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ディック・ウォーズ  作者: 天の惹
第7章 ルークの誘拐
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第70話 隠れ家の急襲

 ノー・ソイ達はルークが連れ去られたとされる屋敷の前にいた。運良く屋敷の敷地には警備兵はいなかった。

敵にしてみれば外に兵を置いて街の住民から余計な気を引きたくないのはわかる。隠れ家だからな。或いはルークを救出するチームが来ないと高を括っているのかも。

ノー・ソイ達にとってはどちらでも都合がいい。ここは騒ぎを業と起こして街の警備兵をこちらへ誘導しよう。

だからと言ってここで火を放つのは良くない。他の建物に燃え移れば放火犯としてこっちが糾弾される。


 ノー・ソイは突入前にスボンのジッパーを下げると自分の一物を出した。そして一物をおっ勃てるとそれにフォーナスを纏った。

チャスティンはそれを見てメッチャ引いた。いつ見ても引いてしまう。もうそろそろ慣れなければと思っているのだが。

ウブなチャスティンには少しハードルが高かった。


 ノー・ソイはチャスティンとアークと兵士達を連れて屋敷の敷地に侵入した。正面の玄関の前に来ると、ドアを打ち破って屋敷の中に突入した。総勢13人の襲撃団でありレスキュー隊だ。


 ドアの向こう側は大きな広間になっていて敵兵は準備万端で襲撃に備えていた。敵兵の中には2人のペッカーのヤベーノとケチーノを含め10人の兵がいた。

ペッカーの2人はすでにペック・セイバーを展開していた。

人数差だけ見れば戦力差は3人でノー・ソイ側が有利だがフォーナスの使い手の数を考慮に入れればノー・ソイ側が圧倒的に不利だ。

ノー・ソイが2人のペッカーの相手を強いられる。

機動力を生かせないこの狭い部屋で戦うにはチャスティンの助けが必要だ。


 ノー・ソイはドアを破って中に入ると真っ先にヤベーノに一撃を入れた。ノー・ソイにとってはどちらのペッカーでも良かったのだがヤベーノの方がヤバいと思ったから奴に一撃を放った。

ヤベーノは予想していたのか、ノー・ソイの一撃を華麗に躱した。ケチーノは脇が甘くなったノー・ソイに一撃を加えようとしたがチャスティンの木刀に邪魔された。


 何なんだ!あの女!木刀でペック・セイバーを弾いた。ビックリしたケチーノは思わず声を上げた。


「あり得ない!」


だがこんな事で動揺している訳にはいかない。気持ちを切り替えて戦いに集中しなければ。


 ノー・ソイはペッカー2人と同時に戦うにはどちらかのペッカーと1対1で戦う必要がある。

ノー・ソイの戦術は常にノー・ソイと一方のペッカーが別のペッカーとの間に入っていることだ。

数学的な見方をすると観測点ノー・ソイから目標物(敵のペッカー)を結ぶ延長線上に常にもう一人のペッカーがいるように立ち回ることだ。

そしてチャスティンとアークにはノー・ソイの補佐をしてもらうことにした。隙があればチャスティンには敵のペッカーを攻撃するように言ってある。

ただし絶対に無理をしないようにとも言ってある。

アークは魔女ではないから魔力を剣に纏うことができない。ここはノー・ソイが上手く立ち回ることによってアークの方にペッカーが向かわないように気を付けた。

ペッカーの2人はアークがペック・セイバーを弾き飛ばすことが出来ないとは知らない。

ノー・ソイは上手く誤魔化せる自信があった。


 ヤベーノとケチーノは完全にノー・ソイに翻弄されていた。ノー・ソイに上手く立ち回られたため、2人は攻撃したのではなく攻撃させられていた。

戦いは押し一辺倒ではなく下がりながらでも戦える。押しと引きの緩急が戦いにおいて重要になる。それをすることによって一方のペッカーを盾として利用して、もう一方のペッカーの攻撃を防いでいた。

歴戦の戦士であるノー・ソイにはそれがしっかりと身についている。


 業を煮やしたヤベーノとケチーノは動きを変えた。

彼等は今まで2次元的な動きしかしていなかった。ここは家の中だ。天井はそれほど高くない。邸宅とはいえ、天井の高さは5メーターくらいしかなかった。高さを生かした攻撃をするには少し低すぎた。

でもこのままでは埒があかない。彼等は高さを利用して3次元的な攻撃をすることにした。


 ヤベーノはケチーノの前に出るとノー・ソイに向かって突進した。と同時にケチーノはジャンプするとヤベーノの上を飛んだ。彼らは上下で連携して戦うつもりだ。

ここでヤベーノは大きなミスをした。ヤベーノは一瞬だがちらりと上を見た。上を見てケチーノの動きを確認した。ノー・ソイはその一瞬の隙を見逃さなかった。

フォーナスの戦士がこんな初歩的なミスをするとは。

フォーナスの戦士は戦いの時、目だけではなく自分の皮膚感覚を広げて目に見えない部分も把握する。特に死角を警戒する。

だが普段の生活ではそんな能力は使わない。使う機会が全然ないからな。

だから厳しい訓練を普段からやっていないと身につかない。それを怠るとわかっていてもついつい視覚情報に頼ってしまう。

そしてヤベーノは今、それをしてしまった。

チャンスと見たノー・ソイは渾身の一撃をヤベーノに食らわした。そしてヤベーノは力なく倒れた。

ヤベーノが倒れたと知るとノー・ソイはチャスティンに声を掛けた。

残りのペッカーは1人だからノー・ソイ1人だけで何とかなる。


「チャスティン、早くルークの所へ行ってくれ。場所は地下室だ」


「わかりました。今すぐ行きます。健闘を祈ります。アーク、行くわよ」


「かしこまりました。姫様」


 チャスティンとアークは地下に続く階段を見つけると下へ降りた。

地下には守っている敵兵はいなかった。

地下室の1画にある部屋に入るとルークが横たわっていた。そしてルークの隣には年配の女性も横たわっていた。そこにも敵兵はいなかった。

よく見ると年配の女性の手がルークの手の上に乗っていた。

何よ、あの女!

なにルークの手を握ってるんだよ。

超ムカツクんですけど!

早く離しなさいよ!

読んでいただきありがとうございます。


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