第5話 ボコールの偽装兵
時は遡ること10年、ボコール帝国はエイナールの征服の準備をしていた。まずはエイナールとボコールの玄関口にあるシャブーレの街を陥落させる必要があった。
ボコールはまず始めにシャブーレの守備隊を買収して内側から城門を開ける作戦を模索した。だがこいつらの故郷愛がすこぶる強いのか誰も買収することができなかった。
隣国のショーマニーの連中とは似ても似つかなかった。それでプランBに打って出た。ボコールのスパイをシャブーレの守備隊へ潜伏させることだった。
エイナール軍への入隊は比較的簡単だった。一兵卒では。身元の確認は適当だった。
だが士官クラスになると話は別だった。だが幸運なことに、中央の官僚は腐りきっていた。腐敗した官僚どもに大枚をチラつかせると喜んで国を裏切った。
奴らを利用して偽の身分証を作らせた。こうしてシャブーレの守備隊へまんまと潜入することに成功した。
そこで10年かけて名を上げ信頼を勝ち取っていった。来たる日に備えて。
その来たる日は本日、ようやく来た。
ボコール軍の撤退と共に勇ましく追撃に出たシャブーレ守備隊の中にボコールの偽装兵がいた。奴らは周りをめちゃくちゃ煽り立てて城門を開けさせると気が大きくなった正規兵を戦場へ向かわせた。
奴らはシャブーレの城壁から目視できない森の奥の伏兵がいる地点まで正規兵を誘導した。
偽装兵は黄色のスカーフを首に巻いてボコール軍に味方だと示した。ボコール兵は黄色のスカーフを身に纏っていないシャブーレの騎兵を皆殺しにしていった。
あらがじめシャブーレ守備隊に変装しておいたボコール兵は案内役の偽装兵と共に奇声を上げながらシャブーレの城門の方へ馬を走らせた。『速やかに撤退せよ』と。
彼らが城内へ入るとまず城門の開閉をしている兵を惨殺した。
次の標的は城壁を守っている兵だ。こいつらを片付けないと味方が安全に入城することができない。
門から森まで約3百メーターくらいの距離がある。守備隊が城壁にいると味方はいいカモになってしまう。なるべく被害を少なくさせるためにもこいつらを早急に片付ける必要がある。
まずは城門の開門状態を死守しつつ城壁にいる狙撃手を次々と片付けていった。
始めに門に到着したのは足の早い騎兵だ。遅れて歩兵も大きな被害もなく到着した。これも城壁にいた弓兵と銃手を手早く片付けた偽装兵のおかげだ。
城壁の守備隊の司令官を殺害し駐屯地を制圧した時点をもってシャブーレはほぼ陥落した。
後はシャブーレの制圧の一番の目的であるノー・ソイ・ボールドーの殺害をもってボコールのシャブーレ制圧戦の作戦が完了となる。
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