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階段をおり食堂を探す。ここかな…?

そっと扉を開けると長いテーブル、向かい合わせに並ぶ椅子。


──ここだよね…さっきの執事さんいないから不安だけど


「早いですね」


「はっはい!!」


後ろから急に話かけられて飛び跳ねるほどびっくりした。


「改めまして私は執事のエドガーと申します」


まず屋敷を案内しますと歩き出す。ホール右側は応接室、客室などご主人様が使うスペース、左側は主に使用人が使う部屋が配置されている。


「あなたには、簡単な仕事をやってもらう予定だったのですが…ちょっと調理場までいいですか?」


食堂からほど近い調理場に入っていくと、身体の大きな人が座っていた。


「エドガー見つかったか?」


「いえ、まだなんですが…ドナルドこちらはクレアさんです。今日からこの屋敷で働いてもらいます」


「はじめまして。クレアと申します」


「おう!俺はドナルドだよろしくな」


そう言ってこちらに近づいてきたその男は右手を怪我していた。彼の利き腕らしい。


「料理担当の彼がこの状態なので…クレアさん料理って出来ますか?」


「作り方が分かれば大丈夫かと…」


「ではお願いしてもいいですか?」


家で家族が食べるくらいの簡単なものしか作った事がないので、ご指南よろしくお願いいたしますと早速調理場に立つ。

ドナルドに今日のメニューを聞いて、置かれてる材料を見る。


──ざっと5人前くらいかな。


慣れた手つきで野菜を洗い、切って、どんどん作っていく。しばらく様子を見ていたエドガーだったが、後は任せましたとそこから出ていった。



「俺が何か言う必要ないな」


「でも、食べ慣れてるドナルドさんの味付けの方がいいと思うので…確認お願いします」


と味見用に少量小皿に入れてドナルドの前に置くと、1口食べたドナルドが大丈夫と言ってくれたので次の料理にとりかかる。




調理場の横にテーブルが置いてあり、使用人はここで食べるみたいなので、できた料理を置いていく。

夕食と呼ぶには少し遅い時間だったが、エドガー、ドナルド、クレアと後1人ジョンと言う使用人と4人で食卓を囲む。量的に少し余ったが完食に近く、クレアはほっとする。


「クレアさん明日からこちらの担当でも大丈夫ですか?ドナルドの怪我が治ればまた別になりますが」


「分かりました。でも本格的な料理は作れませんので…」


「ご主人様も我々と同じものを召し上がりますし、この家でパーティーなどしないので安心してください」


それなら…と引き受けることにした。


「今日は後ゆっくり休んでください」


「朝また頼む。俺も朝来るけど…」


「分かりました。では今日は先に休ませてもらいます。おやすみなさい」


クレアは屋根裏部屋に戻り、ベッドに入ってすぐに寝た。




◇◆◇



朝スッキリと目が覚め、サッと身支度をして調理場へ向かう。階段を降りていると玄関があく音がする。


──こんな朝早くに?


急いで階段を降りると、エドガーの後ろに騎士団の制服を着た人が見えた。

その場で頭をさげる。


「ご主人様、新しく入った使用人です」


「…ああそうか」


「クレアと申します…」


ちらっとクレアを見ただけでその人は2階に上がって行った。




ご主人様も朝食べるのかしら…と思いながら調理場に向かう。ドナルドが夜に用意してくれてたのか食材が並んでいる。

野菜を洗っているとエドガーが顔を出す。


「おはようございます。ご主人様は戻りましたが今からまた出られるので、すぐ朝食の用意出来ますか?」


「分かりました。食堂までお持ちすればいいですか?」


よろしくお願いしますとエドガーはまた急いで戻って行った。パンはあるので卵料理とスープを作り食堂まで運ぶ。


食堂で主人は椅子に座り書類を見ている。エドガーは紅茶を入れながら昨日の報告をしている。クレアはご主人様の前に食事を運ぶ。特にすることはないが食堂入口まで下がりそこで待機する。


──書類読みながら話聞いて頭に入るのね…すごいな。


味わっているのだろうかと思うほど、すごい早さで全て食べ終わるご主人様を見てびっくりする。お茶も一気に飲んですぐ立ち上がり入口まで歩いて来るのでクレアは扉を開け頭をさげる。


「…美味かった」


「!!」


ボソッと言われ、ん?と思い顔をあげた時には目の前には誰もいなかった。

今美味しかったって言われた?

つかみどころがない人だな…と思いながら片付けをする。食器を持って調理場まで戻るとドナルドがいた。


「もう作ってくれてたのか?」


「勝手にしてしまってごめんなさい。味付けどうでしょうか?」


「大丈夫だ」


よかったと思いながらクレアも朝食を食べる。食べている途中に主人を見送ったエドガーが食べにきた。


「あのお方がレオン・ハミルトン様だ。今日は夕方には戻られる予定なのでそのつもりで」


「分かりました。ここを片付け終わったら何かすることはありますか?」


「少し足りない材料を買いに行ってもらえるか?」


屋敷で必要なものは定期的に持ってきてもらっているが、足りなくなるものはその都度買いに行っている。


「分かりました。何がいるか教えてくださいね」


「荷物持ちにジョンと一緒に行けばいい」


使用人みんなが朝食を済ませ、それぞれ仕事にかかる。クレアも食器などを片付け調理場を出る。ジョンが手があくまでどうしょうと思っていると裏庭で洗濯をしてる人がいた。


──はじめて見る人ね…


1人で大変そうだったので思わず声をかける。


「はじめまして。クレアと言います。お手伝いしてもいいですか?」


「びっくりした!!何?ああ昨日から入った人?」


「はい。これそこに干せばいいですか?」


「頼める?」


ノラと名乗ったその人は40歳は超えている小太りの女性でこの屋敷には通いで来てる使用人だ。


「ここの旦那様は本当に喋らない人で、感情も表に出さないから貴方くらいの歳の子は気味悪がってすぐ辞めちゃうのよね。ちなみに22歳よ。貴方は…ああ18歳なのね」


「エドガーはあれだけ顔がいいのにまだ独り身なのよ。何かあるわよね」


「ドナルドはね、あれ街で喧嘩して手を怪我してね」


──ちょっとの時間での情報量がスゴすぎる!


これだけ喋りながらも手は止めてないのでクレアも必死で干す。まだ喋りが続きそうだった時


「クレアさん、僕動けます」


ジョンが呼びに来てくれた。ノラに買い物に行ってくるから失礼しますと行ってジョンと一緒に出かける。

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