公爵
「おお!お待ちしておりましたぞ、コムギ殿。
お噂はかねがね伺っております。
私が公爵、オイル・フォン・デューでございます。
襲撃者たちを放置し、オレとメープルは公爵邸の執務室にいた。
今は眼前にいる公爵と執務室で面談している。
「襲撃者の討伐も含め、さまざまなご活躍には助けてもらいっぱなしです。
コムギさんにはなんとお礼を申し上げたらよいのやら、、。
魔石の件の時には誠に失礼を致しまして申し訳ありませんでした。
そして、本日は本当にありがとうございます。」
「ご、ご主人様!?」
公爵が深々と頭を下げ、謝罪する。
「頭を上げてください。オレはオレの事情でやったことが、たまたま公爵様にとっての利益になっただけですからお礼を言われても正直困ってしまいますよ。」
「いや、、それでもお礼を言わせてほしいのです。
貴方がいなければ娘のアンジェリーナも叙勲されることはありませんでした。
正直、王族に連なる公爵としては失格かもしれませんが、あの子には自分の選んだ道を進んでほしいと思っておりましてな。
そのためには自分の力だけで生きていけると照明する意味で手柄を立てる必要があったのです。
ですが、なかなか機会にも恵まれず、なかば諦めていた所、貴方にその手助けをしていただいたのです、本当に感謝しております。」
そんなに畏まられてしまうと恐縮してしまうな、、。
「わかりました、そういう事情だったんですね。
オレのしたことでお役に立てたのなら良かったですよ。」
なにしろ、わからないことだらけですから、、。」
「そういえば、それを聞いてみたかったのですよ。
なにやら違う世界から来たとのおはなしですが、本当なのでしょうか?」
「えぇ、そうなんですよ。正直実感が湧かないんですが、、、」
「いや、私も噂程度でしか聞いたことがありませんが、稀に世界を飛び越え現れる存在があり、そしてその存在は少なから世界に影響を与えると。
まさか実在するとは、、、。」
「そんな大層なもんじゃないですよ。オレはただのパン職人ですから。」
「しかし、炎と氷、風魔法まで扱えるとか?
それだけでも並みの魔法使いより優れていますよ。」
「ご主人様、さらに先程は重量を変えられる魔法を使っておりました。
先程の襲撃者を撃退した際にしかと確認しましたが、私でも正直勝てる気がしません。
コムギ様がならば安心出来るかと」
「なんと、、!この国で有数の実力者であるお前がそう言うのならば、そうなのだろうな。
パン職人というのはさぞ優れた者の職業なのでしょうな、、。
私もどれほどなのか一度見てみたいものです。」
パン職人をなんだと思っているんだこの人たちは?
魔法使いでも殺し屋でもないぞ。
平和を望む、町のパン屋さんなのに扱いがおかしいだろ、、、。
嘆息していると公爵が本題に入るのか、真面目な顔になる。
「挨拶はこれくらいにして、コムギさんを見込んでぜひお願いしたいことがございます。」
「なんでしょうか?」
「娘を連れて逃げてくださらんか?」
、、え?!!
娘と逃避行してほしいなんて、なに言ってんだこの親父さんは??
いつもご愛読ありがとうございます。
いろいろ立て込んでおりましてなかなか更新できず申し訳ありません。
勉強しながら少しずつ頑張って参りますのでこれからよろしくお願いいたします。