表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/23

第18話

「どうしたの、玲ちゃん」


小学生の力は意外と強くって、変に引っかかってしまわないように注意しながら、ゆっくりと中腰になり、彼女と目線を合わせる。


「・・・髪の毛、教えてほしい」


私と玲ちゃんは、お菓子作りの途中にお話ししたのだけど、彼女も女の子らしくおしゃれに興味があるようで、髪の毛いじりに興味を示していた。料理中だし、また後でね、と言ったけれど、楽しみにしてくれていたのだろう。


「そうだね、やってから行こうか。約束だったもんね」


「・・・やった!ありがとう、ひとみおねーちゃん」


なぜだかちょっと泣きそうになっている玲ちゃんを突き放すなんてできなくて、ついつい長居することを選択してしまう。


玲ちゃんは、嬉しそうに、後ろを編むのがうまくできないの!と私の手を引いて洗面所へ向かう。


そんな私たちを眺める、庄司くんの優しげな瞳が、やけに印象的だった。




ーーーーー




『ひとみおねーちゃんが、本当におねーちゃんだったらなあ・・・』


髪を結っている間に、口を尖らせてそんなことを呟いた玲ちゃんを思い出して、私は自室で思わず吹き出してしまった。


庄司くんの弟妹はどちらもすごくいい子だ。自分達の家庭が普通とは違うということをどこかで感じつつも、十分な愛を兄である庄司くんや、椎名先生から受けていることをちゃんと理解していて、やっぱりどこかで遠慮をしてしまうこともあるのだろう。思いがけず現れた私に、普段から気になっているだろう、おしゃれに関することを色々と聞いてきていた。


『水瀬:玲ちゃん可愛すぎない』


『まとい:やらんぞ』


『水瀬:いやあ、私の妹もさ、あんな可愛い時があったなあ、と』


『まとい:まあ玲は10年後も可愛いままだが』


『まとい:それは揺るぎない事実なのだが』


『まとい:おい』


『水瀬:いや、言葉尻とらえて、そんなガチにならないでよ・・・』


やっぱり、二人のことを話している時の庄司くんは少しばかり、おバカになる。一緒に過ごしていて、お兄ちゃんモードになっている時は、結構格好いいんと思うんだけど・・・。


『水瀬:そういえば、お夕飯ごちそうさまでした。毎日やっているだけあって、やっぱり料理上手だよね』


『まとい:僕の主夫力はカンストしている』


『水瀬:でも、今日ちょっとだけ二人の相手させてもらって思ったんだけど、ぶっちゃけ時間、大変じゃない?いくら好きなこととはいえ、勉強も家事もあって、バイトもあるよね・・・?』


『水瀬:あ、もちろん、二人が邪魔とかじゃなくって』


『まとい:わかってるよ、気にしてくれてありがとう』


『まとい:正直なところ、月末はきついかなあ・・・。バイトはほとんど在宅でできるんだけど、在宅だとなかなか時間が取れなくて』


『まとい:ついつい、二人のことを構っちゃうんだよね』


『水瀬:庄司くんらしいね』


本当に、いいお兄ちゃんだと思う。


でもだからこそ、彼の力になりたいと思った次の日に、思い立ったが吉日、と仲間に連絡を入れていたプランを披露する。


『水瀬:あのさ、よかったら、なんだけど』


『まとい:???』


『水瀬:文芸部、入らない?』


『水瀬:幽霊部員でも、加入だけしてくれたら、場所もパソコンも使えるよ』


『水瀬:部費はちょっとだけ徴収してるけど、普段の出席ノルマもないから、庄司くんの仕事場に使ってもらう、くらいの軽い気持ちで』


『まとい:・・・それはありがたいけど、周りの人がいい気はしないんじゃない?正直、参加時間もあんまり長居できないし・・・』


『水瀬:部長の許可は取ってあるんだよなぁ・・・』


『まとい:(鯉が目を見開いているスタンプ)』


・・・なんだか、初めて庄司くんを驚かせることができたかもしれない。

お読みいただきありがとうございます。励みになりますので、ブックマークやコメント・ご指摘など、よろしくお願いします。感想などもいただけましたらぜひ参考にさせていただきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ