伝説の剣
魔王を倒すという目的のため、伝説の剣が眠るという聖剣の森へとやってきた勇者。
マモノたちを倒しながら進み続けると、ついに森の一番奥、台座に突き刺された聖剣の場所へとたどり着いた。
しかしそんな勇者に迫る、怪しい影。
果たして、勇者を待ち受けるモノとは――
「ここが、聖剣の森の最深部……そしてこいつが、選ばれし者のみが引き抜けるという伝説の剣か」
「まったく。待ちわびたぞ、勇者よ」
「誰だ!?」
ゆうしゃ のはいごから なぞのおとこがあらわれた!
「わたしは魔王、よくぞここまで来た」
おとこはなんと まおう だった!
「なんだって!? まさかおまえ、ずっとここで張り込んでいたというのか!!」
「くっくっくっ。おまえがやってくるまで、実に二年半もの間毎日、朝も夜も、雨の日も雪の日もここで待っていたぞ」
「なんて暇なやつ! 任せる部下とかいないのか!?」
「うるさいわ! わたしは慎重派なのだ」
まおう が せまってきた!
「さあ、おしゃべりはここまでだ。覚悟するのだ勇者よ!」
ゆうしゃ は あとずさった。
ゆうしゃ のせなかに せいけんがあたった!
――せいけん で たたかう←
――にげる
「くっそ、この聖剣でお前を……をっ? あれ、ぬ、抜けない!?」
ゆうしゃは せいけん をぬこうとした。
しかし せいけん にこばまれた!
「うっそだろおぉぉぉ!?」
「ふっふっふっ、はっはっはっは!!」
ゆうしゃ は せいけん をあきらめて うしろにさがった。
しかし すぐに おいつめられてしまった!
「さあ喰らえ、これで終わりだぁ!!」
なんと まおうは せいけんを ぬきはなった!
「なんでや!! なんでお前が抜けるんっ!!」
ゆうしゃ はとっさに ふるさとの ほうげん がでてしまった!
「死ねぇぇぇっ!!」
「うぎゃあああぁぁぁぁっ!?」
まおう のこうげき!
ゆうしゃに にげば は ない!
「やあっっっと見つけましたよ、魔王様っ!!」
「「えっ?」」
ミス!
しかし まおう のこうげきは はずれてしまった!
(たす、たすかった……!?)
「おお、おまえはビワンじゃないか。どうしたのだそのように慌てて、今いいところだったのだぞ」
まおうのけらいが そらから あらわれた!
「そんなことより大変なんです!! ク、クーデターですよぉっ!」
「「なんだって!?」」
ゆうしゃ と まおう のこえが またシンクロした!
まおう は どうようしている!
「四天王の二名が結託して、魔王様不在のお城を乗っ取り、新たな魔王を自称したのです。残りの一人は弔い合戦だと反抗して投獄、もう一人は城を去ってしまいました!」
「弔い合戦て、生きているぞわたし?」
「とっくに出先で死んだことになっていますよ! 二年半も音沙汰がないんですからっ」
「「…………」」
ゆうしゃ は まおう をみつめた。
まおう は そっぽをむいた。
「連絡役とか連れてきとけや魔王!」
「だって魔物が出入りしていたら、怪しいではないか。それに予言だとこんなにかかるなどとは……近々聖剣を携えた勇者があらわれるって、占いマスターが…………」
「魔王様、なんですこの失礼極まりないサルは? コロしてもいいですか」
……
…………
「よっし、魔王城に乗り込もうぞ」
もとまおうは せいけんを かたにかついだ。
「しゃーない、俺もついてくわ。元からそこに行く予定だったしな」
ゆうしゃも もとまおうの となりにたった。
(そんでスキを見て、聖剣パクろ)
ゆうしゃは ゲスい ことをかんがえていた。
「ちょっとあなた、本当いったいなんなんですか! 人間の分際で、さっきからずっと馴れ馴れしく……不敬罪により死刑ですよ!」
――テンテロリーン♪――
ゆうしゃ が なかまになった!
ビワン が なかまになった!
「さあ、ゆくぞ者共! わたしに続け!!」
ゆうしゃ と まおう たちのぼうけんが はじまった……?
おまけのあとがき
勇「おまえ部下になんて言ってでてきたんだ?」
魔「メモ書きを残してきた。『ちょっと出かけてくる。探すな』」
勇「家出かよ!! 連絡が足りてなさすぎるっ、慎重な設定どこに行った!?」
魔「一応、情報が漏れることを嫌ったのだが。あとあんまし、勇者をガン待ちしていること部下とかに知られたくなかった……」
勇「俺が聖剣無視して魔王城行ってたらどうしたんだよ」
魔「それはさすがに、四天王が勝つだろう」
勇「はぁ~……東の聖剣じゃなくて、西の聖槍にしとくんだったわ」
魔「なんだそれは隠し武器かっ!?」
おまけ2
勇「ところで、なんでわざわざ姿を見せて話しかけてきた? 俺なら絶対こっそり後ろから、襲いかかるのに」
魔「勇者にあるまじき発言だな!? こっそり後ろから勇者を殺そうとする魔王とか、イヤだろ。見栄えが悪い」
ビ(魔王様……残念ながら聖剣のところでガン待ちしている時点でもう、すでにだいぶ手遅れかと思われます……)