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3-29「二年二組『姫君の一生』 裏方から一部演目まで公開!」1

「お邪魔します」


「来たか。今日はよろしく」


 木庭が迎えてくれた。言葉は変わらず無愛想なところがあるけど、表情や口調は柔らかくなったと思う。接客をするようになったからか、それとも草壁といられるおかげなのか。


 今日は二年二組の撮影。

 ただ、今来ているここは二組の教室ではない。文化祭までこの特別教室は自らの教室や部室だけでは足りない人たちに開放された部屋にされている。例えば教室は演技の練習に使われており、裏方はここで作業している、といったように。


「……人数多くないか?」


 今日の映像部は四人で行動していた。


「都合がついたらしいし幸恵さんは撮影される側で班分けもできないからね」


「今日は作業しながら質問に答えるだけと聴いていたが?」


「その通りだよ。……そんなに手が必要じゃないよ。幸恵さんを見に来ただけかな……」


「暇か?」


「そんなことないよ。ここまで揃うの久し振りだし」


「いや君島が」


「僕!? 自分で言うのもなんだけど忙しいよ!?」


 木庭は鼻で笑った。

「一組の方はあまり関わってないみたいだな」


「いや当日かなり働くからね? 呼び込みホールキッチン分け隔てなく任されてるからね?」


 草壁に推薦されて決まってしまっていた。卯月さんと長い付き合いだからといって自分でやるのは違うから草壁!


「美頼も……似たような担当じゃなかったか?」

 なぜか動揺していた。


「そうだけど?」


 もしかして、妬いてます? さっき鼻で笑ったと思ったけどどちらかと言うと安堵だった?

 顔がみるみる暗くなっていく……。大丈夫だって! 高校生になってから一緒にいる時間もう僕を超えてるでしょ! それでなんだかんだ仲良いし! たかが文化祭の数日で不安がらないでくださいよ!


「そうか……」


 すぐに切り替えられそうもないので木庭の担当は後回しにした。


 この劇には十五人の登場人物が出てくるのに対して三十人の演者がいる。これが二班に分かれる、つまり同じ役に対してそれぞれの班に一人ずついることになる。一つの組に四十人いるので裏方は十人。

 ……これを分ける時に揉めたと聴いた。結果として女子が一人男性役を演じることになった。まあその人が喜んで手を挙げたらしいし良いのか。


「裏方はどんなことをしているのですか」

 撮影中、後輩の一人が裏方を指揮する人に訊いた。


「一応大道具、小道具、衣装に分かれてはいるんですけど、実質みんながみんな全てに関わっていますね」

 あるある。僕もそうだし。

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