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探偵と猫と少女と疑惑 5-1
数分ほどが経って。
二人は喫茶店から外に出た。
要は手帳を開く。開いた頁には、文字が書かれていた。ウエイトレスから聞き出した情報だ。
それによれば。
「……『店の周囲をうろうろしていた猫に似ている。但し、その子を最後に見たのは四日前』か」
パタンと閉じて、ため息を吐く。
何ともあやふやな証言だ。
だが、何もないよりマシなのもまた事実。
当面はこの証言だけが頼りだ。
「よっしゃ、行くぞ。ユキ」
「かしこまりました、要様」
そうして、二人は猫捜しを再開した――ものの。
手掛かりを得たとはいえ、それさえあれば見つけられると言う訳ではない。結局のところ最後に必要なのは、体力と注意力である。
と、いう訳で。
「……ユキ、居たか?」
ゴミ袋をかき分けて捜しながら問う要に、
「見当たりません」
答えるユキの声。
喫茶店の裏だ。店員が最後に見たという辺りを、二人は捜している。
昼過ぎだと云うのに、高い建物に挟まれているこの裏通りはかなり薄暗い。しっかりと見ないと何か判別できないほどに。




