2-22この手の話は波及するもの
深町姉妹はその相手との関係を否定し合っていると、姉妹のどちらもが認識していることが分かった。偽装関係はそれ故の次の手段ということだろう。
それに、その話をした際に口論をした可能性も窺えた。尚更話しづらいわけだ。
昨日は姉妹に質問する以外にもう一つ、考えていたことがあった。
それは深町姉妹とのこれまでの関係について、草壁と幸恵さんへ説明と相談をすること。
今聴くことができた双子の現状を受けて、それを行動に移すことに決めた。
恥ずかしがりながらも正直に打ち明けてくれた草壁。相談に乗る意志を示してくれた幸恵さん。僕はその二人だからこそ話したいと思った。
驚かせるだろうか。或いは落胆させるだろうか。それでも言う。できるならば、解決の糸口を……いや、僕に役立つことが欲しいんじゃない。どう思うか、それだけでも聞きたい。
さて、なんて話そ……。
今、数学の授業を受けるためにいつもの席に座っているのだけど……何やら視線が寄せられていた。
「……なんでしょう?」
「いや、空を見詰めていたからどうかしたのかと思って」
「何? それだけ? 油井優しすぎんか? 俺はまたこいつも浮かれてんのかってうんざりしてたところだよ」
「別に浮かれるのは良いだろ」
現に優しい人、幸恵さんが福成くんと呼ぶ油井、話の流れのままに座ってうなだれた大原、草壁のおかげか夏休み前にして珍しく浮いた話の無い新城。そして僕、というよりは僕たち四人へ少しうるさそうに視線を向けていたのは、草壁の幼なじみの木庭だ。
「申し訳ないけど大原が期待しているほどのことは無いよ」
「謝るな! あと『ほどのことは無い』ってなんだ! なんかはあるんだろ! イエスかノーかで答えろ!」
イエスともノーとも言ってない顔で返した。
「腹立つ……。はあ……。深町さんって綺麗だよな。…………おっと、なんだこの空気は。まだ何も言ってないぞ」
大原に三人の視線が集まっていた。……みんな僕の事情知ってるってことじゃん。
草壁は卯月さんと揃ってなし崩しに話したんだろうな~。
幸恵さんは明言はしてないけど油井が察したんだろうな~。
「夢は見るだけにしとけ」
「雲泥の差だ」
「お互い不幸になるよ」
「寄って集って言うなよ……」
大原は萎れるように頭を下げた。
今度は大原を除いた三人の視線が僕に集まった。
「ま、そういうこと」
「好きにしろ。行動次第では容赦しないが」
「良い夏休みを。あ、幸恵さんの家行くからよろしく」
すごい団結力だ……。
『或いは』ではなく『本当に』落胆させそうだ。期待が大きいこと。この面子(大原以外)にまで波及しちゃって……。
僕は苦笑いするしかなかった。
今日中に話そう。




