2-1隣席の女子の悩みと隠す僕 ☆
草壁美頼は悩んでいるようだ。
求められれば力を貸さなくもないが、今はもう頼れる人は僕以外にも
「君島~」
存外求めるのが早かった。
「何でしょう?」
「また勉強教えて?」
机の上に置いてあったノートを掴んだ僕は耳を疑った。
「え? どうしたの自分から」
「ああ……やっぱ知らないよね。その……追試が……」
「そういうこと。あれ、これまではどうしてたの?」
「情けで通してもらってました」
感情を消した顔だった。
「でも今回は、ちゃんと点を取りたいから」
勉強を教えてくれた僕と新城に報いるため……って納得しようと思ったけど、じゃあ僕に頼んじゃ駄目なような……四の五の言っている場合じゃないってこと?
いずれにせよ、僕じゃなくても良いはずだ。
「木庭じゃ駄目なの?」
「一番最初に話した。ずっと忙しいしか言わない」
「基本部活、それが無ければ店、後は自分のことで手一杯か……。じゃあ新城は?」
「教えてもらえたよ」
「あれ、じゃあ――」
「理系科目は。文系は新城くんも追試受けるぐらいだった。あたしも理系は大丈夫だったし」
「ああ……そういえばこの間そんな感じだったかも……。というか文系教科? 現代文とかはいいけどそっち地理じゃなかったっけ? 僕政経だよ?」
「お願い! そこは一年の時のでいいから!」
なるほど、これはさすがに……。とはいえなおさら僕じゃなくて木庭であるべきだ。
「もう一度木庭に頼んでみない?」
「え? もう何度も」
「僕と新城に頼んだことも話してみて」
「え?」
「それで駄目ならまた僕に声かけてよ」
「う、うん」
きょとんとした顔で草壁は頷いた。
木庭が断る理由はもう一つ、草壁との関係にもあると思う。
現状、草壁から木庭に提示されたのは誰も選ばないという答え。対して、木庭はこれまで避けてきて今さら他二人を差し置く気にもならないという遠慮。このままだと木庭が今回より強く突き放すようなことをしかねないかもな……。
まあでも、近付いたり遠ざかったり、なんだかんだ幼なじみらしい付き合い方とも言えるのかな。気軽に連絡取り合えるようになったのは進展していると思う。
というか新城は二人の関係を応援したいんじゃなかったの? そういう風に中途半端でお人好しだからぞんざいに扱われるんじゃないの?
「それで、君島はなんで駄目なんだっけ?」
「え?……あ、ああ、いや、選択した教科を教えるのは無理だし、それならまとめて木庭に教わった方が良いと思うからって伝えて」
なるべく草壁との関係に距離を置きたい、とは言えるわけも無い。




