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条件の提示

今回は会談ということで、会話が多めです。


「で、だ。


何しに来たのだ、貴様ら?」


皇帝がいきなり切り出してくる。



「ああ、今日はお前と話をしたくてな?」


「話?

ああ。アンとの結婚と、流通回復それぞれの日取り決めだな?」


「いや、流通回復だけだ。」


「・・・なんだと?」


「流通回復だけの話をしにきた。


アンはお前にはやらん。

大切な従妹なのだ、、本人が良いと言わぬ限り、俺様は嫁には行かせない!」


「正気か?

ではどうやって流通回復の交渉をするつもりだ?


対価がなければ、こちらは交渉に応じないぞ?

わかっているよな?」


「ああ、わかっているとも!


だから、その対価を持ってきた!


見ろ、これがそうだ!!」


ダンっ!


と机に運んできたケースを置く。

・・・中身シュトーレン崩れてないよな?


「何だそれは?」


「ふふふ、見て驚くなよ?

そしてお前は俺様に屈することになる。


見ろ!

これが我が国が提示する、保存食!

『シュトーレン』だっ!!」



「・・・」


「どうだ!?


驚いて声も出ないか??」



「ああ、驚いたよ」



「ふふん!」とご満悦な顔でふんぞり返る王様。


そんな王様を見て、皇帝が青筋を立てながらプルプルと震えだした。

その自信満々の態度がよほど気に障ったのかと思いきや、


「、、こんなひび割れたボロボロのものが貴様の切り札とはな、バカにしているのか?


イストっ!見損なうなっ!!」



「「「「「ええぇぇぇぇぇ!!?!」」」」」



(そっち!?

まあ、そりゃあんなに勢い良く置けば割れるよ。シュトーレンは水分を飛ばすから保存出来るんだけど、その分モロいんだから)


皆が驚愕している中、王様が動揺しまくる。

その顔は、割れた切り札であるシュトーレンを見てになり顔面蒼白、同時に焦燥の色と冷や汗が見える。

先ほどまでの自信満々な顔はどこへやら、、。


「まあよいわ、とりあえず味は見てやろう。


ここに控える、お前達を案内してきたものはマイス。我が帝国の1番の食の研究責任者だ。

こいつにも相伴させるがよいな?」


「、、ふぁい、、」


意気消沈しながら王様が頼りない返事をする。


そんな王様を尻目に皇帝とマイスはモグモグとシュトーレンを口にする。


「これは美味いな、、!

形はともかく、ナッツにフルーツ、それに食べごたえがある。

そしてホロホロと溶ける口どけ、なによりこの生地から香る酸味と甘味の風味、、。

こんなものがあったとは驚きだ、初めての味だ。」


「ええ、皇帝陛下。私もこのようなものは初めてです。そして、もしかしてこれは、、」


(よし!味に関しては問題なさそうだ!)


あの様子からすると2人はオレの『仕込み』に気付いたようだ。もしかしたら上手く交渉出来るかもしれない。

よし、頼むぞ、王さ、、、あ。


ちーん。



ダメだ。

そんな効果音がふさわしいくらい、完全に試合終了みたいに白くなっている!

自分で見事にやらかしたからなあ、、フォロー出来ないや、、。

他の皆も同じように「(どうしよう)」といった面持ちだ。


そこへ、らちが明かないと見かねたかのように皇帝が話を切り出す。



「つかぬことを尋ねるが、これを作ったのは誰だ?」


バッと皆がオレの方を見る。

(うっ!そんな期待するような視線向けるなよ、、)


「・・・オレです」


「貴様か。

見事な腕をしているな、これについての説明してくれ。」


「わかりました」


シュトーレンについて基本的な説明をする。

その中で保存性について、かなり注目しているようだった。


「ふむ、、なるほどな。

だいたいわかった。

そうか、保存性と栄養価の高いパン。

こんなものがあるとはな。


マイス?」


「はっ!」


「同じものは作れるか?」


「時間を頂いても難しいでしょう、それほどまでに未知のものでございます。」


「そうか。


貴様にもう1つ聞く。


『メロンパン』

とやらも貴様が作ったのか?」


「?!」

なんでその話を?


「はい、そうですが、、?」


「ふふ、なるほどな。」

皇帝がニヤリと口元を緩ませ、オレを見つめる。


「貴様の名はなんだ?」


「コムギです、コムギ・ブランと申します。」


「コムギ、か。

わかった、覚えておこう。


おい、イスト!いつまで呆けている!」



「ふぁい、、」


ダメだこりゃ。

どんだけ自信喪失してるんだよ。


「イスト、貴様がアンを嫁に出したくないというのはわかった。


だから今回のシュトーレンを持ってきたのだろう?

ならば条件を飲もうではないか。」


「「「「「!!!」」」」」


皆に喜びの色が見える。

やった、これでアンの婚姻も流通回復も出来る!


「いや、こちらとしても、天秤にかけても良い条件の話だからな。


我が国の情勢を調べ、こんな良い話を提示してくれるとは。

さすが我が盟友よな!

ハハハ!!」


最初の雰囲気から打って変わり、皇帝が上機嫌だ。そんなに『シュトーレン』を気に入ったのなら良かった。


「じゃあアンとの婚姻は、、」


王様が我に返り、確認する。


「ああ、無しだ。

残念だがな、、。

しかし、今回の条件には代えられん。」


「良かった、じゃあ話をまとめるとしよう!」


「ああ、アンとの婚姻はなし。



その代わり、コムギが帝国に来るということで流通回復を約束しよう!


コムギの『手腕を見せるため』にこのシュトーレンを作ってきたのだろう?

とても気に入ったぞ!


いやあ、本当に良い条件だっ!」



「えっ?」


「えっ!?」


思わず王様と顔を見合わせる。


「「「なぁにいいいいいぃぃぃぃ?!?!」」」

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