表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな賢者は隠しごと 〜三歳のレオンは、のほほんと照らす〜  作者: マシュマロ羊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/38

宣言前の侯爵邸─作戦会議─

拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。

お待たせいたしました。

ひとときのほほんとよろしくお願いします。

不定期になりますが、のんびりお付き合い

いただければ幸いです( * ॑꒳ ॑*)

 





 侯爵邸の作戦会議室。

 宣言の舞台が整い、正式に宣言日時の発表後は、さらに侯爵邸の周りは騒がしくなりました。幸い味方も増え、たくさんの情報が手に入る様になりたしたが……、その分神経を使わざる得なくなったのです。

 ルートは2つ……、地図を広げたマルクスや、腕組みをしたブルーノたちの中心で、レオンの兄アルベルトが力強く机を叩きました。


「父上、僕は残ります。王宮の夜会よりも、ここに残ってレオンを守る盾になりたい!」


 アルベルトの真剣な訴えに、膝の上でゴーグルをいじっていたレオンが「にーたま……?」と顔を上げました。兄の騎士としての正義感、そして何より弟を想う熱意が室内に響きます。


「アルベルト、その気持ちは嬉しい。だが……」


 ヴィルトール侯爵は、静かに首を振りました。


「お前はカトリーヌと共に王宮へ行け。あちらの夜会もまた、別の意味での『戦場』なのだ」


 傍らにいた姉のカトリーヌが、不安そうに眉を下げて口を開きます。


「お父様、私は大丈夫ですわ。山葵スプレー(これ)があります!それよりもレオンが狙われるというこの夜に、アルベルト兄様を側にいてくれた方が……」


「いいえ、カトリーヌ様……」


 それまで黙って書類を整理していた執事のセバスが、眼鏡の奥の目を鋭く光らせて遮りました。


「王宮はこの邸に攻めてくる賊たちよりも、ある種ややこしく、ドロドロしております。あそこは刃物ではなく、言葉と毒と、見えない足の引っ張り合いで人を殺す場所……。カトリーヌ様が一人で立ち向かうには、少々難しいかと……」


「ドロドロ……?」


 レオンが、首を傾げて呟きました。


「 あっちも、ベタベタ?」


「ああ、そうだ。レオンの言う通りだ」


 ヴィクトールは苦笑し、レオンの柔らかな髪を撫でました。


「王宮のドロドロは、しつこくなかなか落ちない。アルベルト、お前の剣はカトリーヌに群がる不埒な輩や、言葉の裏に毒針を隠した者たちを追い払うために使え。……レオンは屋敷にいる者たちが支える。信じるんだ」


 アルベルトは悔しそうに拳を握りましたが、隣で不安げにドレスの裾を掴むカトリーヌを見て、覚悟を決めたように頷きました。


「……分かりました。カトリーヌの周囲一歩たりとも近づかせません」


「ん! にーたま、ねーさま、ボク、だいじょぉぶ」


 レオンが、小さな握り拳を自分の胸にトントンと叩きます。


「……ボク、みんないる。だから、だいじょーぶ。ねーさまは、きれいきれい」


 その無邪気な宣言に、張り詰めていた会議室の空気がふっと和らぎました。


「……ふふ、そうね。私が汚れて帰ってきたら、レオンに怒られてしまうものね」


 カトリーヌが微笑み、アルベルトもようやく肩の力を抜きました。

 襲撃に備える邸と、権謀術数という泥沼が渦巻く王宮……。

 二つの戦場に向かう家族が、互いの無事を信じ準備を整えたのでした。






「……ブルーノ。お前の右脚、湿気る夜はまだ疼くのか?」


 地図を指差していたアルベルトが、ふと手を止めてブルーノの足元を見ました。

 ブルーノは一瞬、眉をぴくりと動かしましたが、すぐにいつもの無表情に戻ります。


「……いえ、お気になさらず。任務に支障はございません」


「嘘を言うな。先ほどから重心が左に寄っている」


 アルベルトの目は誤魔化せません。

 確実にレオンを守りたいからこそ、仲間の万全を求めているのです。

 父ヴィクトールも深く頷き、重々しい声で尋ねました。


「ブルーノ。…本当はどうなのだ?」


「……。……かつての戦傷で、骨が冷えると強張る程度です。坊ちゃまをお守りする盾としては、これしき――」


「……ブルーノ、いたいいたい?」


 膝の上で話を聞いていたレオンが、ひょいと顔を覗き込みました。

 レオンの真っ直ぐな瞳に見つめられ、ブルーノもわずかに言葉を詰まらせます。


「……ええ。少々、石のように固まってしまうのです、坊ちゃま」


「……ふーん。……カチカチ、なの?」


 レオンは何かを思い出したように「……あ!」と声を上げました。


「……あった! 『あちち』の、いいの、あった!!」


 レオンは短い脚をパタパタと動かし飛び降りると、そのまま部屋を飛び出して行きました。

「坊ちゃま!?」「危ないですよ!」とブルーノが追いかけようとしましたが、ヴィクトールが手で制しました。


「待て!……なにか秘策があるのだろう」


 数分後、パタパタという足音と共に戻ってきたレオンの手には、小さな陶器の壺が握られていました。


「……これ! 『アチアチ』の、まぜまぜ、失敗したの!」


 レオンが蓋を開けると、ツンとした刺激臭ではなく、どこか懐かしい、ポカポカとした香りが漂います。


「トウガラシ、すこし。……ミント、すこし。……あと、キャンドル、ゴマ油!」


 レオンはブルーノの膝にしがみつくと、小さな手でその練り薬をブルーノの右脚のズボンの上からペタペタと塗ろうとします。


「……これ、ずっと、『アチアチ』。……ぬりぬりしたら、カチカチ、ないの!」


 実は分量を間違えて「じんわり温かくなる」程度で止まってしまった失敗作。

 ……前世の知識でいうところの『温感湿布(カプサイシン軟膏)』そのものでした。

 ブルーノが戸惑いながらも、レオンの熱意に負けてズボンを捲り、傷跡の残る膝にそれを塗り込むと……。


「…………!……温かい、骨の芯まで、陽だまりがあるようです」


 ブルーノの表情が、目に見えて緩みました。

 強張っていた筋肉が解け、血の巡りが戻ってきたようです。


「あと、これサクラさん、巻きまきしゅるの」


 アルベルトがレオンの言うような巻き方をすると……。


「……軟骨と合わさるとベトってひっつくな」


「ねー♪で、包たいするの」


 言われた通りブルーノが上から包帯を簡単に巻き、足の状態を確認するのため、いろいろと動いてみると……。


「……う、動かし易くなりました」


 桜の皮には鎮痛の成分と、マツヤニと似たベタベタ成分、なにより乾かなければ、弾力としなりがサポーターのような働きをします。


「……よし。これでブルーノは万全だな」


 アルベルトが安堵の表情を見せ、ヴィクトール侯爵も力強く頷きました。


「レオン、お前はスゴいな。我が家の最強な盾を直したんだ」


「……ん! ブルーノ、かっこいい。これで、ガォー! できる!」


 レオンの誇らしげな笑顔に、決戦前の重苦しい空気は消え去ります。

 ブルーノに至っては冷静沈着な彼には珍しく、耳たぶを真っ赤に色づかせ照れるのでした。

 そんなブルーノの様子を見たヴィクトールとアルベルトは、((私(俺)も戦えば負けないぞ))と思い、思わずブルーノを睨みつけたのです。



 気づけば小さな賢者(レオン)は、身体の「お手入れ」もしてしまったのですが、かっこいいを前にどうでもよくなる3人でした。












読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)

たくさんのブクマやポイント

ありがとうございます( * ॑꒳ ॑*)

とても励みになり、がんばろうと思いです。

メールもとても嬉しいです。

ネタになることもあります♪

誤字脱字もありがとうございます。(о´∀`о)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
湿布(カプサイシン軟膏)もこの世界初? みんなスルーしてますけど、あとで大騒ぎ第二弾? だって腰痛・肩こりにも効きそう。 文官さん達の間で大好評になりそうでは?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ