衝撃波
模試を終わって誰も私を止められない!
長い長い沈黙がこの部屋を包んだ、淡々と話された"衝撃"………その真偽に関わらずそれは、ラゴスの平然を瓦解させ断崖に立たせるには十分であった。
ラゴス:…………本当…なんですか…………
アール:ああ、本当さ、あんなに大きな戦争だ、この星に限らず有名だ。その戦争は今で言う「絶竜戦争」はたった80年前くらいのことだ、僕たちは生きていなかったが、僕の親はよく話しているよ、その時のことを。大地や海、山々は喪失し、竜人だけでなく、一般の獣人の多くが焼け、消えていった
ラゴス:……じゃあ、母さんと父さんは、何なの、いや……そうかもとは思っていたんだ……きっと、心の中では、本当の両親ではないと………
アール:そうだね、君の実の両親は、伝えによれば、既に死んだ
ラゴスはどうすればいいのか分からなくなった、自らの目的を失い、同族を失い、親を失った。
もういっそ自らを殺してしまいたくなった
ラゴス:俺は………どう……すれば
アトマス:落ち着け、アールもそんなに一気に言わないでくれ、そしてこう、もっと、なにか優しく伝えればいいものを
アール:起こってしまったことだ、仕方がないだろう?それに、言うなら一気にいつまた方が伝わるし、衝撃も1度で済む
アトマス:だとしても……もっと、あるだろ
アール:まあまあ、そんなに怒らないでくれ、さ、顔を上げな、竜人ラゴス
ラゴスの耳には何も入っていないように見えた。
アール:おーい、おーい、おい!
ラゴスはゆっくりと顔を上げ、アールの顔を見るともなく見ていた。
アール:お前の人生は何も終わっちゃいない、竜人の寿命は長いんだ、僕たち獣人と違ってそれでどうだい?僕たちと一緒に「冠」を正すんだ
ラゴス:もういいです、なにか、寝そべっていたい
アール:ま、そんなにすぐに返答はいらない、そこで休んでいるといい、とりあえず明日まで
ラゴスはふらつきながら、長椅子に向かい横たわった。
目が覚めると風の匂いがした、それは、気持ちいの良い朝の風ではなく、湿ったまさに雨の降る前の冷たい風。なので正確に言えば「風の匂いがして目が覚めた」ということだ
ラゴス:あ
アトマス:おう、起きたか
ラゴス:はい
ラゴスは今やっと昨日のことを思い出した、そして、涙がこぼれた
アトマス:ああ、いいよ、泣いても、それだけの事があったんだ
ラゴス:あぁぁ、うぅぅ
冷たい風が、ラゴスの熱い涙と肌を乾かすように通った。
アール
アイ・ウォール 台風の目のリーダー的存在で、冠の有用、これを、目的とし冠を正すと表現している、若干倫理観に欠けてる。