エピローグ?(祐希視点)
あんな事があってから、もう1ヶ月余りが過ぎていた。
夏休みの思い出と流すには、凄く濃いと言うか、複雑過ぎたのには、未だに苦笑させられる。
祐希「あ、伊織? 今日はあなたも研究所でしょ?」
電話越しに予定を確認をする。 あたしも伊織も、学校が始まってからは、それほど研究所には顔を出していない。
美海さんや遥さんと、メールや電話のやり取りはしているし、伊織と現実世界で遊んだりもしたけれど、2人してあの世界に行くのは、ずいぶん久しぶりな気がする。
伊織「もう着く。 口うるさい所は変わらない… と言うか、より激しくなってないか?」
祐希「何ですって? もう1回… あ、見えた!」
あたしは携帯を切って、遠くに見えた伊織に手を振る。
伊織「恥ずかしいヤツだな。 いちいち手なんか振るなよ」
息が荒いのは、走って来たせいなのかな?
遥「ほう。 この程度で恥ずかしがるとは、私の時とは随分と態度が違うじゃないか?」
そう言って現れたのは、最近大忙しと言っていた遥さんだった。 実は今日も、あの世界の取材を受ける予定で集まったのよね。
伊織「うるせ~。 要求には応えてやっただろうが」
祐希「要求?」
伊織の言い方が気になったから、そう聞き返してみた。
遥「それは、あの世界での事に決まっている。 あっちの伊織には、いろいろと世話になったからな」
祐希「そうかも。 あの世界じゃ、数えきれないくらい武勇伝があるもんね」
思わず納得。 ホントあの世界では、いろいろ伊織に引っかき回された。
良い意味でも、悪い意味でもね。
美海「うんうん、みんな変わらないなぁ~。 ちょっと安心」
いつの間にか現れた美海さんまで納得顔だし。
美海「みんな揃ったみたいだね? 元気だった?」
伊織「元気って、美海とは一昨日会ったばかりだろ?」
呆れた様子の伊織だったけれど、何か違和感。
遥「い、伊織?! 今『美海』と呼び捨てにしたな? 2人の間に何があった? 白状するんだ!」
遥さんが、相変わらずの鋭い観察眼でツッコミを入れていた。 そう言えば伊織って、今まで美海さんを何て呼んでたっけ?
伊織「あのなぁ!
…って真面目に相手すると、疲れるからヤメた。 元から呼び捨ての2人に、今さら何を言われても聞こえね~」
確かに伊織って、気軽に他人を呼び捨てにする所があるもんね。
祐希「個別にはいろいろあったようですけど、みんなが揃うの久しぶりですね」
あたしは感じた事を口にする。
遥「そうだな。 私にしても、伊織を何回か研究所に呼び出してはいるし、祐希とプライベートで出かけたりもしたが、全員が勢揃いとなるとな」
プライベートなんて言っても、買い物に付き合っただけなんだけれど。 ただ、その日の遥さんは凄く上機嫌で、たくさん服を買って貰っちゃったりしたっけ。
美海「みんな揃わないだけで寂しいなんて、もう家族みたいだね?」
美海さんの言葉に、なんか納得。
伊織「うちの家族よりはいくらかマシだから、あえて文句は言わないでおいてやる」
祐希「そかなぁ~? 楽しいお父さんとお母さんだった気がするけど」
伊織「たまに見ると面白いコントも、毎日見ると飽きる。 お前にはそれが分かっていない。 そもそも…」
所員「盛り上っているところすみません。 記者の方が見えられました」
伊織はもっとなにか言いたげだったが、そこに取材時間を告げられ、話はお開きになった。
遥「こうして4人集まると、話題は尽きないな。 取材が終わったら、飲みに行かないか?」
この言葉だけなら、どこにでもある普通の誘いなんだけれど。
伊織「まさかと思うが、飲みに行くのは『あの世界』じゃないだろうな?
しかもその後…」
遥「さあどうだろうな? まずは、取材に当たっての諸注意だが」
祐希「あ、遥さん待ってくださ~い」
追いかける。 取材は緊張するけど、後であの世界で飲めるなら、それもいいかなって思えた。
だってあの世界なら、その後もアリなんだもん。
祐希「ねえ伊織? あなたはこの後…」
あたしは、自分の顔が赤い事に気がついていなかった…。
お読みいただいたみなさんに、まずはお礼を申し上げます。
読みにくい所などが多々あったと思いますが、最後までお付き合い頂いた事に、ただただ感謝です。
この小説を書くに当たって
☆短く纏める事
☆ソフトなエロスをあえて入れる事
☆この世界の設定を綿密に練る事
には気を遣ってみたつもりでしたが、そちらの評価を書いて頂けたら幸いです。 できれば、通報はしないでくださいね(苦笑)
あと、この小説ではかなり独特な言い回しを用いています。
そのために、読者の方々のご想像にお任せする所がやたらに増えてしまい、ご負担となっていないか心配です。
だいたいこの小説、4人の誰と誰がその後どういう関係になったのか、関係を匂わせるに留め、あえて結論を書いていません。
例えば伊織は、エピローグで『祐希と遊びに行った』とあり、また祐希が伊織の家族を知っていた事から、家に呼んだと推察されます。
しかし『美海とは一昨日会った』とあり、呼び捨てにしたのも、プライベートで何かあったから? 彼の気持ち1つでは、『亡き恋人にそっくり』という容姿が、美海の心を捉えるきっかけになるかも?
いやいや、遥の『要求に応えてやった』となれば、2人は現実世界でも肉体関係に???
小説でマルチエンディングなんて、我ながら無謀な挑戦をしたものだと思いますが、もしお読みになられている方に、誰と誰が無事結ばれたと印象があったのならば、それはきっと読んでいく上でお持ちいただいたイメージで、それこそがあたしが書きたかったエンディングの1つ…
そんな方が、1人でも多くいていただけることを願って。
本当に、お読みいただきありがとうございました。
P.S
あり得ないとは思いますが、続編のリクエストも一応お待ちしております。 誰と誰が結びついたら、その後どうなるか…?
ご要望かあれば書くかも知れません。 ガンダム・ユーフォリアの合間に(笑)