第7話 市街戦1
超人戦士のモッコとデカッチが遅れてシャブーレへ到着した。
シャブーレの北門を制圧したのだから混乱に生じてシャブーレへ潜入する必要がなくなった。2人は悠々とシャブーレへ入城した。彼らの任務は今からだ。
シャブーレの城壁と駐屯地は制圧したが、まだ街中は制圧されていない。この街には自警団がいるしノー・ソイ・ボールドーの出方次第では状況がひっくり返される可能性がある。モッコとデカッチは2手に別れて詮索を開始した。
シャブーレの街は入り組んだ造りになっている。路地も狭く見通しも悪い。初めてシャブーレへ訪れた者にとってはまるで迷路だ。これは銃身の長い銃には不利な地形だ。
ボコールの歩兵は銃身の短いピストルを手に持ち、腰には短剣を帯剣している。
ちなみにこのピストルは6連射可能なリボルバー式のピストルだ。ただ銃身の長い銃と同様に装填には少し時間がかかる。なので短剣は必須アイテムだ。
彼らは次々と街の中へ入り込んでいった。
ルーク達は広場から北門の方向へ進んでボコール兵を迎え撃つことにした。
路地が入り組んでいることはルークにとっては願ってもないことだった。彼の持っている古武道のスキルを十分に活かすことができるのだから。
北門付近の住民街はパニックっていた。ほとんどの住民は家財道具をかなぐり捨てて逃げ惑ってる。
ルーク達はその住民と反対方向へ進んでいるので少し進むだけでまじで骨が折れた。住民達には「この先へ進んだら殺されるぞ」と警告された。だが警告を無視した。
ルークは殺されに行くのではない。殺しに行くのだから。
しばらく進むと避難民の数もまばらになった。大方、避難は終わったようだ。
ここからはもう少し慎重に進まなければならない。いつボコール兵に遭遇するかわからない。ルークは耳と目を凝らしながら北門の方へ進んでいった。
バシッ、バシッ、バシッ⋯⋯
棒で壁を叩く音が聞こえてきた。
路地の曲がり角に隠れて様子を伺うと2人組のボコール兵が壁を叩きながらこちらの方向へ歩いて来た。右手にはピストル、左手には棒を握っていた。
何だか自分達の存在をアピールするかのようだ。もう戦いは終わったと勘違いしていた。警戒心が薄い。
ルークはしゃがむと奴らの来るのを待った。丁度奴らが曲がり角に差し掛かった所でルークは短剣を突き出した。
グザッ
剣はボコール兵の脇腹に当たりそのまま心臓を貫いた。
すぐに剣を抜き、くるりと回りながらもう1人のボコール兵の喉元を切り裂いた。
2人は抵抗することなく倒れた。即死だった。一丁上がり。
ルークはこのようにシャブーレの狭い路地の構造を利用して戦った。
曲がり角をうまく利用して死角からの待ち伏せ攻撃。これを何度も繰り返して次々とボコール兵を葬った。
あまりにも被害が拡大したことに気付いたボコールの将兵は警戒レベルを1つ上げた。レジスタンスの中にめちゃくちゃ強い奴がいると。その話は超人戦士であるデカッチの耳にも入った。
デカッチは今、シャブーレ掃討作戦を指揮する将兵と話をしている。
めちゃくちゃ強いレジスタンスのことに付いて色々質問した。背丈とか見た目の年齢とか。だが何もわからなかった。
生き残ったボコール兵がいなかったからだ。
だが1人で行動しているらしいことはわかった。これだとこのレジスタンスがノー・ソイ・ボールドーかどうかわからない。
だが急激にボコール兵が減っている区域はわかったので、デカッチはそちらへ行って見ることにした。
デカッチはシャブーレの路地を武器も持たず悠々と歩いていた。見た目はボコール兵とは全然違う。そもそも軍服を着ていないし。
だが明らかにシャブーレの住民の着ている服とも違う。
何て言ったらいいのかな。古の戦士が着ていそうな黒を基調とした装いだ。見た目、以外とカッコいい。
ルークは順調にボコール兵を掃討していた。
次の曲がり角から路地を覗くと身長が2メーターくらいある体躯の男がこちらへ向かって歩いて来た。見た感じ、ボコール兵でもなければシャブーレの住民でもなさそうだ。丸腰だし。
これはどうするべきか。ルークは迷った。取り敢えず声を掛けてみることにした。何かわかるかもしれない。
「ちょっとそこのお方、大丈夫ですか?」
デカッチは首を傾げた。
「大丈夫とはどういう意味ですか?特に問題ないですよ」
デカッチはルークに丁寧に答えた。ルークは以外な答えを聞いて驚いて言った。
「えっ!今、ボコール軍に攻められて街が大混乱な状態なんですけど。住民は皆、避難中ですよ」
それを聞いたデカッチは煽るように言い放った。と云うのもデカッチに話しかけてきた青年は血がたっぷり付いた短剣をその右手に握っていたからだ。
「まぁ、そのことはよく承知していますよ。だって俺等が原因なんだからな」
何だコイツ、ボコールの兵士なのか?だけど丸腰ではないか。
ルークを見た時、デカッチはがっかりした。相手はノー・ソイ・ボールドーではなかったからだ。期待外れだ。
だがかなり強い奴だということは一目見てわかった。
まぁ、コイツなんだよな。我々の兵士を次々と葬った野郎は。
これ以上、被害を出す訳にもいかないし。それに暇なんで軽くもんでやるか。
「お前、運が悪いな。今日、この俺に遭遇した不遇を恨んで死にやがれ」
ルークはデカッチに向けて剣を構えた。
ルークはデカッチを見て不思議に思った。コイツ、丸腰で何がしたいのだろうかと。どうやって殺す気だろうか。
ピストルでも隠し持っているのだろうか。わからない。取り敢えず警戒しておくことにした。
デカッチはルークの前に歩み寄るといきなりズボンのジッパーを下ろした。そしてその一物をズボンから出しておっ勃てた。
はぁ~。何だ、コイツ。
「何なんだお前!露出狂かー!!!」
「やかましいー!コノヤロー。そのリアクション、何回聞いたと思っているんだ!」
ルークはデカッチが出したその一物の異常なサイズに驚いた。まさに驚愕のサイズだ。軽く1メーターはある。普通、そんなデカくならない。象でもあるまいし。
それにその一物、なんか光っていた。淡く赤白い光が一物を包むように光っていた。
で、それを出して何がしたいのだろう。ただの自慢か。
「おい小僧、いつでも掛かってこい」
えっ、まじで。コイツ、丸腰なんですけど。
あぁ、なるほど、そういうことか。コイツは武器を使わず体術のみで敵と戦うタイプの戦士なのか。
で、わざわざ一物を出す必要があるのか。
「じゃぁ、遠慮なくやらせてもらうぜ」
ルークは小手を狙う振りをして踏み込み、デカッチの喉を掻っ切ろうとした。
デカッチは半歩下がりルークの剣を華麗に躱すと同時にルークに自分の一物で切りかかった。
デカッチはルークを殺したと確信した。
デカッチはルークがとっさに彼の一物の一撃を短剣で防ごうとした所を見たが、そんなものは彼の一物には通用しないことはわかっていた。
カキーン
金属がぶつかる音が響いた。ルークはデカッチの一物を弾いた。
「はぁー、あり得ない!」
デカッチは驚愕の表情でルークを見た。なぜかルークの短剣は淡い青白い色の光に包まれていた。
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