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夜、団長からの呼び出しがあった。

すぐに詰所まで行くと他何人か集まっていた。


「先程の話をもう1度」


「はい、リットン家に昔から使えてたメイドが身体を壊して今療養中なんです。その人が言うには、ヘンリーについてたメイドが怪しいと」


「怪しいとは?」


「ヘンリーが病気になる少し前に入って、今はもう辞めたらしいんですが…ヘンリーの食事に何か入れてたらしいです」


「!!」


「そいつがレスターの息のかかったメイドだったら?」


「すぐに確保を!」


「手配済みだ。捕まえれば確定、捕まえなくても噂があるだけでも踏み込める」


団長がニヤリと笑う。


「残り団員は明日朝一番レスター家に踏み込む準備を!!第2騎士団敵にまわした事を後悔させてやるぞ」



──後少しだ!クレア待ってろ!!






◇◆◇



ガチャと扉を開ける音に顔をあげる。

ニコルと何人かのメイドが一緒だった。


「おはようクレア。寝れてない…かな?」


「…」


ふっと微笑んで近づくがその分クレアが下がる。


「私の花嫁は恥ずかしがり屋だな。さあ支度しようか」


「なっ!!」


一瞬怯んだ時に間合いを詰められ腰を抱かれ口元に布をあてられる。


「やめて!ニコル…様…」


やばいと思ったが抵抗できず意識が遠のく…


自分とニコルの間で突っ張っていたクレアの手が段々力がなくなりだらんと垂れ下がる。


ニコルは完全に意識のなくなったクレアを苦しそうに抱きしめ、額にキスをする。そっとベッドにおろし顔にかかった髪をのけ、頬を撫で…


「早く支度を」


メイドに命じ、その場を離れて扉をしめ、その前で待つニコル。




しばらくするとメイドたちが出てくる。全員をさがらせ中に入るとベッドにウェディングドレスを纏ったクレアが寝ていた。

そっと手を取り甲にキスをして顔を見る。


「…すまないクレア」


もう無理なのは分かっている。今日には何か理由をつけてレオンが踏み込んで来るだろうと。爵位などどうでもいい。クレアだけ手に入れればそれでいい。

教会で宣誓だけしてしまえばあいつも手が出せない。

クレアを横向きに抱いて、階段を降りて行く。執事が扉を開け、馬車の扉もあける。ニコルは馬車に乗りクレアを席に降ろす。合図を送り教会へ出発する。ガタンと走り出すと少し緊張が解ける。


──後少し…


横に座ってるクレアの腰を抱き顔を自分の肩に乗せる。このまま後少し…

教会へもう着くだろうという所で馬車が急に止まり扉が無理やり開かれる。


「そこまでだ。クレアを返せ!!」


レオンの低い声が通る。


「返せ?お前のものでもないだろ」


「早く馬車から降りろ」


剣先がニコルに向いている。クレアを抱いて出てこないニコルに苛立ちを隠せない。


「これから結婚式なんだ…邪魔しないでくれないか?ほらこんなに綺麗に用意もしたしね」


うっとりとした顔をしてクレアの手を取るニコルの首元を掴み引きずり降ろし素早く後ろ手に縛り自由を奪う。そこは任せ再度馬車に乗り込むレオン。

ウェディングドレスを着せられ椅子にもたれるように座ってるクレアは目を閉じてる。まるで息をしてないように見え手が震える。そっと頬に触れると暖かく胸の上下運動で生きてると確認できた。その瞬間込み上げてくるものがあるがぐっと堪え、抱き抱えて外に出る。

レオンがクレアを抱き上げてるのを見たニコルが豹変する。


「触るな!触るな!!クレアに触るな!!」


騎士に背中を押さえられ地面に伏せられながら


「嫌だ嫌だ嫌だ!連れていくな!俺からクレアまで奪うな!」


レオンは上から見下ろし何も言わずクレアを連れていく。


「行かないで…クレア」


弱々しく呟き崩れる…。



リットン家にも騎士団が踏み込んでいた。確保には時間がかかると踏んでいたが執事が協力的で、主がいる部屋まで案内しヘンリーに毒を飲ませていたメイドも自分の娘だと白状していた。レオンに急いだ方がいいと教会に向かってるニコルのことを教えたのもこの執事である。


「伯爵になる俺に何をする!無礼者が!!」


「ハイハイ。まだ普通な貴族様、今からは犯罪者だあきらめろ」


団長が縛り上げ王宮まで連れていく。執事が最後までご一緒しますとそばについていた。





「後はこっちでやっとくからお前はお嬢さん連れてけ」


「いえクレアを預けたら戻ります」


「まあいいけどな」


今はクレアを安全なところに連れて行くことを最優先にしたい。公爵家に連絡を入れたのでもうすぐ馬車が来るはずだ。

クレアはまだ目覚めない。


──教会に行く前でよかった…


目を閉じてるクレアを見て心底ホッとする。自分のところに連れ戻せてよかったと。

しばらくそのままでいるとリーフェンがやってきた。馬車にクレアを乗せ自分も乗り込む。


「後はおまかせ頂いても大丈夫ですが」


「私が最後までついていたい…」


「かしこまりました」


馬車は動き出す。







ベッドにそっとクレアを降ろし、まだ目覚めないクレアの手を取って祈る。ベアトリスが後ろから見ていた。


「後よろしくお願いします」


「任せてちょうだい」


レオンは急いで王宮に向かう。

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