人猛々しいと、魔女の機嫌を損ねるかもしれない。
森の魔物にさえ勝てない少年が、まして魔女に太刀打ちできるわけもないのだから。
――だから、頼み込む以外にないと考えた。
「ひとつだけでいいんだ。おれに、果実を分けてください……!」
「――構わないわよ」
魔女は、至極あっさりとそう答えた。
一瞬、その答えの意味がわからず、少年は呆然と頭を上げる。
その反応が痛快とばかりに、魔女は満面の笑みで言葉を繰り返した。
「だから、別にあげても構わないわよ。これだけいっぱい生っているんだから、ひとつくらいあげても私は困らないもの」
「そ、それじゃあ……!」
「けれど、この果実は森の魔力の結晶――森の宝なの。無償であげることはできないわ」
――条件がある。
魔女は、歌うようにそう口にした。
「契約よ。それさえ果たせば果実をあげる」
「契、約……」
「そう。これは魔女との契約。その意味がわからないことはないわよね。――その覚悟が、貴方にあるかしら?」
魔女は試すような口調で少年に問いかける。
――魔女との契約。
そんなものは、本来絶対に結ぶべきではない、文字通り絶対遵守の悪魔の誘いだ。
いったい何を対価に求められるか、わかったものではなかった。
――構うものか。
と、だが少年は思う。初めから、自分の命だってくれてやる覚悟だ。
魔物に渡すくらいなら、魔女のほうがいくぶんましだろう。
少年は、迷うことなく決断した。
「覚悟ならある。命をやったっていい! だから、おれに果実を分けてくれ!!」
「――別に、命を奪るなんて言ってないのだけれど」
言い募る少年に、けれど魔女は、わずかに頬を膨らませて言う。
つまらない作業を嫌う子どもみたいに、わがままで勝気な町娘みたいに――どこか魔女らしくない、なんとも俗っぽい反応だ。
思わず呆気に取られる少年。
魔女はただ、静かに続きを口にする。
「貴方の命なんて貰っても、なんの意味もないじゃない。魔女を残酷な殺人者みたいに言わないでほしいものね。そういう差別、よくないって思うの」
「でも……じゃあ、何をすれば」
「簡単なことよ」
魔女は、そして告げた。
「――貴方、しばらくここに住みなさい」
少年は、だから答えた。
「……、えっ?」