表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/281

1-28問題を解こう!

 受付で渡されたのは問題が載ったバインダー。ざっと見たところこれだけでは全てを解くことはできず、指定される場所に行くことでヒントや完全な問題が分かるようになっているみたいだ。

 櫓さんは既に解き始めていた。待ってくださいまだ問題読んでもいないですって。数合わせとか全くそういうつもりないでしょ?


「『苺、うどん、椎茸、蕎麦、ネギ、ブルーベリー、まんじゅう、リンゴを3つのグループに分け、椎茸と同じグループの個数を〇、ブルーベリーと同じグループの個数を△、まんじゅうと同じグループの個数を□としたとき次の式で求められる数は?』で、式が『〇×△+□=?』数の候補が9と10と13……」


「あ、マルバツサンカクじゃなかった」


「野菜も果物も料理も和菓子もあって三つにするのか」


「野菜も植物と菌類だし」


「そこまで細かく分ける?」


「確かに。そういう分け方ならうどんは蕎麦と料理としてまとめないでまんじゅうと小麦由来の食べ物としてまとめた方が」「あのすみません」


「え? それなら蕎麦も小麦を使うものがあるから三つで一つじゃない?」「お二方?」


「それもそうだな。で、どうした君島」


「グループが三つになりそうにないんですけど」


「そうか、そうだったな。なら漢字と平仮名と片仮名に分けるか」


「今のなんだったの……」


「3×3+2で11。選択肢に無いよ」


「だよね」


 三人、改めて問題を見直す。


「二つに『ご』が付いてるんだけどね」


「じゃあ苺とリンゴか同じグループ?」


「りん、いち……。そうか」


 何か分かったような声だった。


「それぞれは別だと思う」


「なんで?」


「単語に数を表現できる言葉が、一つも無い、一つ含む、二つ含むの三つで分けるんじゃないか」


「じゃあ、椎茸は『し』で四、まんじゅうはよろずの『まん』ととおの『じゅう』。で、他のには無いんだ。式は2×4+2=10。お~。ちゃんと答えにあった。ありがとう油井くん!」


「いやいや。序盤でこれだと、それぞれ意見を出し合った方が良さそうだ」


 二問目以降、僕たちは櫓以外が引っかかりつつも解答を導き出していった。

 僕は幸恵さんと油井の会話から離れ、後ろにいた櫓の方を向いた。


「さすがだよね、すんなり解けるのは」


 特に返答も無く、ただ感情の無い目を向けられた。


「哀れみでも侮蔑でも無い視線が本当に怖いよ……。ところで練習したりした?」


「何?」


「いや、その、これを企画している会社のサイトにこういうのが幾つかあって、そこに大体練習問題があったから」


「まあ……使ったな」


「へ?」


 やけに素直に、かつわざと聞こえにくく答える様に思わず声が出てしまった。


「と言えば君は納得するのかい?」

 櫓はニヤニヤと僕を見ていた。


「ん? 大丈夫か?」

 前にいた二人は当然訳が分からなさそうな顔で僕を振り返っていた。


「ああうん大丈夫」

 僕はただ笑顔でやり過ごすしかない。また櫓の演技にやられた……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
YouTubeにて「僕(じゃない人)が幸せにします。」制作裏話を投稿しております。 もしよろしければこちらもご覧ください!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ