4-35ここしかない
もう少し詳しく訊いておいた方が良さそうだ。
「晴果ちゃんが話してくれた経緯とか聴いていい?」
「お父さんとお母さんに進路の話をしたとき、奏向くん福成くんとは別々になるって言ったのを聞いていたみたいで」
「ああ……。その後すぐに話したってことは、それまで気持ちを抑えていたのかな……」
「うん……。悪いことしたのは私なのかも……」
「い、いや! 幸恵さんと一緒にいてくれるのでも良いって思っていたかもしれないし!」
「え……それってなんか危うくない?」
「……そうだね。爛れた感じがする。晴果ちゃんが浮気相手になったり恋愛感情拗らせたりしかねないよ」
「嫌だ……。私の所為で晴果が苦しむなんて耐えられないよ。欲しいものならなんでもあげるのに……」
本当に息苦しそうな様子になっていった。
「落ち着いて。ごめん。話を拗らせたのは僕です。あくまで可能性の話だよ」
「あ、ああ、そうだったね……。もう私に遠慮する必要ないもんね。良かった、福成くんと同じ進路じゃなくて」
「それで、幸恵さんはどうする? このまま背中を押したい? それとも一度冷静になってもらいたい?」
「押したい!……けど福成くんの気持ちもあるもんね……」
「もし油井が受け入れても、世間からの目がどうしてもあると思うよ。僕ははね除けたり時間を待ったりすれば良いと思うけど」
「時間かぁ。美頼ちゃんと優哉くんみたい。ちょっと話聴いてみようかな。あとは……そうだね、もう一度会える場を設けられると良いんだけどな。できれば私も自然にその場にいられるような感じで」
「姉同伴はまず晴果ちゃんが許さない……」
「まあ、そうだよね」
「いや、行けるか分からないけど良い場があったよ。ここしかないかもね」
「本当!?」
「君島~。……と幸恵」
ちょうど良いところで草壁が来た。本人はばつの悪そうな顔をしていたけど。
「あ、ごめん。またあとで」「いや待って。こっちの話聴いてもらえる?」「えっ、いや、それはさすがにごめん!」
「そこまで遠ざけるほどの話じゃないから。後で卯月さんにも訊くけど、リュヌのクリスマスイベントに幸恵さんと妹の晴果ちゃん、それから油井の三人を参加させたいと思っていて」
「え? 幸恵と油井くんとはもう親しくなったし、その幸恵の妹も来ても大丈夫だと思う。お金は取るけどね」
「クリスマスイベント……! 楽しそうだね! そこで会わせる感じ?」
「あ……うん。あんまり不用意なことは言わない方が……」
「あ~、なんとなく分かっ……ええ!? そっかあ。でもそうか……。そうかあ~」
驚いたりにやけたり真面目になったり眉間に皺を寄せたりと草壁の変化は喧しいほどだった。一連を経験した身だ、それだけこの手の話に対する理解力が高くなったんだろうな。




