2-45到着後:男子たちの待ち時間
一時間弱の走行の後、無事目的地に到着した。
「はい、お疲れ様でした」
「お疲れ様です」
「ありがとうございました」
「あ~……お疲れ様でした!」
「あの、呼び方はこれまで通りでお願いします……」
「そっ、そうですよね!」
櫓から手に入れたチケットで入館し、男女に分かれ、案の定ただ履くだけの男集団の方が先に中に入った。
なるほど、関東最大級を謳うだけあって本当に広い。しかもそれに見合うだけの利用者が入っていた。例え平日でも夏休み期間なので閑散としているはずもなかった。
…………。
「なんだ、この時間」木庭が呟く。
「来ちゃいけなくねぇけど。結構いなくもないけど。……言っちゃえば野郎の集団だからな」新城が口に出してしまう。
「ん? なら散り散りになろうか?」油井が提案する。
「いやみんなに心配されるよ! 大丈夫! すぐ来るって!」僕は慌てる。
「その割りに微妙に時間がかかっていると思うが。どこかから見られているかもな」
「何それ怖い。え? みんなそんな陰湿だった?」
「……悪い。止めようこの話……」
言い出した木庭自身がそう言った。
一同ため息を吐く。
「おい、宮国。もうちょい元気出せって」
「この流れで……?」
新城の励ましが聞こえて宮国の方を見ると……既に項垂れていた。
「……大丈夫?」
「いや……なんで来たんだろうって」
「え……?」
「……金づちなんだよ、僕」
あれ……? 「僕」? 一人称「私」だったし喋り方が弱々しくなってる?
「断わろうともしたけど! なんとかなるかもしれないってのと! 冴羅と凛紗の水着姿が見られると思ったから!」
「言っちゃったよ……」
「いや、みんなそんなもんだろ。俺は草壁ちゃんのを見に来た」
新城からの本来の意味の“follow”だった。
「黙って帰れ」
ごもっとも。
「よし! なんとかしよう!」
「もうどうにもならねーよ」
「そうだよね。心配させるばかりで楽しくなくなっちゃうよね」
もう一度僕は宮国に驚いた。その考えが深町姉妹に似ているような気がした。
「大丈夫。冴羅さんも凛紗さんも、ちゃんと向き合ってくれるはずだよ」
「……ありがとう。確かにあの二人ならそうするよね」
「ところで素はそんな感じなの?」
「あ……。つい心配で出てしまっていたか……。私としたことが、情けないところを見せた」
「戻った」
「いつも気を張っているんだと」
「なるほど」
「お待たせ~」
卯月さんの声が聞こえた。
振り返ると、五人が一緒にこちらに来ていた。




