4-9うちといて嫌?
「うん?」
「うちといて嫌だな~って思うことある?」「ありません」
即答!?
「い、嫌とかじゃなくても、怖いとか。ほら、ちゃんと話すようになったのって最近じゃん?」
「あ~……」
うんうん。やっぱりあるよね。
「まあ、最初は軽く女性恐怖症にはなってたかな……」
「うち個人のやつじゃなかった!」
「そんなのなくなったけどね。草壁ちゃんのおかげかもしれない」
そう言いながら笑いかけてくる新城くんにどきっとした。
「え~? そんな大したことしてないけどな~」
って照れている場合か。
「あ……もしかして」
今度は申し訳なさそうに笑っていた。
「逆に俺の方が怖いとか」「ないない全然ない!」
うちも即答していた。
「全然話してくれないなこいつってなってない?」
「なってないよ」
「そっか。なら良かった」
◇
バイト後の調理の勉強も終わって、店長に話しかけられた。
「ミラちゃん……何かあった? その、自分のこと訊きまわっているみたいだけど」
恐る恐るって感じだった。新城くんといい、うち不安にさせてる?
「あ……見てました?」
「まあ、うん。いや見ようと思って見てたわけじゃないよ!?」
「心配しなくても大丈夫ですよ! 三人とちゃんと向き合いたいと思ったんです。なんと言うか、このままじゃ駄目だと思って」
言おうかな。店長にはちゃんと伝えておいた方が良さそう。
「……えっと、怒らないであげてくださいね。その、君島がうちから好意を向けられてるって、少し前から知っていたらしくて。でも君島はうちのことを不幸せにすると思って、せめてうちの好意を他の人に向けさせるために動いていたって、君島が話してくれたんです。それを聴いて、進路のこともあるし、真剣に選ばなきゃ、って」
「おお。なるほど」
それから店長は一呼吸置いた。ちょっと寂しそう?
「そっか。高校も半分過ぎちゃったもんね。いや~、分かっていたから専門学校とかその後のことを伝えたんだけどね。そういう料理とか飲食店のことだけじゃなくて、ソナくんと仲良かったし、いろいろあったから。感慨深いな~って」
「店長……! 急にそんなこと、寂しくなっちゃいますよ!」
「大事に過ごして。悔いのないようにね」
「はい……!」
「あ、でも寂しいとかはないかな」
「えぇ……余計寂しいですそれ」
「だってどこかで活躍が見られる気がするんだよね」
「本当ですか!?」
「本気だよ。私の勘って当たらないこともあるけど」
「現実にしてみせます! 頑張ります!」
感情が動きすぎて疲れた……。
「お先に失礼します。お疲……」
ちょっと落ち着いて一つ気になることができた。
「あの、今の話を聴いて、君島のことをどう思いましたか」
「あ~。ソナくんはソナくんだな~って思った。昔からそんなだよ。相手のことを思ってあげられるところが良いところだけど、ソナくん自身が幸せになれない理由にもなってて難しいよね」
「そうですか……。ありがとうございます。お疲れさまです」




