2-34教え合う同士
翌日。約束の時間の三分前に駅に着いたのだけど、
「君島さん! おはようございます!」
もう凛紗さんは待合室にいた。
「お待たせました」
「大丈夫です! 待ったというより、実は私が十分ほど間違えてしまって……」
凛紗さんが朝に弱いとのことで、昨日より一本後の電車の十分前に集合する予定にしていた。いずれにしても昨日の電車には間に合わっていないけど、ここに一人でいさせたのも事実だ。
「え? 早く来れば良かったね」
「いえいえ! 充分早いですし私が間違えたんですし! い、行きましょう!」
車両内で席に隣り合って座ってから、改めて訊いた。
「緊張、していますか」
「はい……。良かったです。改札を通れて」
そこ? 僕といるこの状況に緊張しているのかと思った。まあ僕に緊張していないならいないで良し。
確か、改札を通る前に切符を買うか訊かれた。僕は電子マネーを使うと答えると、凛紗さんもそれを使うと言っていた。
「チャージが足りなかったりとか?」
「それもそうですけど、その、恥ずかしながら自分で電車に乗ったことが無くて」
「ああ、この辺に住んでいれば普通車だよね」
「そういうことでもなくて、本当に乗ったことが無いんです」
「そこからだった?」
じゃあ、改札前での質問は僕と同じ行動をしておけば間違いないと思って訊いたのかな。
「その……これから行く所、というより映画館やショッピングモールという所にもあまり行ったことが無くて」
「あ~……」
「こんなこと言われても反応に困りますよね……」
「それは遠ざけていたの? それとも行ってみたいとは思っていたの?」
「え? あ、えっと、行ってみたかったです」
「なら良かった。行くことができて」
きょとんとした顔を見て僕は付け加えた。
「今は少し驚いたけど恥ずかしがることじゃないと僕は思うよ。その人にはその人の事情があるから。これから先反応に困ったり否定したりすることもあるかもしれない。ごめんなさい。でも出来るだけ凛紗さんのことを教えてほしい」
「は、はい……」
凛紗さんの顔が一気に赤く染まった。
自分でも気恥ずかしくなってきた……。
「……私、子どもの頃から病気がちだったんです。だから何度も熱を出したり、学校もお休みすることが多かったり。それでお出かけすることも減って」
「そうだったんだ」
「でも最近は保健室登校になることもありますけど、普通に登校も出来るようになって。こうしてお出かけも出来ています」
「うん」
「だから、今日は私にこそ色々教えてください!」
「分かりました。頑張ります」




