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探偵と猫と少女と疑惑1-3

但し、本棚についてはもう責めない。順番を変えられたからと言って大した問題は無い。それどころかむしろ、ユキの整理のおかげでより効率的に調べられるようになったことはどうあがいても否定できない事実である。

だから、要は対象を変えることにした。

「大体テメエは――」

そう言って要は、別のところを指をさす。

先にあるのは、テーブル。更に言えば、そこに載っているコーヒーカップだ。まだ中身もたっぷり入っているらしく、湯気が絶え間なく立ち上っている。

コーヒーカップを指さしながら、要は言う。

「何でいつも自分の分のコーヒーしか入れないんだ‼」

「それが、何か?」

「俺の分も淹れてくれたっていいじゃねえか」

「趣味や嗜好を考えると、私が淹れるよりご自分でされた方がよろしいかと」

「いや、そういう事じゃねえんだよ‼」

「ではどういう事なのでしょうか?」

「……ああクソっ‼」

まったくの平行線だ。

ユキは道理を説いているだけであり、要には引く気はない。

ユキが事務所に来てからだ。

ユキが事務所に来てからずっと、このような口論が毎日、二人の間で種を変えながら毎日続けられている。

そして、その九割はユキがもっともな正論によって勝利を収めてきた。

だから、だから今日こそは目に物見せてやると、要が口を開こうとした、その時。

「御免下さいな」

声がした。事務所の入口の、向こうから。


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