天使の軍師と、最強の使用人連合
拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。
お待たせいたしました。
ひとときのほほんとよろしくお願いします。
不定期になりますが、のんびりお付き合い
いただければ幸いです( * ॑꒳ ॑*)
微熱も下がり、すっかり元気(?)になったレオンは、父ヴィクトールの腕の中にいました。
三角帽子をかぶり、もふもふパジャマの上にモコモコのガウンを着せられています。(暑すぎです)
「……レオン様の考案された作戦を、教えてくれますか?」
マルクスは眼鏡を指で押し上げ、レオンが描いた図の補足を受けます。
「ミントだけ、ダメ。また起きる。もっと……ギュッ、する」
寝ぐせで少し斜めになった三角帽子の先っぽを揺らしながら、レオンは小さな手をギュッと握り締めます。
レオンの言葉に、参謀マルクスが眼鏡を光らせて頷きました。
「……わかりました。レオン様、この『ベタベタ』と『スベスベ』、を詳しく教えていただけますか?」
「……これ、マツヤニと、灰と、はいゆ。まぜまぜして、すっごい、ベタベタ。悪さん、手にベタついて、ナイフぽいよ」
それを聞いたセバスは、青ざめた様子で配置位置を確認します。
「……こっち、ラードとアロエ、あとツルツル石の粉。とってもツルスベ。悪さん、踊っちゃうの」
今度は筆頭メイドが場所確認をします。
「レオン、……これは?」
ヴィクトールが指差したのは、雑草とトウガラシです。
「イラクサよ。怒りぼうと、仲良しなの。油でちゃぷんすると、『アチアチ』しゅるの」
みんなが疑問に思う中、マルクスとブルーノだけが、凶悪な笑顔でゆっくりと頷きました。
レオンの考えた「一人で出来るもん作戦」は、意外にもしっかりとした作戦だったのです。
「よし、配置を設定する!」
全てを理解したマルクスは、指示を飛ばします。
「マルコは厨房で『ベタベタ』を制作。手の空いた者は、邸宅の裏に穴を掘り流し込む。落ちれば脱出不可能なモノにする!」
「ニコは屋根の上だ! 網の仕込みと灰の準備。網で賊の動きを封じる」
「メイド隊は古布を準備だ! 網に掛かった敵を布で包み込み、完全を封じた上からバケツで『ミント液』をぶっかけろ!」
レオンも大きな声で指示を出します。
「へいに、おいで、するとこ、ほちい。 悪さん、ウンショ! って、穴おちる。そこに……『アチアチ』ザバァしゅる!」
「御意! 誘い込み塀を作れ!他の塀に『ベタかスベ』で、使いづらくする」
みんなが指示に従い動き出します。
手持ち無沙汰になったレオンは、マルクスを見ています。
「レオン様は悪い方々が二度と悪いことをしないように、ガォーとして下さい」
「めっ!しゅるの?」
「そうです。めっ!です。悪いことを二度としないように、めっ!をして下さい。とりあえず今は休息、体力をつけるのがレオン様のお仕事です」
穏やかな優しい目に絆されたレオンは、へにゃりと笑いました。
レオンの「一人で守らなきゃ」という孤独な悪戯が、今では大人の知識と合流し、侯爵邸は文字通り『要塞』へと変貌を遂げようとしています。
ヴィクトールは、レオンの小さな頭を優しく撫でました。
「……とーさま。みんな、いたいいたい、しない?」
「ああ。お前の作った悪戯アイテムがあれば、敵は戦う前に戦意を喪失するだろうからな」
ヴィクトールがクスクス笑うと、レオンは小さな笑顔を見せました。
不安でだんまりを決めていた数日間が嘘のようです。
「みんな、いっしょよ♪」
「御意!」
使用人たちが一斉に膝をつきます。
その光景は最強軍団の出陣式のようでした。
「よし。作戦名は――『天使の悪戯』!」
マルクスの宣言と共に、侯爵邸の全使用人が動き出しましたが、ただ一人……。
「あぇ?ピカピカ・ガォーは?」
疑問に思ったレオンが、不安そうにヴィクトールの袖を引くと……。
「……あぁ!ライオンさんのガォーだよ。これだけの罠があれば、敵は戦う前に逃げ出すだろう。お前がみんなを守るために、がんばった証だ」
ヴィクトールは慌て誤魔化し、ゴーグルをつけたレオンを高く抱き上げました。
高い位置から見る景色は、また違って見えます。
背後には自分を愛し、共に戦ってくれる最強の家族と仲間たちがいる……。
(……一人じゃない)
「さぁ出陣だ。レオン!」
「……ガォー! 準備、おっけー!」
三歳の軍師が、力強く拳を突き上げました。
火蓋は切って落とされたのです。
夜の侯爵邸。
静寂が支配する庭園に、カサリと不穏な音が響きました。
ヴィッパー率いる精鋭部隊が、誘い込みの塀を越えようと近づきます。
「……ふん、手薄な邸だな。一気にカタがつきそうだ」
精鋭の隊員たちは塀の縁をガシリと掴み飛び降りると……。
ズブシュッ!!!
「な、なんだこれは!? 動けん、脚が抜けんぞ!」
穴の底には、マルコが煮詰めた『ベタベタ』がありました。
膝までの高さに流し込まれた液体に、身動きが取れず、ついでにめちゃくちゃ臭いです。
アルベルトたちが作った落とし穴は、這い上がる事もできずに、しっかりと機能しています。
「今です、ニコ! 追い打ちを!」
マルクスの鋭く指示を出します。
「了解!メイドさんお願いします!」
ニコが合図を送ると、メイドたちが一斉にバケツに入った灰を、穴にぶち込みました。
「ごふっ!? な、灰か……? ……ん?ま、待て?固まってきて……動けな……っ!」
「目、目が……!!」
『ベタベタ』がついた箇所は、化学反応で粘り気が重く、硬まり始めました。
さらに吸い込んだ灰は、くしゃみを誘発し、目に入ればとても沁みて痛いのです。
「……仕上げですよ、坊ちゃま」
ブルーノがゴーグルを装着したレオンに言うと、ザッと筆頭メイド含め4名が、バケツと柄杓を手に持ちレオンの合図を待っています。
「あい!悪さん、バイバイ!!」
「「「「御意!!」」」」
ザバァァァァン……!!
「「「「「ぎゃああああああああああ!!!」」」」」
精鋭部隊の鋭さはどこへやら、穴の底から叫び声が聞こえてきます。
「目が、目が焼ける! 誰か水を! ぐあああッ、かゆい! 殺してくれぇ!」
「……た、助け! ……ッ!」
そこへ追い打ちの『アチアチ』が降り注ぐと、『ベタベタ』と混ざり合い、剥がすことのできない「燃える鎧」となって彼らの肌に張り付きます。
「熱い! 取れねぇ! 誰か、この粘つく火を消してくれッ!!」
一人が腕を振れば、隣の男の顔面に『アチアチ』がべっとりと飛び散り、穴の底は絶叫と、ベチョッという不快な音に支配されました。
男たちは、熱風と刺痛にのたうち回り『ベタベタ』が身体に絡みつきます。
「ヒィィッ! 鼻が、鼻が火を噴いてるッ! 息ができねえ!」
暗闇の底で、一人が鼻をかきむしれば、その激辛の指が隣の男の目に突き刺さり、連鎖的な悲鳴が夜の静寂をズタズタに切り裂いた。
メイドたちの無慈悲な追い打ちに、隊員のプライドは粉々に崩れ落ちました。
そして背後に控えていたマルクスが、冷ややかに告げます。
「ニコ、明日古布で包んで裏庭へ。憲兵団に『不燃ゴミ』として引き渡すように」
「わかりました!」
「……ひっ、ひぃ……ッ! 目が、鼻が、焼けるように痛いっす……!」
穴の底には精鋭部隊の影も形もない「赤黒い塊」が転がっていました。
「……ボク、かった?」
レオンはゴーグルを額に上げると、ハァ〜と息を吐いて、ペタっと地べたに座ります。
「坊ちゃまの勝ちです。坊ちゃまの作戦が侯爵邸を、守りましたよ」
ブルーノは悶絶する侵入者たちを冷ややかな目で見下ろした後、レオンを抱き上げて労いました。
「……レオン坊ちゃま。『これは何者ですか?』と聞かれたら、なんと答えましょうか?」
ニコがベタベタの塊(元・精鋭部隊)に指差ししながら尋ねます。
「……悪さんなの。悪いことしたから、めっ!したの」
レオンの無垢な答えに、転がっている隊員たちがブルッと震えます。(物理的に固まっていますが)
プロの誇りも、秘匿術も、すべて3歳児の作戦が一瞬で無効化し、気がつけば地獄に堕とされ無慈悲な仕置きが繰り広げられました。
未だ苛み蝕まれる身体の、わけのわからない状態にどうする事も出来ず、ただ許しを待つしかないのです。
「……ハハハ、まさに『嫌がらせ』の天才だ」
マルクスは手帳に記録をつけます。
「化学的刺激、精神的屈辱、そして明日は物理的拘束。……完璧だ。これぞ侯爵邸流の『おもてなし』だ」
大変素晴らしい作戦でしたぞ。
レオン軍師どの♪
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