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3-57変化のきっかけ ☆

「好きです。でもそれは、関わる人が極端に少なかったからです。宮国さんは今でも優しい方ですけど、優しい方は他にもいて。少し違ったみたいです。だからいいんです」

「――そう。分かったわ。ありがとう」

 二人は互いに笑い合った。


「君島も。紆余曲折あったけれど協力してくれてありがとう」

「最初に私からお願いしていたことでしたね。今までありがとうございます」


「うん。良かった。まさか本当にこうなるとは思わなかったよ。……ところで、今って宮国と距離を置いている状態じゃなかったっけ?」

 訊いた途端、冴羅さんの明るさが失われていき……みるみるうちに暗くなっていった。同時に凛紗さんは慌て出した。僕は何を言うべきか迷った。


「自己嫌悪に陥いるわ……。でもこうしなければあの時より更に酷いことになっていたと思うし……。できる限りは尽くすつもりよ。その結果どうなったとしても。でも実際、宮国はどう思うのかしら」

 そう言って申し訳なさそうに俯いた。


「大丈夫だと思う」


 僕の声に視線だけはこちらに向けてくれた。


「冴羅さんが心配することはないよ」

 期せずしてこれまでの宮国のことを見てきた身として、その気持ちが手に取るように分かった。


「私、この後片付けが終わったら告白するわ」


 こういう時の冴羅さんの行動力は凄い。



 冴羅さんの話を聴き終えて、僕は体育館に入った。大原バンドやってたの?

 なんだかんだ盛り上がっている中、僕は櫓に接触した。


「昨日来たヤンキー、あれ櫓が差し向けたよね?」


「酷い言い種だな。売れるから売っただけだ」

 そう言いながら意味深長な笑みを浮かべた。


「その買い手が普段もお祭りとかで何かにつけて荒らそうとすること、櫓が知らないわけないよね」


「へえ。君はこの手のこととは無縁かと思っていたが」


 母親の仕事の関係から知ったことだった。わざわざ言うつもりもないけど、櫓は察しがついていることだろう。


「どうせ当時集まっていたガヤも力自慢たちも集まるようにしたんでしょ。どう? 売った結果は」


 微かに口角を上げて櫓は答える。

「彼らは過激なものだな。説明には手を焼いた。だが、大きい収穫を得られた。充分と言って良い」

 その視線の先に、向かい合う冴羅さんと宮国がいた。告白そのものというより約束を取り付けている感じだ。


 なんで当然のごとく知っているんですかねぇ。盗聴器でも付けられていた?


「これだから止められない」

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