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ふと目が覚めると、自分のベッドで寝ていた。

外は既に暗くなっており、部屋の中はかすかな明かりがあるだけだった


──私どうしたんだった?


リットン伯爵家から戻ってきてそれで…


「!!!」


昨日の事を思い出してまた倒れそうになる。アタフタしてるとベッドの脇で椅子に座って寝てる父親が見えた。

そっとベッドから降りて父親にブランケットをかける。


完全に起きてしまうには中途半端だったので、再度ベッドに入り寝ることにした。

と言っても思い出してはアタフタし落ち着かせてもまた思い出すを繰り返しあまり寝れなかった。




クシュンと父親のくしゃみで起きた。


「お父様大丈夫ですか?」


「起きたかい。おはよう~大丈夫だよ」


朝の仕事に行こうとして父親に止められる。


「クレア…ここで働いてて大丈夫かい?父としては、反対する!!」


「じゃあお父様が我が家の窮地を救えますか」


うっと胸を押さえマシューは黙る。


「でも…でも…」


さあ着替えますから出てくださいと父親を追い出して、でも普段通りにできるかちょっと不安になる。


──大丈夫、大丈夫よ…多分






「おはようございます。遅れてすみません」


「おっクレアおはよう」


ニヤニヤしてるドナルドを無視して野菜を刻む。ある程度食事の準備が終わった頃、エドガーがやってくる。


「起きれたんですね。食堂に用意お願いしますね。あっレオン様とマシュー様、クレアさんも今日は食堂で」


「え!私もですか?」


「何か問題でも?」


エドガーもニヤニヤして去って行く。


「お前さんよりレオン様の方がやばいと思うぞ」


「もう…」



食堂に食事を運び待っているとレオンが入ってきた。クレアを見ると固まる。


「おはようございます。昨日は…」

「あっいや…」


2人とも黙ってしまうのでエドガーがゴホンと咳払いして席に座るようにすすめる。少し遅れてマシューが入ってきて微妙な空気の中、食事をはじめる。


黙って、しかしそれぞれが意識しながらの空気にクレアが耐えきれず


「ご主人様昨日はすみませんでした。多分、問題は解決したと思います」


「ああ、それはブランドン子爵から少し聞いてる」


「そんな話より君が昨日クレアに抱きついた方が問題だけど」

「お父様!!」


「き…昨日はご主人様もものすごく心配してくれて、ちゃんと帰ってこれたから、だから、安心しただけよ!!それ以外何もないから!!ですよねご主人様!!」


「え?あっああ、そう安心して…」


「もういいよ…とりあえず私は今日公爵家に行って説明しようかと思ってます」


「では私も同行します」


とレオンが話を終わらせた。


食べた気もしなかったが、なんとか全て食べきりお茶まで飲み干す。

クレアは自分は行くつもりなかったので片付けなど通常の仕事に戻ろうとしたが、当事者が行かないのもおかしいと言われ、渋々同行することになる。


──この頃、私働いてないわ…この騒動終わったら倍働かないと!!






◇◆◇



リットン伯爵家からの手紙を見てレスターは怒りを抑えることができない。手紙を握りつぶし投げ捨てた。ニコルはその手紙を拾い中を見る。

アドルフからの手紙で、ヘンリーには爵位を継がせず時が来れば返上する旨が書かれていた。


「ヘンリーが継がないなら私に渡せばいいだろ!!」


「父上落ち着いてください」


「落ち着いてる場合ではないわ!あの老いぼれ何を考えている!!そんなに私が憎いか!!そちらがその気なら考えがある」


乱暴に扉を開け叫びながら父が出て行くのを眺めていた。もしクレアに危害が及んではまずいとニコルも動き出す。




◇◆◇



3人で公爵家にやってきてベアトリスに報告をする。


「そう、ではクレアが巻き込まれる事はないのね」


「そうですね。アドルフ様側にはもう必要ないですから」


「マシューあなたも人が悪いわ。元からその気なら言ってくれてもよかったのに」


「向こうの出方次第だったので…すみません」


ペコペコと頭を下げる父親を横目で見ながらクレアがベアトリスに謝る。


「本当にご心配かけてすみませんでした」


「いいのよあなたが無事なら。ねえレオン?」


「はい」


お茶を飲みながら4人でゆっくりして話ははずんでいたが、ベアトリスがパチンと合図を送るとメイドたちが並び、


「じゃあ着替えましょうかクレア」


え?と思ったがいつもの如く逆らえず、メイド達に引きずられ部屋から連れ出される。残った男2人に


「マシューはもう帰るのね。レオンは護衛がてら買い物に付き合いなさい」


「…分かりました」


にっこりと笑うベアトリスに誰も逆らうことができない。





「ふふっやはり似合うわ。そのドレス」


前に買ってもらった薄い黄色のドレスで飾り付けは少ないがレースなど細かいところに手間のかかってるドレスでクレアによく似合っていた。

髪型も綺麗に編み込みがはいりサイドはスッキリと顔が明るく見え、後ろに長く伸びた髪は少しウェーブが入り揺れていた。


照れながら入ってきたクレアを見て


「クレア~似合ってるよ。本来なら毎日こんなドレス着せてあげたいのに…ごめんね~」


と父親が情けない声で泣きそうなのでなだめてふと目線を感じてそちらを見るとレオンと目が合う。


「ご主人様?」


「…とても綺麗だ」


ドキッと心臓がなるのが分かり、せっかく抑えてた感情がまた沸騰しそうになる。真っ赤になりながら顔を下に向けそのまま下がる。


レオンもまた昨日のことを思い出し、顔を見られないように後ろを向いてしまう。

そんな様子を見てたマシューが


「やっぱり連れて帰ろうかな」

「あら、ダメよ。クレアは我が家に来てもらうから」

「え?」



「さあさあ、出かけるわよ」


ベアトリスの一声で皆外に出る。マシューには公爵家から馬車を出してもらい、その場でお別れだった。


「お父様お気をつけて。ルイスたちにもよろしくお伝えくださいね」


「クレア~残って本当に大丈夫?まだ間に合うよ一緒に帰る?」


「大丈夫ですから」


苦笑いしながら父親を馬車に乗せ見送った。

振り向くともう1台馬車が用意されててベアトリスは先に乗っている。レオンがガチガチになりながら手を出してくれ馬車までエスコートしてくれた。


「では行きましょう」


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