5-28リモート訪問
次の日。今から始める旨のメッセージに対する二人からの返信を確認し、僕からビデオ電話をかけた。
「見えてる?」
「うん」「大丈夫です」
まずは玄関から居間や台所までを案内した。
「お家自体の大きさは?」
「幸恵さんの家を同じくらいかな。この説明だと凛紗さんには分からないと思うけど」
「そうですね……。今より広く写せますか? 可能なら君島さんも入ってもらえると助かります」
凛紗さんの要望通りになるように、スマートフォンを立てて写る範囲に入った。
「これで良いかな」
「あっ……ありがとうございます!」
その声は一層明るくなったように聞こえた。家の規模より僕の姿だったのだろうか。
「なるほど……結構広そうですね。あ、テラスがあるんですね」
今度は僕が考えすぎだったらしい。
「うん。まあ専ら洗濯物を干す場所だけどね」
次は自室に移動した。
「おお……ここが君島さんの……」
やっぱり凛紗さんには下心があると思う。
「綺麗にしてるな~。思った通りだよ」
僕は椅子に座り、机の上に置いた画面に向き合った。
「あとは寝室とか見せられるようにしてない部屋だから、案内はここで終わりにさせてもらうね」
「ここが君島さんの毎日見ている場所だと思うと、見られて感無量です……!」
凛紗さん告白したからかもう包み隠さず言うな……。
「奏向くん。もし違ったら本当に申し訳ないんだけど……」
「ん? 大丈夫だよ、なんでも言って」
「ありがとう。えっと、今、お母さんだけの片親なのかな」
僕が答える前に、凛紗さんが正解と言っているも同然の驚きの表情になっていた。
「うん、そうだよ。死別じゃなくて離婚でね。なんでそう思ったの?」
「食器とか洗濯物とかが二人分に見えたから。っていうのと、そもそも前から何か家族のことで大変な思いをしているような気がしてたから」
「さすがだな~。何も言わずにそれが分かっちゃうんだから」
「理由までは……いや、そっか、もしかして……」
「そこまで分かる? まあ僕が幸恵さんにしたことで分かるか」
「そうなんだ……」
二人揃って落ち込んでいた。
けど、それから幸恵さんは微笑んだ。
「でも、そのおかげで私たちの幸せを考えてくれたんだと思うと、悪いことばかりじゃない……って、私は勝手に思っちゃったな」
「幸恵ちゃん……!」
「……ありがとう」
「あ。智香ちゃんが言ってた、奏向くんが話してほしくないことってこのこと……?」
「あ~。今となってはそれだけかな」
「ごめん! 掘り返しちゃって!」
「幸恵さんなら良いよ。前から気付いていたことだったわけだし。というか櫓に訊きに行ってたんだ」
「うん。私たちにしたことに何か大本があるような気がして、美頼ちゃんとね」
「なるほど」




