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レオンが視察に出ると聞いてから、それに向けて準備は進んでいた。


「まあ屋敷を空にする訳には行かないので私は残りますが、皆さんは休んで頂いて結構ですよ」


「おー俺は久々実家帰るか」

「私は元々通いだしね」

「僕は…残ろうかな…」


──どうしよう…結局何も考えつかなかったわ…残ろうかな。


ノラと一緒に洗濯しながらも考えていると


「なんならうちにくる?クレアなら歓迎するわよ。ちょうどいいし子供にも紹介するわ!!上の子レオン様よりちょっと下だけど相手まだいないし、下も19歳よ」


ノラの目が本気で語ってくるので、あははと笑って誤魔化そうとしたが


「クレアだってたまに遊ぶ相手もいるでしょ。なんならうちに嫁に来てもいいわよ」


「ノラさんが知らないだけで、もうお相手いると思いますよ?」


ノラの反撃が続きそうだったが、エドガーがクレアを呼びにくる。ハミルトン家執事リーフェンが来たらしい。

ホールへ向かうとリーフェンが一礼してこちらをと手紙を渡された。


「奥様がレオン様視察の間、ハミルトン家にと仰っています」


「え?」


当日迎えに来ますとリーフェンはさっさと帰って行った。


──これは…お断り出来ない感じよね


とりあえず予定が決まってよかったと考えるようにした。




◇◆◇



朝早く騎士団の人が迎えに来てレオンは出発して行った。遠征ではなく視察との事なので危険な事はないと思うが無事に戻ることを祈りながらお見送りした。


「ジョンは本当にいいんだな?」


「僕行くとこないし、花壇も心配だから大丈夫」


「俺もすぐ戻ってくるさ。長居すると喧嘩になるからな」


「クレアさんは公爵家ですね」


「はい、あちらでも使用人として働けるといいんですけど…」


それはやめてくださいとエドガーにきつく釘をさされた。じゃあ何をするのかと聞くと、公爵夫人に聞いてくれと言われたが、今まで動くことしかしてきてないのでクレアにとって未知な世界が広がるだろう…


今のうちに身体を動かそうと洗濯をしてある程度片付けをする。


──洗濯とか…大丈夫なのかしら?


ハミルトン家にそんなに長い期間滞在するつもりもないので、帰ってきてからまとめて洗おうと思っている。


お昼前に迎えが来たので馬車に乗ると中にはベアトリスがいた。


「ベアトリス様!!」


「ふふっこのまま買い物に行来ましょう!まずはドレスね」




お店の前で馬車が止まると、店主が扉を開けて待っている。2人が中に入ると札をかけて扉を閉める。どうやら貸切にしたらしい。


「んーとりあえずおすすめのドレス持ってきて」


「ベアトリス様私あの…」


要らないと言いかけたのを扇で止められ、任せなさいとにっこりと微笑むベアトリスが怖かった。


あれこれとクレアは着せ替え人形になり、結局ドレス5着を購入した。ひとつは今着るようで、着てたメイド服は捨てられそうになったので必死で訴えて死守した。


その店を出てベアトリスが選んでいたレストランで昼食をとる。

個室に案内されて席へ着く。出てくる料理はどれも素晴らしく味ももちろんの事、盛り付けも綺麗で食べるのがもったいない物ばかりだった。


満足して食後のお茶を飲んでいると部屋がノックされリーフェンが対応するが、しばらくしてベアトリスに耳打ちする。

一瞬眉を寄せ複雑な表情を浮かべるがクレアを見て


「お茶だけでも一緒にしたいと言われてる方がいるんですって。クレアも知ってる人だけど…どうする?」


「別に私は大丈夫です」


「そう…ではお呼びして」


リーフェンが扉を開けて中に入ってきたのはニコルだった。クレアの右側に席が用意されそこに座る。


「すみません。店に入るところを見ていたので…許可をいただけて嬉しいです。公爵夫人、クレアさん」


「私とははじめまして、よね?何か私たちに用でもあったのかしら」


「はい。クレアさん宛に手紙を出したんですがハミルトン家で受け取って頂けなかったので」


「前に1度だけと言うことでそちらのお誘いはお受けしたけど、その後はお約束してませんわよね」


「クレアさんご本人と次の約束をしておりましたので…」


──なんだろ…笑いながらの会話だけどなんだか怖い…


お茶を飲むも味がしない気がする。

ニコルは流れるようにクレアの方に向きにっこりと微笑む。


「助けて頂いたあの時、私は心身ともに救われたのです」


すっと手を取り


「本当に感謝しています」


「ニコル様…本当に大した事は…」


あれ?握られてる手が熱い気がする…


「その手を離してもらえるかしら?クレアも、もういいと言っておりますので、今後はお控えくださいませ」


ベアトリスは席を立ち


「帰りましょう。クレア」


と部屋を出て行こうと歩き出す。クレアも続いて席を立つ。ニコルの後ろ側を通り、ニコルにだけ聞こえるように


「ニコル様、今も体調良くはないですよね?続くようでしたらきちんと診てもらってください」


と礼をしながら言ってベアトリスの後に続こうと歩き出す。


その瞬間ぐっと後ろで手を取られ、短い悲鳴をあげ後ろに倒れる。ニコルが背中に手をまわし受け止める。


「二…ニコル様!!」


──近い近い!


「私にとってあなたは天使です。これきりと言わないでください!」


リーフェンが慌ててクレアを起こしに近づいてくる。引き剥がされる直前「また」と耳元で囁かれる。


「ニコル・リットン…あなた私の前で私の娘になんて事!二度とクレアに近づかないでもらえるかしら」


ベアトリスが怒りをあらわにしながらクレアを自分の後ろにまわし、先に外に出す。


「ベアトリス様、私は…」

「お黙りなさい!次はないと言いましたわ」


バタンと扉を閉め出ていく。



馬車の中ベアトリスは


「クレア!!大丈夫?ごめんなさいあなたを先に出すべきだったわ。もう今後絶対近づかせないから!怖かったわよね」


「ベアトリス様大丈夫です。次は私も気をつけます」


「次なんてないわよ!!リットン家に抗議したいくらいだけど…あまり関わり持つのは良くないし…でも本当に…もう!レオン帰ってきたらあなたに護衛つけるように言っとくわね」


「大丈夫です!!メイドに護衛なんてつけませんよ?」


屋敷につくまで怒りが収まることはなかった。

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