表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/97

探偵と屋根と少女と出逢い5-6

無意識の内に、要はその傍らに膝をついていた。

流せる程の間柄ではないから、涙は出て来ない。けれど、悼む気持ちは確かにあった。自分の目の前で、この子は死んだのだ。自分が止めれたかもしれないのに、この子は死んでしまったのだ。

頬に飛び散った血が目についた。要は黙って、それをそっと拭ってやる。

と、その時。

「何だよおい‼」

声がした、五人目の声が。

目を向けると、レジの後ろ、厨房へと続く出入り口の所に覆面男が立っていた。それも、こちらに拳銃を向けて。

――あいつが、三人目か。

他人事のように、要は思った。

もう抵抗する気もなかった。男は銃を持っているが自分は丸腰。こちらは近寄らなきゃ倒せないが、男までの距離は十メートルほどあるから、走り寄る間に確実に撃たれる。

何もしなくたって、倒された二人の仲間を見つけ次第、男は引き金を引くだろう。

つまり、八方ふさがりな訳だ。

男が何事かを喚きながら近づいてきているが、要には、もうどうでも良かった。

恐らくこのまま撃たれるだろうが、仕方ない。

そうして、要はいずれ来る一撃を思いながら、男を見つめ――。

しかし、男の靴が血だまりを踏んだ、その瞬間だった。

その体が突然宙に浮かんだ。いや、天井へ向かって飛び上がったというべきか。目にも留まらぬ速さだった。

要に見えたのは、結末だけ。即ち、天井から体をぶらんとぶら下げている男の姿だ。

「……は?」

思わず声が漏れた。

一体何が起こったのか、まったく分からなかった。

ひと時も目を離していないのだから、見落としは無い。分かってはいるが、それでも要は自分の目を疑ってしまう。

近づき見上げれば、確かに男は天井に顔をめり込ませて、力なくぶら下がっている。

だが、どうしてだ。

 なぜ、どうしてこうなったのか。本来ならばこの胸に穴が空いているはずだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ