1-25情報屋的好み解釈! 引き合わせ計画付き
草壁と新城とを引き合わせる計画を櫓と話した際、幸恵さんに相応しい人についても話していた。
「目標とか前向き、か……」
「かなり漠然としているが、将来性が近い表現かもな」
「将来性かあ」
「君をしてそんなものがあるなんて言うとは普通なら考えられないけどな」
「うん、幸恵さんに悪いけどすごく納得している自分がいる。でも他ならぬ幸恵さんがそう思っているのも事実なんだよね」
櫓は大きく溜め息を吐いた。
「君の言いたいことが痛いほど分かったよ。そんなこと言っていたら本当に将来性のある奴ぶつけたくもなる」
「ちょっと違う気もするけどまあいいか……。でも本当に将来性のある人ってどんな人なの? 成績が優秀な人とか?」
「その上でどんな人間性かってのも大事だろうな。私が思うに、機転が利き、人付き合いが上手く、信念なり目標なりがある故に、自分なりの分別を着けつつ前に進むような人物じゃないか」
櫓はここまで説明して、残念そうな声を上げた。
「何? どうしたの?」
「一つ間違いを認めなければならないな。君のようなたらしこそ三つの要素の内一つは持っていると言うに相応しいじゃないか。さすが西沖、良い観察眼を持っている」
「たらしの方が間違いじゃないんですね」
「当然だ。分別が着けられるとは思えない点で将来性があるとはやはり言えないがな」
「もう僕のことはいいから!」
とにかく改めて人選してみる。さすが櫓と言うべきか、挙げてくれた要素を元にすると一人合致していそうな人物が思い浮かんだ。
「……油井とかどうかな。部活で関わって数学で近くに座っているぐらいなのに仲良くしてもらってるし。独特で突拍子の無いことは言うけど、それって機転と言うか頭の回転が早いからだと思うし」
「あのとぼけた顔している奴か。分かった、そいつで進めてみるか。それで西沖のお眼鏡にかかるか、だな」
「うん。よろしくお願いします」
◇
中間試験期間の開始を明後日に控えた週明けの夜、対幸恵さん向けの計画が櫓からメールで送られてきた。
「脱出ゲーム?」
内容は渋山市の遊園地で行われているというリアル型脱出ゲームに参加するというものだった。なるほど、そういったシチュエーションなら人柄や頭の回転の早さは見せられそうだ。
けど気になったのは参加メンバーだ。幸恵さんと油井は入っているのは当然だが、そこに加えて僕、そして、櫓。
なんで? 男女比を一対一にするため? それならなんだかんだ言って幸恵さんと油井だけにすればいいのでは? そんな巧く適当な理由を付けられないと思われてる? それは正しいね今全くもってそうさせられる口実思い付かないからね。
幸恵さんの居づらさを考えて一対一にしたのは良いとして、なぜ櫓なのか。二人の仲が良いという印象は無い。
まあいいや、櫓のことだ。何か考えがあるに違いない。




