探偵と屋根と少女と出逢い4-2
それから数分歩後。
長椅子で待っていた二人が通された部屋のドアの隣には、『捜査一課』というプレートがあった。
要の事務所を四つ横に並べたくらいの広さの部屋だ。中は雑然として見えた、別に、要の事務所のように様々な物が辺り一面に散らばっていると言う訳ではない。人が多いのと、二ダースはあるだろうデスクの上がいささか散らばっていることから、きっとそう感じるのだ。
要と少女は、紙コップに入ったコーヒーと共に、部屋の片隅にある小部屋に通された。中にはテーブルと、それを挟むようにして高級そうなソファ二つが置かれていた。
要と少女は並ぶようにしてソファに腰を下ろす。
座って一分も待たないうちに、待ち人は来た。
扉の開く音がして、要は入り口の方に目を向ける。
「こんにちは、要君」
挨拶と共に入って来たのは婦警だった。
身長は百六十もないだろう。艶やかな栗色の髪を後頭部の高い位置で結んでいる。服装はパンツにジャケット、どちらもシンプルで実用性一辺倒といった風である。
そして、婦警の特徴の中でも最も特筆すべきはその外見だ。身長の低さところころ変わる表情も相まって、服さえ女子高生のそれに着替えれば見破れる者はいないだろう。
婦警の名前は高坂葵。要とも有紗とも旧知の中であり、要より五歳年上の、れっきとした刑事である。




