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温もりと期待

どれくらい、そうしていただろうか。



拙いながらも何か出来ないかと心配し、アンの部屋を訪れていたコムギは、彼女を抱きしめたまま固まっていた。



〜コムギ〜



(い、、いかん、雰囲気に流されてしまいそうだ、彼女の自室でこれはまずい、、)


勢いでキザなことを言って、つい抱き締めてしまった!やりすぎちまった、、、。

でも彼女のこの様子から察するに思ったより印象悪くないのか?



となると次は、、。



い、いやだめだ!!

煩悩と理性の狭間で揺れ動く。



『そのままいってしまえ!

据え膳だろう? 』


『いや、彼女にはそんな気はないだろう。

勘違いして嫌われたらどうするんだ?』



ぐぬぬぬ、、この後オレはど、どうしたらいいんだああ、、!?!




〜アン〜


あわわわわ!!


つい、身を預けてしまいました。


抱き締められるのはこれで2回目。


、、温かくて大きくてホッとします。

いつの間にか不安がどこかに行ってしまいました。

そう、この間もそうでした。

雪山で寒さと不安で震えていた私を抱き締めてくれた。

あの時と同じ、包まれるような優しいぬくもり。


この感覚はなんでしょう、、。

彼の事を考えたりするときよりずっと胸が騒がしく、でも心地よい、この感覚は、、。


わからない。

だからわかるまでこのまま。

もう少しこのまま彼の腕の中に、、。





コンコン!


不意のノックが2人の時間に終わりを告げる。



「「ビクゥッ!!」」

驚いた2人は同時にパッと距離を取る。




「「あはは、、、」」

乾いた愛想笑いでお互いに照れを誤魔化す。


ドアを開け、使用人の若いメイドが恭しく礼をしながら入室する。

その2人の微妙な感じに気付いてるのか気付いてないのかメイドは淡々と要件を告げる。


「失礼いたします。

お嬢様、お加減はいかがですか?

もし、よろしければそちらの方と一緒に旦那様がお呼びです。」


何か言われるのではないかとハラハラしていた2人は

「じ、じゃあ行きましょうか、ねっ?!」


「そっ、そうですね!?」


明らかに挙動不審な態度で返事をする。


メイドは何かを怪しむも、すぐに平静になり、2人を公爵が待つ応接間まで案内した。

そのわずかな様子の変化を当事者たちに悟らせない、その切り替えの早さはさすがプロであった。


「旦那様、お待たせしました」とメイドが声をかけ、アンと共に公爵の待つ応接間に入る。


上座に公爵が座り、オレとアンが向かい合う形で席につく。


「もう大丈夫なのか?」


「はい、ご心配お掛けしました。もう大丈夫です!」


「良かった、、コムギ殿、ありがとうございます。」


「い、いえ、、オレハナニモ、、、」

心の中で、雰囲気に流され彼女に手を出そうとしてしまった背徳心からコムギは背中一杯に冷や汗をかき、傍目にもわかるほど明らかに動揺してしまっていた。


公爵は「ふむ、、」とアゴに手をやりながら何かを察したように1人で納得していた。


アンはそんな男連中を見て、先ほどまでの行動を反芻するとともに反省せざるを得なかった。

また顔が赤くなる。

対面している彼の顔が見れない、、。



そんな様子を見ている部屋に控えている使用人たちはニマニマと彼らを眺め、事態がどうか好転するようにと願わずにいられなかった。

いつもご愛読ありがとうございます。

少し更新が出来ず申し訳ありませんでした。

誤字やら表現の修正に時間を割いてまして、、。


少しずつ更新ペースを戻せるように頑張ってまいりますので異世界ベーカリーをどうぞよろしくお願いいたします。


また評価、感想もお待ちしておりますのでよろしければお願いいたします!

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