3-7視線 ☆
それからまた数日後。
教室移動の途中。
「(君島さん……)」
「ひょえっ!?」
「あっ! ご!……(ごめんなさい)」
突然声を掛けられた時の凛紗さんのような反応を、その凛紗さんの声掛けに出してしまった。というのも、かなり抑えた声だったからだ。
「(どうかしたの?)」
「(最近視線を感じるんです)」
…………。
「(凛紗さんが?)」
「(ごめんなさいごめんなさい! 本当にその節は!)」
小声の意味が無いくらい何度も大きく頭を下げた。
僕は制しつつ周りを見渡してみる。
「見たところ誰もいないけど」
「……そうですね。私も今は感じないです。君島さん、本当にごめんなさい。嫌な気分になりますね」
「凛紗さんは理由が理由だったから」
「すみません。ありがとうございます」
ふと自分の言葉を思い出す。
――わざわざ異性に好かれようとしているわけじゃないだろうから――
例え好意でも、相手が不快に思った時点で何かが間違っているんだと思う。
――僕はどうだろう。
「それで実は、冴羅ちゃんも同じらしいんです」
その発言で我に返った僕は、ある人物が思い当たった。
「また何かあったら言って。僕もちょっと調べてみる」
「ごめんなさい。冴羅ちゃんのことをお願いしたばかりでこんな……」
「大丈夫。頼りないと思うけど、誰かに話したかったんだよね?」
「すごく頼りになっています!」
真剣な表情で本気で言っていた。
「よろしくお願いします!」
◇
その日の内に冴羅さんに会いに行った。
「どうかしたの?」
「最近、視線を感じたり後ろに誰かいるような気がすると」「まさか貴方なのかしら」
かなり久し振りに睨み付けられた。
「待ってください! 性急過ぎますって!」
「まあ、あなたになら恨まれても仕方がないわよね」
「聴いてます? 恨んでも尾行してもいないですから。凛紗さんから話を聴いたんです」
「ああ……そう。そうよね、疑ってごめんなさい。どうしても凛紗のことが心配で」
「そう言うと思っていました」
「……これまで以上にこんな気持ちになるのも、君島のおかげよね」
照れくさそうに笑って言った。
「良かった、本当に。僕の働きだけってわけでもないけど」
「そう言うと思ったわ」
いたずらっぽく笑って言った。
「それで? 現状確認だけで良かったかしら?」
「あとは、僕も今回の件を調べてみることを伝えておきたかったってところかな」
「そう。助かる。私も注意するわ」




