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Panjandrum(仮)  作者: オーデン&ファシズレ
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1・1話

あの戦いから数ヶ月後、とある高鍋の高校の教室にて―――――


「ねぇ、今日何日?」

黒板の日付を書き換えようと手に持ったチョークを黒板に押さえつけたまま少年に訪ねる静流。今日は静流と少年は日直係なのだ。

「えー・・・っと・・・・・。」

「何?あんたも分かんないわけ?」と、呆れ顔で少年を見つめる静流。

「い、いや・・・。って今日は10月1日になったばっかじゃん!!」

「あら?そうだったかしら。で、あんたの苗字なんだったけ?」

「長塚だよっ!永塚誠吾!!」少年は焦り気味で静流に言う。

「っさいわね~~。そんなに怒らなくてもいいじゃない、冗談よ冗談っ。」内心驚いている静流だが、あえて余裕ぶって誠吾に対応する。

「・・・はぁ。ならいいんだけど。」と安堵する誠吾。

「はいはい・・・。」黒板に押さえつけたままのチョークをやっと動かす静流。

「10月1日、今日の日直、 朝倉静流と長塚誠・・・あれ。せいごのごって漢字で何だったっけ??」今度は本当に分からない様子の静流。

「全然よくねぇ・・・。」何かを通り越して、諦め顔でうなだれる永塚誠吾少年であった。

爽やかな朝だ。澄み切った空気だ。朝陽が眩しい。

つい数ヶ月前に此処一帯が戦場だったのだ。だが、そんなことを感じさせないほどこの空間は心地よいものだった。


いつの間にか教室にいる生徒の数が増えている。

生徒たちは一様に談笑をしている。

普段何気ない日常の中・・・突然、何かが落ちてくる音が近づいてくる。


ひゅううううぅぅぅぅぅぅ


「ねぇ、この音・・・」静流が手を止める。



「おい!逃げろぉぉぉおおおおおおおお!」


「!??」


誠吾の大声に周りのクラスメイト、静流はとっさに教室から外へ逃げ込こんだ。


そしてそれから数秒後、静流と誠吾のいた教室を中心に周囲が吹き飛んだ。

粉塵が巻き上がり視界がぼやける。頭上からパラパラと何とも分からぬ破片か降ってくる。短いスパンで爆音が聞こえる。速射性が高い兵器で攻撃が加えられたのだろう。

「なんなの?大砲?」

「ああ、恐らく迫撃砲だろうな」

幸いにも誠吾と静流は五接地転回法(ごせっちてんかいほう)とよばれるパラシュート降下時に使われる着地法により無傷で済んでいる。

これは足先が着地したと同時に体への反動を受け流す様に地面に倒れこむことによって衝撃を地面に分散させるという方法である。

 しかし、中には着地に失敗し足を骨折した生徒や逃げ遅れた生徒がいたようで、叫び声や呻き声、泣き叫び声などの様々な声が飛び交っていた。

死の恐怖が辺り一帯を覆っていたが、それもすぐに気にならなくなった。

落ち着いた様子で誠吾はうずくまっている生徒のもとに行って足に破片が刺さっていることを確認し、静流に救護班を呼ぶよう頼んだ。

やがてもやが取り払われると澄み切った空が現れた。

周りの生徒が待避し終わると、彼は天を仰ぐとゆっくり周囲と歩調を合わせてその場から去って行った。



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