軍師と皇太子の安堵
拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。
お待たせいたしました。
ひとときのほほんとよろしくお願いします。
不定期になりますが、のんびりお付き合い
いただければ幸いです( * ॑꒳ ॑*)
王都の貴婦人たちに囲まれ、キラキラと(物理的に)かがやく肌を羨望の眼差しで見つめられるカトリーヌは、扇で口元を隠し悲しげに目を伏せて微笑みました。
「皆様……、これは亡き母エレーナが遺した研究記録を紐解き、引き継いでいるものです」
「……エレーナ様の? あの緑の手を称号に持たれる侯爵夫人の……?」
貴婦人たちが息を呑みます。
カトリーヌは、追い打ちをかけるように「王家の盾」を突き出しました。
「ええ、ですので現在は王家と二人三脚で、慎重に慎重を期して研究を進めておりますの。エドワード殿下も、この研究が国の新たな光になると期待してらっしゃいますわ。なので詳細を口にすることは……殿下への不実となってしまいますの。申し訳ございません」
「い、いえ! 滅相もございませんわ、カトリーヌ様!」
「王家直轄の研究でしたのね……。わ、わたくし達が踏み込んでいい領域ではありませんでしたわ……」
探りを入れていた貴族たちは、一斉に顔を青くして退きました。
その裏側でその様子を覗き見るエドワードとヴィクトールはホッとしたように、揃って頬を緩めました。
「カトリーヌ嬢のあの演技……。エレーナ様を持ち出されたら、誰も勝てないな」
「……ええ。おかげでレオンが『にぱーっ!』と笑いながら泥を投げている事実は、永遠に闇の中です」
自分の発光する掌を見つめながら、エドワードは小声でヴィクトールに囁きました。
「だがヴィクトール……、『エレーナ様の大発明』という筋書き……、レオンが『ボク考えたの!』と叫んだ瞬間、すべてが崩壊するな?」
「……、たぶん大丈夫です。レオンはおバカじゃないので」
軍師は我が子を信じます。そんな彼の肩を叩くエドワードも、また同じ気持ちでした。
王宮のティーサロン。
集まった貴婦人たちの視線は、ある一点に釘付けでした。
そこに座るイザベラ王妃の肌が、あまりにも瑞々しく、まるで真珠のように艶やかだったからです。
「王妃様……失礼ながら、その……その神々しいまでの美しさは、一体……」
一人の勇気ある伯爵夫人が問いかけると、イザベラは優雅に扇を広げて、遠くを見るような瞳で微笑みました。
「ウフフ……、皆様。お気づきになって? 実はこれ、亡き親友の遺した研究の賜物なのですわ」
その場はシーンと静寂が走る中、王妃は続けて語ります。
「エレーナは生前、植物の力を活かす為の研究をしてましたの。……今はその娘であるカトリーヌが、母の遺志を継いで一生懸命形にしようと頑張ってますわ。まだまだ研究段階で、王家管理品という扱いをしてるけれど……カトリーヌがエレーナのために頑張る姿を見ると、私も全力で応援したくなりますわ」
この言葉を聞いた瞬間、貴婦人たちの脳内には以下のルールが刻み込まれました。
「親友エレーナ」: 友情の物語を汚す不作法な質問は、王妃への反逆と同義。
「研究段階」: 「今すぐ分けて」と言うのは、研究の邪魔をする無粋な行為。
「私も応援している」: 探りを入れることは、王妃の個人的な想いに泥を塗ること。
「……まあ、なんて素晴らしいお話。カトリーヌ様は、お母様の知恵を継いでおられるのですね」
「王家と侯爵家の絆……。私共、ただただ完成をお待ち申し上げますわ。騒いでは、研究の触りになりますもの」
「ええ、そうですわ。静かに待ちましょう」
王宮のバルコニーから、エドワードとヴィクトールがその様子を眺めていました。
「……母上も、なかなかの策士だな。あの『慈愛に満ちた表情』で、すべての野次馬を黙らせたぞ」
「……感謝しかありませんな。これで多少は時間が取れます」
ヴィクトールは、指先滑らかさに、うんざり気味で、ティーカップをソーサーに戻しました。
「ヴィクトール。……もし三歳のレオンが『葉っぱをむしって、泥をこねこねして、えいっ!』とやるのが実態だと知られたら、この国はどうなるだろうな?」
「……。それを信じた御仁の頭を私は心配しますな。あまりにも非現実的ですから……、普通なら……」
「だよな……、今でも夢のようだ」
見た目の変わり過ぎた二人は、「親子の年齢差」がバグり始めた自分たちの肌を隠すように、苦笑いを浮かべました。
「ところでレオンは元気にしているか?ブルーノにクギを刺されて、訪れる頻度が減ってしまった。レオンは寂しがってないだろうか……」
なぜか哀愁を背負い込み黄昏れるエドワードに、冷めた目を向け紅茶を飲みヴィクトール。
「ハァー、せっかくレオンを驚かそうと思ったのに……」
ブツブツと文句を言うエドワードに、どういう事かと聞いてみると……。
「……二人だけで楽しむつもりですか?」
父親であるヴィクトールは腹を立てました。
自分に黙ってすることではない。仮にも侯爵邸の所有者として、断固抗議案件です。
「ならばヴィクトールも加わればいいじゃないか。ブルーノにお願いすればいい」
エドワードは王妃のいるサロンを眺め「終わりだな」と呟く……、閑散としたサロンを見つめ続く経略の予定を考えました。
「……私は自分でしますよ。これでも『緑の手の夫ですから』」
わざわざブルーノの手を借りるほどでもありません。ただ死神も考えたのだろう。
3歳児の教育に悪いと……。
それがとても嬉しくて、おかしくてなりませんでした。
**************
庭園の片隅に、猿ぐつわを噛まされた密偵たちが転がされている。
ブルーノは庭師の格好のまま、冷ややかにエドワードを見据えていた。
「……本来なら、この鼠どもは殺して庭の肥やしにするところです。ですが……エドワード様。今回は生きたまま、貴方にお引渡ししましょう」
エドワードが驚愕し目を見開いた。
自分の不手際で招き入れた密偵を生け捕りにし、更には……。
「……私の不手際を、不問に付すというのか?」
「……不問どころか、貴方の功績となります。――『密偵の動向を察知し、見事に生け捕りにした』。……どうでしょう?」
ブルーノは薔薇の花を見ながら、ニヤリと嗤う。
「不手際を消し、手柄を差し上げる。……その代わり、エドワード様。貴方が計画されている『物』を、丸ごと俺がいただきます。……この鼠どもの口を割らせ、背後の黒幕を引きずり出す泥仕事は、貴方のモノだ」
「……わかった。この者たちは、私の使者が連れ帰る」
「……取引は成立ですね。皇太子殿下」
ブルーノが土を被せたのは、死体ではなく、密偵たちが持っていた「証拠」や「毒」でした。
さらにエドワードがレオンを驚かせようと、薔薇と、仲のいい花を薔薇の下に内緒で植えようとしていたのです。
ブルーノの選んだ花:クレマチス
バラの枝に「巻きひげ」でしがみついて登り、バラの花びらの隙間から、ベルのような形の花をひょっこり顔出しするのが得意です。
花言葉は『精神の美』『策略』
エドワードの選んだ花:ハニーサックル
自分の茎自体をバラの枝に「ぐるぐる巻き」にして登り、クレマチスよりも香りが強く、バラの香りを包み込むように広がります。
花言葉は『献身的な愛』『執着』
ヴィクトールの選んだ花:白いリコリス
夏の間は葉っぱが跡形もなく消えて、地面の下でじっと眠り、バラが終わって庭が寂しくなった頃、何もない地面から茎が伸び、数日で大輪の花を咲かせます。
花言葉『再会』『孤高の愛』
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