第12話 ノー・ソイ・ボールドーの正体
2人は4週間の旅程を組んだ。まずは1週間かけて最寄りの街まで徒歩で移動することにした。
この街はエイナールの首都に次ぐ大きさの街だ。ツインシティでセーカン川の左岸の街をとコノー言い、右岸の街をヤローと言う。何だか微妙な名前の街だ。
セーカン川の源流はシャブーレの近くにあり、シャブーレからコノー・ヤローまで途中までしか船で行くことはできない。川幅が狭すぎて大きな船は通行できないからだ。
運河をシャブーレまで通す計画もあるがまだ実行されていない。
残り3週間は船に乗ってエイナールの首都フロステーへ行くことにした。この街から首都のフロステーまではセーカン川で繋がっており物流の大動脈になっている。
道中、ノー・ソイはルークに色々と事の経緯を説明した。
一番始めはルークが対峙した変態男についてだ。
そもそもルークにはただのメッチャ強い変態男にしか見えなかった。一物を出す必要性も理解できなかった。
ノー・ソイはルークが対峙した男はただの変態男ではなく噂の超人戦士だったことを説明した。そして超人戦士について詳細に説明した。
超人戦士とはフォーナス(Fornis)の使い手だ。
フォーナスとはForceとPenisの合わせた合造語だ。
簡単に言うとペニスのフォースだ。
フォーナスとは男が興奮し勃起(Boner)した時に出る特別な力だ。
フォーナスの使い手とはフォーナスを自らの一物を中心にまとわせ、それによって己の内部から驚異的な戦闘力を引き出すことができる戦士のことだ。
ただ、フォーナスを引き出すには非常なレアな素質が必要であり、その素質を持つ者は1000万に1人とも言われている。勃起ができるからと言ってすべての男がフォーナスを実装できるわけではない。
選ばれたほんの少数のエリートのみ実装可能だ。
特にその素質を持つ男は北方のいる人種に多かった。ほとんどのフォーナスの使い手は自由商業国連盟とボコール帝国の出身者が占めていた。
フォーナスが一物に纏わり付いた時、その一物は数倍の長さに伸び、硬さも鋼鉄以上になる。そしてその一物には切れないものはない。別のフォーナスを纏った一物を除いては。
ただ、一部の力は勃起せずともフォーナスを発動することができる。
ノー・ソイが使った気配消しとか弱い心につけ込んて弱い心の人間を操る力とか。
いちいち勃起させていたら目立ってしまう。
その他にはデッカチとモッコが使った念話とかがある。
フォーナスの使い手には2つの勢力がある。
1つはディッカー(Dicker)と呼ばれるグループだ。グループと言っても生き残りはノー・ソイ・ボールドーしかいない。
もう一方のグループはペッカー(Pecker)と呼ばれている。ペッカーは元ディッカーで闇堕ちした連中だ。天使が闇堕ちして堕天使と呼ばれているようなものだ。
今、残存しているペッカーの全てはボコール帝国に所属している。
18年前の戦争でかなりの数を失ったが10名ほどの生き残りがいる。人数は国家機密なので正確な数はわからない。
そもそも帝国はペッカーの存在そのものを公表していない。
ディッカーの持つ一物はディック・セイバー(Dick Sabre)と呼ばれペッカーの持つ一物はペック・セイバー(Peck Sabre)と呼ばれている。
両セイバーはフォーナスを纏うと長さが数倍に伸びる。
そしてセイバーとして具現化された時、その剣身に淡い光を纏う。普通の人にはその光はほとんど見ることができない。
それが見える人間はフォーナスを使い手か魔力を使える女性など限られる。
ルークは少し困惑しながらノー・ソイの説明を聞いていた。あの戦士が出していた一物は見せかけではなく、まじでヤバい物だったことがわかった。まぁ、あの時、死を覚悟したから今更驚かないが。
日も暮れかけてきたので2人はキャンプをすることにした。
移動中は説明、キャンプでは実践することにした。
初日はフォーナスを感じる訓練だ。フォーナスを感じるにはまず一物をおっ勃てる必要がある。
「ルーク、君の一物をズボンから出して、おっ勃てなさい」
えっ!まじで今やるの?女も居ないし。
運が悪いことに今はそこのハゲのジジイしかいない。周りに誰もいない2人きりの状態だ。
男女ならエロいシチュエーションかもしれないが。男2人きりだとメッチャ微妙だ。
「我はハゲていない」
まただ。このジジイに心を読まれた。
何でだよ~。
これもフォーナスのよる特殊効果なのか?念話もできるし、弱い心に付け込むこともできるのだ。心のハッキングも可能なのかもしれない。
その晩は訓練をしないことになった。ルークがノー・ソイを説得したからだ。
そもそも女が居ないので勃起できないし、勃起ができたしてもまだ完全に日は沈んでいない。
もしかしたら人が近くを通るかもしれない。通行人に変態男だと間違えられる絶対に嫌だ。それだけは何としてでも避けたい。
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