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探偵と猫と少女と疑惑 4-5

「俺か? 俺はこいつで十分だ」

コーヒーカップを掲げて、要は答えの代わりとする。

だがユキはその答えに不服だったようで、右手に持ったスプーンでオムライスを中央から真っ二つにすると、片方を自分の小皿に載せ、残った方を示しながら言った。

「半分お願いします」

「いやだ」

要は即答した。最初から食べさせるつもりで注文したものだ、それを食べるなどプライドが許さない。

けれど、ユキも引こうとはしなかった。要の答えを聞いても眉一筋すら動かさず、まったく同じ声音で繰り返す。

「半分、お願いします」

強硬な声音に、要は内心でため息を吐く。このままでは二進も三進もいかない。だから、妥協した。

「……三分のい」

「半分」

――のだが、無駄だったようだ。

「……分かったよ」

呻きながら頷いた要は、ユキの差し出した皿を引き寄せた。

スプーンで切り分けたそれを、口に含む。少し意外なほどに美味しかった。卵の柔らかな食感と甘味、中に包まれたチキンライスの舌を指すようなトマトの酸味。目にも黄色と赤のコントラストが美しい。

ぱくぱくと、口にオムライスを運びながら、要はちらりとユキの方を見る。果たしておいしく食べれているだろうか。


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