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ディック・ウォーズ  作者: 天の惹
第1章 ルークの覚醒
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第3話 ダーム・レイダー

 ここボコール帝国の首都サッキアの中心部にあるサッキア城の執務室のデスクチェアにダーム・レイダー(Durmb Raider)が座っていた。レイダーの一番の特徴は彼の被る滑稽な見た目のマスクだ。別名間抜け面マスク。このマスクは頭からスッポリ被るマスクで外からは髪が全く見えない。


 レイダーは身長2メーター近くある大柄の男だ。レイダーはこの国の皇帝でありながら噂の超人の中の一人だ。半世紀もの間続いたボコールと自由商業国連盟との戦争で噂の超人はほぼ根絶やしにされた。

特に自由商業国連盟側にいた超人は。もし連盟側に生き残りがいなければ、この世界では噂の超人はボコール帝国のみに存在することになる。


 だがレイダーはそんなこと絶対に信じていなかった。まず連盟側の最強の超人ノー・ソイ・ボールドー(Knoh Soy Baldeau)の死体が発見されていないのだ。

それにレイダーには子供がいたかもしれないからだ。レイダーと裏切り者の元妃との間にできたかもしれない子供だ。


 元妃は自由商業国連盟と繋がりがあると告発された。本人は自分は反対勢力にハメられたと強く主張したがレイダーには到底受け入れられなかった。と云うのも元妃の謀反の意図を示す動かぬ証拠がいくつも出てきたからだ。


 一番の決め手はノー・ソイ・ボールドーと裏で繋がっていたという証拠が出たからだ。そのまま元妃は地下牢の放り込まれ放置された。

だが元妃に慕っている侍女や臣下が命懸けで元妃を地下牢から逃がした。そしてそのまま行方不明になった。

地下牢にいた時に妊娠が発覚したと噂があったが、どうせすぐ死に絶えると高を括っていたので調査しなかった。あの時の判断が悔やまれる。


 とは言え、超人の子は必ず超人になるとは限らない。ただ超人になる確率が高くなるのはごく自然なことだ。親と子は似るものだ。身体的特徴だけでなく記憶力の良さとか運動神経も遺伝する。遺伝の影響があるイコール遺伝するわけではないが。


 だが余計な仕事が一つ増えた。確実に敵側の超人は全員葬り去る必要がある。もちろん元妃が生んだであろう子供も含めて。


 執務室にノックの音が響いた。従者が執務室の扉を開けて外にいた秘書官と何かやり取りをしている。どうやら宰相のコーカツ・デ・ヒドーが皇帝との拝謁を希望しているようだ。何やら緊急の報告があるみたいだ。


「陛下、やっとノー・ソイ・ボールドーが見つかったようです」


「本当か!今、奴はどこにいる」


「3日前にエイナールのシャブーレに潜んでいるところを目撃されたとの情報を掴みました」


 コーカツは持ってきた地図を机の上に広げて状況を説明した。シャブーレはエイナールとの国境の街で唯一、ボコール帝国へ繋がる道がある街だ。ボコール帝国がエイナールを攻めるにはこの街を一番始めに制圧する必要がある。


 ここ数年、この街付近で帝国とエイナールとの間に小競り合いが頻発していた。当然、国境は閉鎖されている。

スパイも複数名送り込んだがその中の何名かは音信不通なった。ノー・ソイ・ボールドーの目撃情報は送り込んだスパイによってもたらされた情報なので確実性は高い。この絶好のチャンスを見逃すわけがない。

今回は確実にノー・ソイ・ボールドーを仕留めるつもりなのでいつものような小競り合いで済ます気はなかった。ここらで本格的に世界征服を始めるのも悪くない。


 幸運なことにノー・ソイ・ボールドーは国境の街に潜伏している。これだと軍隊を秘密裏に動かすことができる。ほとんど自国内での移動だけで済むからだ。


 レイダーは宰相のコーカツに兵の動員の指示を出した。コーカツによればあまりにも動員の規模がでかいと奇襲作戦がエイナール側にバレてしまう。少なすぎると作戦は失敗してしまう。ここは念密に計算せねばならない。その結果、動員できる兵は2千が限界だそうだ。


「う~ん、2千か。少ないな」


レイダーは唸った。その内半分は後方支援部隊だ。実際に戦えるのは千だ。

だがコーカツによれば別にシャブーレを陥落させる必要はないとのこと。混乱に生じて潜伏部隊をシャブーレに送り込ませればいい。

それに何も正攻法でシャブーレを攻める必要もない。古代から城郭都市を手っ取り早く攻め落とすには中から城門を開けさせるのが一般的だ。それが出来なければ陥落に数年かかることも多々ある。

だが心配は不要だ。ここ数年の小競り合いでその手筈もだいぶ整ってきた。レイダーはよりすぐりの精鋭を送ることを決めた。


 それと同時にノー・ソイ・ボールドーを確実に仕留められる超人戦士を送らなければならない。ノー・ソイの殺害が一番の目的。一般兵だと全く刃が立たない。

レイダーはコーカツに例の二人を連れてくるように指示を出した。


 執務室にノックの音が響くと例の2人がドアの前に立っていた。名をモッコ・リーマンとデカッチ・アームドと言う。身長は2メーター近くあるデカブツの2人だ。2人はレイダーの前まで来ると片膝を突き報告した。


「只今、参上いたしました」


レイダーを頷くと事の次第を速やかに説明して指示を出した。


「お前らは2千の兵と共に進軍し、総攻撃が始まるまで待機。そして混乱に乗じてシャブーレに潜入してノー・ソイ・ボールドーを討て」


「かしこまりました」


その後、約2週間をかけて国境まで進軍した。

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