5-11早速撮影に参加!
後輩たちもほどなく揃い、幸恵さんが話し始めた。
「こちら深町凛紗ちゃんです。映像部に新しく入ってもらえることになりました。凛紗ちゃんからも挨拶簡単でも良いからお願い」
「あ、はい! 深町凛紗です! 途中からなので邪魔してしまうかもしれませんが、よろしくお願いします!」
……新入部員!? 凛紗さんが!?
「よろしくね。今日はどうしようかな」
今日は幸恵さんと後輩一人が残って作業だ。となると……
「僕たちの撮影に着いきた方が良さそうかな。撮影した映像を編集する方が流れが分かりやすいと思うから」
「え、あっ是非!」
「そうだね。こっちは編集してるから」
◇
今日は男子ソフトテニス部の撮影を予定していた。準備している部員たちの中に副部長を見つけた。
「新城。部長は?」
本人曰く、腕前はあるものの部長の柄ではないという他の部員たちの判断から副部長になったそうだ。
「倉庫だと思うけど。すぐ来るよ。……なんで深町ちゃんが?」
「今日から入部させてもらっています!」
「お! なるほどね。やっぱり部活って入っておきたいよね」
「はい」
「あ、部長来たよ。じゃあ今日はよろしく」
「こちらこそ」「お願いします!」
顧問と部長が全体に向けて話をした後、部長の挨拶や練習風景を撮影していった。
「撮ってみる?」
「良いんですか?」
「さっき僕が撮ったみたいに、最初は全体、部長からの説明が終わった後はズームで二人をそれぞれ撮ってもらえる?」
「はい」
「急に動かさず、とはいえ遅すぎずっていう難しいことを心掛けてほしいけど、編集もするからあまり細かいことは気にしないで」
「分かりました」
凛紗さんにお願いした場面の撮影が完了した。
「難しいですね……。ズームは急に動かしてしまいましたし、パンは遅いでしょうし……」
「大丈夫。ズームの度合いの調整は上手だし、一人ずつ充分な時間撮ったから編集でなんとかなりそうだよ」
「そうなんですか? ありがとうございます」
やけに嬉しそう。そんなに不安だった?
最後に全部員に集合してもらい、締めの挨拶をもらって撮影は終了となった。
「意外と短いんですね」
「大会の映像もあるし、あまり長いと撮られる方にも見る方にも負担だからね。撮影が終わったら日によっては別の部にも行くこともあるけど、基本的には編集することになるから、コンピューター室に戻るよ」
「分かりました。機材持ちますよ」
「ありがとう」
◇
映像部ではカット、エフェクト、文字、音量の調整をそれぞれの担当に分けて編集している。僕と幸恵さんは最初のカットと最終的な全体の微調整をして、完成させるまでも受け追っている。
「申し訳ないけど、凛紗さんには一旦二つの場面を完成手前まで編集してほしいんだ。偉そうな言い方をするけど、技量を見たいから」
「分かりました。頑張ります」




