表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/97

探偵と屋根と少女と出逢い4-5

何も言い返せない要を見た葵はまた笑って、それから立ち上がり、そのまま部屋から出て行く。

戻って来るまでに一分も経たなかった。

再び入ってきた葵は、その手には何やら分厚いファイルを持っていた。

恐らく届け出の類が入っているのだろう、と要は考えた。

ソファに座り、それをぱらぱらと捲りながら、葵は訊いた。

「じゃあその子の名前を聞かせてもらえますか?」

要は答えた。

「分かりません」

「……え?」

ファイルから顔を上げた葵は、怪訝な表情をしていた。

それはそうだ、と要も思う。けれど、事実なのだからどうしようもないのだ。

「教えてくれないんですよ、こいつ」

これも事実を言ったまでだ。

けれども葵はその言葉を信じられなかったようで、

「……」

疑いを込めた眼差しで要を一瞥すると、少女の方へ向き直り、訊ねた

「お姉さんに名前、教えてくれるかな?」

「ありません」

即答だった。

「……」

少女から要へと視線を動かすと、葵はにっこりと笑い、パタンとファイルを閉じて告げた。

「どうやら無理みたいですね」

「そんな無責任な!」

思わず要は大声で叫んでいた。

あまりに大きすぎて、部屋の外まで聞こえていたようだ。扉の向こうで作業をしている刑事達の何人かが視線を向けてきたのが、部屋の窓から見えた。。

要は誤魔化すように咳払いをひとつ。

そしてさっきよりも小さく、しかし懇願するような声音で葵に訊ねた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ