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約束

昨日はブックマーク登録、評価をしてくださった皆様のおかげで日間ファンタジーBEST300のうちの49位にのることが出来ました。


 アーシンさんがパーティに入ってから更に安定した戦いが出来るようになった。今まで俺もギルも使う武器が剣で被っていたので近接戦闘しか出来なかったがアーシンさんがパーティメンバーに入ってくれて遠距離、中距離の攻撃手段が増えたのはありがたかった。


 彼女は主に弓矢と投げナイフで戦うようで遠くから標的の急所に一発で矢を命中させ絶命させていた。彼女が言ってた腕に自信があるとはこれのことだったのかと納得するほどの腕の良さだった。ただまだ戦闘経験が少ないのか射線上でギルが後ろから飛んでくる矢を避けているところを何度か見かけた。


 「消え去れっ」


 そして今もまたアーシンさんは俺たちの後ろから今回の依頼の討伐対象であるリザードマンに向かって矢を放っていた。


 「うわっ!?」

 

 そしてギルが避けた先にいたリザードマンの額に矢が当たった。………だが鱗に阻まれて浅くしか刺さらなかったようだ。

 

 弓矢が通用しないとなると俺とギルでやるしかないだろうと剣を構えリザードマンの元に向かおうとしたが既にリザードマンは死んでいた。


 「………ヘ?」


 「念のために矢に毒を塗っておいたんです」


 「なるほど?」


 「………おい」


 「………なんですか?」


 「今僕を殺そうとしただろ」


 「は?証拠あるんですか?」


 「今思いっきり「消え去れっ」て言って矢を撃ってたよな?」


 「まさか、リザードマンに向かって言ったんですよ」


 「でも矢に毒を塗っているなら今度から教えてほしい。今回はたまたまギルが避けきったから良いけど、もし当たっていたら大変なことになっていました」


 「ごめんなさい私が悪かったです。どうか嫌わないでください」


 「おい」


 「ギルも大丈夫か?毒が塗られていたらしいが」


 「ああ、なんとか避けきったからね。でも本当にこの女をパーティに入れてよかったのか?こんなんじゃ命が幾つあっても足りないよ」


 「……確かに事故が起こった時のことを考えると怖いな…………アーシンさんちょっといいか?」


 「次からは誤射しないようにするんで許して下さい」


 アーシンさんの方を振り向いた時には既に頭を深々と下げられていた。


 「ちょっ、何してるんですか!?」


 「次からは誤射しないようにするんで許してください」


 ゲームのNPCか!


 「とりあえず頭を上げてください!」


 「……頭を上げたらパーティに残してくれますか?」


 「………どうするギル、俺は彼女がいてくれて助かってるが危険な目にあってるのはギルだからな」


 「ここに置いていこう」


 鬼か


 後衛職の彼女を一人で置いていくなんてここで死ねと言っているようなものだ。


 「…………後で殺す」ボソッ


 アーシンさんが何かを呟いたようだったが頭を下げていて上手く聴こえなかった。


 「流石に置いていくわけにはいかないだろ」


 「………ハァ、分かった。次に誤射したらこのパーティから出て行ってもらうっていうことでどうだい?」


 「はい。次でしとめ……ンン゛ッ了解しました」


 「じゃあギルドに戻ろうか」


 





 ギルドで依頼達成の報告をして帰路に着いた。


 「で、また付いてくるのか」


 「前回言うことを聞いてくれなかったじゃないか。変な奴は部屋に入れるなって言ったのにこんなのを不用心に部屋に入れたなんて」


 ギルの視線の先にはアーシンさんがいた。


 何故か自称護衛が一人増えていた。


 「アーシンさんも無理に付いて来なくて大丈夫ですよ。もし刺客に襲われたりしたら危険だし人の命を奪うことになるかもしれないですし」


 彼女にもこのパーティに入るに当たって俺が貴族の誰かの恨みを買っているということを話した。黙っていることは不義理に感じたからだ。そしたらなんと彼女も護衛を買って出たのだ。


 「確かに私は人の命を奪うなんて経験全く!全然!これっぽっちも!無いんですけどそれ以上にエデルさんの身が心配なんですよ!」


 「……その、二人ともありがとう」


 でもやはりそんなことを言ってくれる二人だからこそ俺の都合で危険に巻き込みたくは無い。


 そしてその日も無事に宿屋に着いた。





 そして宿屋の部屋に戻ってすぐ『転移の指輪』でイリエステルのいる小屋まで転移した。


 俺は彼女との約束通り三日に一回は彼女の元を訪れていた。


 「また喚んでくれなかった」


 会って早々イリエステルは不満げだった。


 「そう言われてもなぁ」

 

 彼女に頼らなければならないほどに追い詰められている状況にはならないに越したことはない。


 「ならどんな時なら喚んでくれる?」


 ………極力彼女を戦わせたくないというのが本音だ。だが何も条件を言わないままだとふくれっ面が継続されてしまうだろう。


 「相手が人間じゃなくて俺がどうやったって勝てそうにない時は必ず呼ぶよ」


 まあそんな危険な相手に俺が近付くことは無いんだけどね。


 









 そして次の日ギルドで俺は恐ろしい噂を聴いた。


 「おい聞いたか………人間の土地で魔族を見たって噂」


 「ああ、なんでも二体で大きな木箱を運んでいたって……」


 「本当だと思うか?」


 「まさか!酔っ払いの見間違いだろう。なにせ人間の土地と魔族の土地は『腐敗領域』が分断してるんだからな。通って来れるわけないじゃないか!」


 「だよなぁ!『腐敗の女神』があの森にいる限り魔族が人間の領土に入って来れるわけないよなぁ!」


 




 「……………」


 「どうしたエデル、そんなに汗をかいて」


 「何か心配事ですか?よければ私に話してみてください」


 「いやここは相棒である僕が相談にのるよ」


 「先に言ったのは私です。割り込みはやめて下さい」


 「いや相談なら同じ男である僕の方が相談しやすいだろう?」


 二人の言い争いが始まったが今はそれどころじゃなかった。




 まさかな…………




 この小説を読んでいただいて誠にありがとうございます。またブックマーク登録、評価をしていただいた方々も本当にありがとうございました。これからもこの小説をよろしくお願いします。

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