第1話
リアルが多忙になってしまったのですが、思いついたので・・・
近いうちに、もう一方も改稿したり更新したり、やっていければと思います。
私の勉強のつもりで公開していますので、ご意見やご指摘、大歓迎です。
家庭崩壊の危機、という単語を聞いたことがあるだろうか。
夫婦間の関係が冷え込んでいる、とか、子供がぐれてしまって、とか。ただ、ほとんどの家庭にとっては、それは物語や噂話の中の話で、現実感がないものだろう。実際に危機が訪れる家庭もあるだろうが、それが崩壊までに至ることは稀だろう。だからこそ、特別な、ありえなさそうな出来事として語られる。
ただ、僕の家庭は本当に崩壊してしまった。
これは、あまり語られることのない、崩壊してしまった家庭の、子供たちのその後の物語。
まあ、などと格好をつけてみたものの。なかなかに僕のこれまでの家庭環境はハードだった。
僕は、椎名浩哉と加奈という夫婦の家庭に生まれた。こんな持って回った言い方をするのは、実は、母親である加奈が不倫した結果に生まれた子供だということが、僕が中学生に上がる頃に発覚したからだ。
これをきっかけにして両親の仲は一気に悪化。僕が中学に上がってしばらくした頃、離婚してしまった。椎名浩哉は、血のつながった、僕の弟妹(双子)の舜と玲だけを引き取ろうとした。僕は母親の加奈に引き取られる、ということで話がまとまるはずだった。
しかし、その直後、椎名浩哉にも不倫相手がいたことが発覚し、状況は泥沼化。不倫相手は浩哉との再婚を希望し、それに際して自分と血のつながらない双子の引き取りを拒否。結局、母親の加奈が僕達3人を引き取ることとなった。
小学校卒業を控えたあの日、僕は、椎名纏から、庄司纏へとなった。
悪いことは続くもので、その2年後、加奈は急病で他界。既に浩哉への連絡は途絶えており、僕たちはめでたく天涯孤独の身となったのだ。
そのような過去があって、正直言って僕のメンタルはもはや無敵だ。僕が小学生のうちに祖父母も高齢のために他界していたのだが、そこから激動のジェットコースター人生を送ってしまったせいで、もはや精神的な耐性が異常なまでに鍛えられてしまった。
いや、当然最初は辛かったよ?自分が父親と血が繋がっていないことがわかった時など、しっかり鬱っぽい症状に陥り、それ以来、自分の決断力や意思決定力と言ったものが著しく低下している実感がある。他にも精神的なトラウマは多く抱えているものの、それらを加味しても僕の精神は自分のやるべきことに向けて集中しており、僕のメンタルは生半可な高校生程度の比ではない。
なんせ、舜と玲はまだ小学生。
半分しか血が繋がっていないとはいえ、二人には、何不自由なく過ごしてほしい。
人は生まれを選べないが、彼らの家族には僕がいる。彼らの家庭を、本当の意味で崩壊させてしまわないように。この世界も、捨てたもんじゃない、美しいものがあるのだと、知っていてもらうために。
僕は、二人を慈しむ、理想の兄になろうと決意した。
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