宣言前の侯爵邸─作戦会議─
拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。
お待たせいたしました。
ひとときのほほんとよろしくお願いします。
不定期になりますが、のんびりお付き合い
いただければ幸いです( * ॑꒳ ॑*)
侯爵邸の作戦会議室。
宣言の舞台が整い、正式に宣言日時の発表後は、さらに侯爵邸の周りは騒がしくなりました。幸い味方も増え、たくさんの情報が手に入る様になりたしたが……、その分神経を使わざる得なくなったのです。
ルートは2つ……、地図を広げたマルクスや、腕組みをしたブルーノたちの中心で、レオンの兄アルベルトが力強く机を叩きました。
「父上、僕は残ります。王宮の夜会よりも、ここに残ってレオンを守る盾になりたい!」
アルベルトの真剣な訴えに、膝の上でゴーグルをいじっていたレオンが「にーたま……?」と顔を上げました。兄の騎士としての正義感、そして何より弟を想う熱意が室内に響きます。
「アルベルト、その気持ちは嬉しい。だが……」
ヴィルトール侯爵は、静かに首を振りました。
「お前はカトリーヌと共に王宮へ行け。あちらの夜会もまた、別の意味での『戦場』なのだ」
傍らにいた姉のカトリーヌが、不安そうに眉を下げて口を開きます。
「お父様、私は大丈夫ですわ。山葵スプレーがあります!それよりもレオンが狙われるというこの夜に、アルベルト兄様を側にいてくれた方が……」
「いいえ、カトリーヌ様……」
それまで黙って書類を整理していた執事のセバスが、眼鏡の奥の目を鋭く光らせて遮りました。
「王宮はこの邸に攻めてくる賊たちよりも、ある種ややこしく、ドロドロしております。あそこは刃物ではなく、言葉と毒と、見えない足の引っ張り合いで人を殺す場所……。カトリーヌ様が一人で立ち向かうには、少々難しいかと……」
「ドロドロ……?」
レオンが、首を傾げて呟きました。
「 あっちも、ベタベタ?」
「ああ、そうだ。レオンの言う通りだ」
ヴィクトールは苦笑し、レオンの柔らかな髪を撫でました。
「王宮のドロドロは、しつこくなかなか落ちない。アルベルト、お前の剣はカトリーヌに群がる不埒な輩や、言葉の裏に毒針を隠した者たちを追い払うために使え。……レオンは屋敷にいる者たちが支える。信じるんだ」
アルベルトは悔しそうに拳を握りましたが、隣で不安げにドレスの裾を掴むカトリーヌを見て、覚悟を決めたように頷きました。
「……分かりました。カトリーヌの周囲一歩たりとも近づかせません」
「ん! にーたま、ねーさま、ボク、だいじょぉぶ」
レオンが、小さな握り拳を自分の胸にトントンと叩きます。
「……ボク、みんないる。だから、だいじょーぶ。ねーさまは、きれいきれい」
その無邪気な宣言に、張り詰めていた会議室の空気がふっと和らぎました。
「……ふふ、そうね。私が汚れて帰ってきたら、レオンに怒られてしまうものね」
カトリーヌが微笑み、アルベルトもようやく肩の力を抜きました。
襲撃に備える邸と、権謀術数という泥沼が渦巻く王宮……。
二つの戦場に向かう家族が、互いの無事を信じ準備を整えたのでした。
「……ブルーノ。お前の右脚、湿気る夜はまだ疼くのか?」
地図を指差していたアルベルトが、ふと手を止めてブルーノの足元を見ました。
ブルーノは一瞬、眉をぴくりと動かしましたが、すぐにいつもの無表情に戻ります。
「……いえ、お気になさらず。任務に支障はございません」
「嘘を言うな。先ほどから重心が左に寄っている」
アルベルトの目は誤魔化せません。
確実にレオンを守りたいからこそ、仲間の万全を求めているのです。
父ヴィクトールも深く頷き、重々しい声で尋ねました。
「ブルーノ。…本当はどうなのだ?」
「……。……かつての戦傷で、骨が冷えると強張る程度です。坊ちゃまをお守りする盾としては、これしき――」
「……ブルーノ、いたいいたい?」
膝の上で話を聞いていたレオンが、ひょいと顔を覗き込みました。
レオンの真っ直ぐな瞳に見つめられ、ブルーノもわずかに言葉を詰まらせます。
「……ええ。少々、石のように固まってしまうのです、坊ちゃま」
「……ふーん。……カチカチ、なの?」
レオンは何かを思い出したように「……あ!」と声を上げました。
「……あった! 『あちち』の、いいの、あった!!」
レオンは短い脚をパタパタと動かし飛び降りると、そのまま部屋を飛び出して行きました。
「坊ちゃま!?」「危ないですよ!」とブルーノが追いかけようとしましたが、ヴィクトールが手で制しました。
「待て!……なにか秘策があるのだろう」
数分後、パタパタという足音と共に戻ってきたレオンの手には、小さな陶器の壺が握られていました。
「……これ! 『アチアチ』の、まぜまぜ、失敗したの!」
レオンが蓋を開けると、ツンとした刺激臭ではなく、どこか懐かしい、ポカポカとした香りが漂います。
「トウガラシ、すこし。……ミント、すこし。……あと、キャンドル、ゴマ油!」
レオンはブルーノの膝にしがみつくと、小さな手でその練り薬をブルーノの右脚のズボンの上からペタペタと塗ろうとします。
「……これ、ずっと、『アチアチ』。……ぬりぬりしたら、カチカチ、ないの!」
実は分量を間違えて「じんわり温かくなる」程度で止まってしまった失敗作。
……前世の知識でいうところの『温感湿布(カプサイシン軟膏)』そのものでした。
ブルーノが戸惑いながらも、レオンの熱意に負けてズボンを捲り、傷跡の残る膝にそれを塗り込むと……。
「…………!……温かい、骨の芯まで、陽だまりがあるようです」
ブルーノの表情が、目に見えて緩みました。
強張っていた筋肉が解け、血の巡りが戻ってきたようです。
「あと、これサクラさん、巻きまきしゅるの」
アルベルトがレオンの言うような巻き方をすると……。
「……軟骨と合わさるとベトってひっつくな」
「ねー♪で、包たいするの」
言われた通りブルーノが上から包帯を簡単に巻き、足の状態を確認するのため、いろいろと動いてみると……。
「……う、動かし易くなりました」
桜の皮には鎮痛の成分と、マツヤニと似たベタベタ成分、なにより乾かなければ、弾力としなりがサポーターのような働きをします。
「……よし。これでブルーノは万全だな」
アルベルトが安堵の表情を見せ、ヴィクトール侯爵も力強く頷きました。
「レオン、お前はスゴいな。我が家の最強な盾を直したんだ」
「……ん! ブルーノ、かっこいい。これで、ガォー! できる!」
レオンの誇らしげな笑顔に、決戦前の重苦しい空気は消え去ります。
ブルーノに至っては冷静沈着な彼には珍しく、耳たぶを真っ赤に色づかせ照れるのでした。
そんなブルーノの様子を見たヴィクトールとアルベルトは、((私(俺)も戦えば負けないぞ))と思い、思わずブルーノを睨みつけたのです。
気づけば小さな賢者は、身体の「お手入れ」もしてしまったのですが、かっこいいを前にどうでもよくなる3人でした。
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