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3-6動く周囲、ぼーっとする当人

「本物は要検討か。動画に限らず何かの形で実現するのも良さそうだ」


 別府は感心していた。影響を与える意見はさすが幸恵さんだ。……それが動画そのものじゃないところもらしいと言えばらしい。

 そのすぐ後に冴羅さんが呼ばれた。


「おもてなしのために集めて走り回るというのはどうかしら。出し物紹介と被るけれど実際に使う物だったり、ゲートの一部だったり」


「なるほど。これは本気で走って競争する? それとも演技を付ける想定だった?」


「どちらも良いわよね。私としては決めかねていて」


「なるほど。なら他の内容に併せて決めるか。……宮国、何か?」


 確かに僕にも宮国は何か言いたそうに見えた。


「ああ……いや。大丈夫。次は私だよな」


 遠慮した? そうか、今はこういう状況か……。


「私はすぐそこの坂を、大勢で一斉に走って下るというのを提案したい」


「賑やかそうで良いな!」


 別府楽しんでんな。

 冴羅さんは……あ、ぼーっとしている。前を向いているけど、そこには何も無い。なるほど、こういう状態なのか。


「次俺か……」

 別府は妙に溜めた。

「俺も歌って踊るしか思いつかなかった」


 議論の末、撮影することが確定となった内容として……冴羅さんの走り回る案と宮国の駆け抜ける案が皮肉にも揃って選ばれた。

 前者はドラマ仕立て、後者は実行委員会の参加ということも決まった。

 ちなみに歌って踊るは反対派や懐疑派も多くて実現しそうになく、温泉は保留とされた。



 それから数日後。

 僕の所に別府がやってきた。


「なあ君島くん」


「なんでしょう」


「深町さんって双子なのか?」


「え? うん。……え?」


「そうか。俺が最初に見たのはどっちだ?」


「そっちが知らないことを僕が知る由も無いよね……」


 僕の中では色々と渦巻いた。僕や草壁にも似たようなことあったし、本当によく似ているんだなとか、最近気付いたんだなとか、それって凛紗さんが元気になっている証拠だな、とか。


「まあでも多分だけど、冴羅さんの方だと思うよ」


「どっちだ? もう一人に甘そうな方か?」


「それも分からないんだけど? 今はお互いそうだから」


 分からないけど人前でそういうところ出すとか変わり過ぎじゃない?



「副生徒会長だよ」


「そうか。分からんが分かった。ありがとう!」


「うん」

 もう返事とか適当でいいや。

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